X 線反射率測定 - SLit-J

X 線反射率測定
X-ray reflectivity measurement (XRR)
●反射 X 線の減少率から試料表面の表面粗さ、密度等の情報を得る
●非破壊に薄膜・多層膜の深さ方向の内部構造を簡便に得ることが出来る
●結晶性の有無を問わないため、有機薄膜材料等の評価にも有用
測定原理 X 線が極低角で入射する場合、臨界全反
射角以下では全反射を生じるが、それ以上の入射
角では X 線は屈折を伴い試料内に入りこむため、
急激に反射 X 線強度が減少する。 臨界全反射角近
傍における反射 X 線の減少率は試料表面の構造に
対して敏感であるため、これを測定することで、
試料表面の表面粗さ、密度等の情報を得ることが
出来る。
得られる情報 測定された X 線反射率を、薄膜モ
デルから計算された X 線プロファイルと フィッテ
ィングさせることで、表面(界面)粗さ、薄膜の密度
図 1. XRR 測定装置(SPring-8, BL14A)*1
および膜厚に関する情報が得られる。
特徴 非破壊に薄膜・多層膜の深さ方向の内部構造を簡便に得ることが出来る。数ナノメータ
ー程度の極薄膜および多層薄膜の膜厚および密度の測定が可能。結晶性の有無を問わないた
め、結晶質だけではなく、非晶質等にも適用することが出来る。
応用例 X 線反射率測定法を用いたシリコン酸化膜の評価 (SPring-8) :新規的なプラズマ酸化
法で作製した薄膜の構造評価を XRR で行い、プロセス条件の最適化について検討
https://user.spring8.or.jp/resrep/?p=5735
図 2. XRR による Fe 極薄膜の構造評価*2
図 3. XRR による有機薄膜中の空孔分布測定*3
東北放射光施設における展開 高輝度軟 X 線は、角度分解能と、ダイナミックレンジの向上
に寄与する。シリコン絶縁膜のような、膜が薄く界面の密度差が小さいケースにも対応可能と
なる。
既存ビームラインとの基本スペック比較
XRR
SPring-8
SLiT-J
KEK (PF ring)
KEK (PF-AR ring)
BL-05
BL08B2
BL30XU
BL-10C
BL-15A
AR-NW2A
アンジュレータ
偏向電磁石
アンジュレータ
偏向電磁石
アンジュレータ
偏向電磁石
エネルギー範囲[keV]
3~30
4.6~70
6~35
6.5~14
2.1~15
5~25
エネルギー分解能 ΔE/E
~10-4
~10-4
~10-4
~10-4
~2×10-4
~2×10-4
光源
ビームサイズ [μm]
~1
-
140×80
270×560
340×18
-
光子数(集光位置) [photons/sec]
~1012
~109
~2×1012
1010 ~1011
~1011
~6x1010
*1 : http://www.nims.go.jp/xray/xr/whats.htm
*2 : http://www.nanoscience.co.jp/surface_analysis/technique/XRR.html
*3 : http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=08-04-01-33