コンクリート柱の劣化状態把握

電力中央研究所報告
電 力 輸 送
コンクリート柱の劣化状態把握
-埋設部状態把握のための内面観測手法の提案-
キーワード:コンクリート柱,埋設部,劣化,計測技術,内面観測
背
報告書番号:H15012
景
配電設備の高経年化が進み、コンクリート柱においても劣化状態を把握する必要性
が増している。コンクリート柱の長期的な使用を念頭に置いた場合には、健全性確保
の観点から地上部と同様に埋設部の状態把握は重要である。しかしながら、現状では
埋設部の状態把握手法は確立されていない。一方、工業用内視鏡カメラなど画像撮影
機器の小型化・操作性向上・低価格化が進み、コンクリート柱の中空内面の撮影が可
能になりつつある。内面撮影により埋設部のひび割れが観測でき、さらに内面ひび割
れがコンクリート柱の耐久性に与える影響を曲げ強度試験などで把握することができ
れば、内面観測は将来、低コストで簡便な埋設部診断手法になると考えられる。
目
的
コンクリート柱埋設部の劣化状態把握に向け、(i) 立設時に埋設部内面を観測する手
法、(ii) 曲げ強度試験時に内面ひび割れの時間的進展状況を観測する手法、を提案する。
主な成果
1. 工業用内視鏡カメラによる立設時の埋設部内面観測手法の提案
コンクリート柱地上部の貫通足場ボルト穴(直径 15 mm)を利用し、工業用内視鏡
カメラ(直径 6 mm, ケーブル長さ 3 m)を挿入することで、埋設部の内部状況が撮影で
きることを確認した(図 1)。工業用内視鏡カメラとして、コンクリート柱内側面を容
易に撮影するためにカメラ先端部が可動式のものを選択した。また、LED テープを用
いることで、観測する広いエリアで十分な照度を確保した。これらを用い、実設備と
して使用中の経年 35 年程度のコンクリート柱数本において、縦・横ひび割れなど、埋
設部の劣化に関連すると思われる情報を得ることができた(図 2)。
2. 試作装置による曲げ強度試験時の内面観測手法の提案
内面ひび割れとコンクリート柱の耐久性の関係を調べるには、時間的制約が少なく、
内面ひび割れを人工的に進展させる曲げ強度試験が効率的である。ただし、曲げ強度
試験時に内面を撮影する手段は無いため、以下の特徴を持つ装置を試作した(図 3)。
①コンクリート柱破壊時に破損しても交換が容易な安価なカメラを使用
②コンクリート柱の底板穴(直径 50 mm 程度) 1) から挿入可能な長細い形状
③カメラ 2 台を接合し、耐久性解析に重要な引張・圧縮両側の同期動画撮影が可能
④垂直視野 31°、水平視野 42°の範囲で、幅 0.04 mm 以上のひび割れが撮影可能
本試作装置を実際の曲げ強度試験に適用し、これまで報告されていない内面ひび割
れの時間的進展状況を観測することができた(図 4)。
注1)地盤状況により安定化を図るため、コンクリート柱底部(内面直径 300 mm 程度)に底板が取り付けられる場合
がある。ここでは底板の水抜き穴(直径 50 mm 程度)の利用を想定している。
研究担当者
大石 祐嗣(電力技術研究所 高エネルギー領域)
問い合わせ先
電力中央研究所 電力技術研究所 研究管理担当スタッフ
Tel. 046-856-2121(代) E-mail : [email protected]
報告書の本冊(PDF 版)は電中研ホームページ http://criepi.denken.or.jp/ よりダウンロード可能です。
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© 2016
CRIEPI
平成28年5月発行