小角 X 線散乱 Small Angle X-ray Scattering (SAXS) ●物質内部のナノスケール構造(空孔、結晶配向性等)に関する情報を分析 ●液体・気体の構造およびこれらによる粒子の分散状態も評価可能 ●有機高分子などのソフトマターおよび非晶質物質の高次構造の評価に有用 測定原理 物質に X 線を照射すると,物質を構成する原 子や分子の電子密度を反映して X 線が散乱される.小角 度領域(一般的には散乱角 2θ <10°以内)に現れる散乱 X 線は、物質中の粒子およびドメイン構造などのナノ構造 情報を含んでいる。 得られる情報 空孔、分散粒子、結晶配向性などの物質 内部のナノスケール構造について、散乱体大きさや周 期、形状に関する情報を得ることが出来る。 特徴 固体の他、液体や気体に関しても応用可能。有機 図 1. SAXS 測定装置(KEK, BL-6A)*1 高分子などのソフトマターおよび非晶質物質の高次構造 の評価に特に有用である。 応用例 ポリエチレンのシシケバブ構造形成過程の解明:高強度・高弾性率の起源となる有機 材料の特徴的な高次構造形成機構を、SAXS その場観察で解明 (KEK) http://polyweb.yz.yamagata-u.ac.jp/~matsuba/kenkyuJ2.pdf 図 2. 溶液中に分散した Cd 粒子の直 径と SAXS プロファイル変化*2 図 3. 乳化剤の高次液晶構造評価*3 東北放射光施設における展開 軟 X 線は、SAXS 測定の分解能向上に寄与し、従来よりもさ らに大きなスケールでの構造情報を得ることができる。高輝度のマイクロビームを利用するこ とにより、マクロスケールでの物性に影響を及ぼす有機・非晶質材料における高次構造のダイ ナミクス測定が容易になることが期待できる。 既存ビームラインとの基本スペック比較 SAXS SPring-8 SLiT-J KEK (PF ring) BL-05 BL08B2 BL45XU BL-10C BL-15A アンジュレータ 偏向電磁石 アンジュレータ 偏向電磁石 アンジュレータ エネルギー範囲[keV] 3~30 4.6~70 6.7~14.0 6.5~14 2.1~15 エネルギー分解能 ΔE/E ~10-4 ~10-4 ~10-4 ~10-4 ~2×10-4 光源 ビームサイズ [μm] ~1 - 300×200 270×560 340×18 光子数(集光位置) [photons/sec] ~1012 ~109 ~2×1011 1010 ~1011 ~1011 *1 : http://pfwww.kek.jp/users_info/station_spec/bl6/bl6a.html *2 : https://user.spring8.or.jp/resrep/?p=6465 *3 : http://www.mst.or.jp/method/tabid/154/Default.aspx
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