1. 米国の大統領 163

2016年12月8日
ご参考資料
163
今回のテーマ
トランプ大統領誕生で注目が集まる米国政治
11月の米大統領選挙では、大方の予想に反して共和党のトラン
新人くん
日興アセットマネジメント
の新人。営業推進部門に
配属され、投信や経済に
ついて勉強中。
プ候補が勝利しました。来年1月20日のトランプ大統領就任を控
え、市場でも米国政治の動向に注目が集まっています。今回は、
大統領の役割や連邦議会について調べてみました。
1.米国の大統領
米国の政治体制は、その役割により、法律を作る「立法府」、法律
の管理・執行を担う「行政府」、裁判を行なう「司法府」の3つに分け
られます。日本と同様、独立した機関が立法権・行政権・司法権を
持つ三権分立の体制となっています。
このうち、行政府は、大統領や副大統領、各省庁の長官などで構
成されています。そのため、大統領は行政府の首長としての役割を
担いますが、そのほかにも、国家元首や軍の最高司令官としての
役割も担っており、様々な権限を持っています。
大統領の役割として特に重要なのが、法案の拒否権です。米国
では、立法府にあたる連邦議会で審議・可決された法案について、
大統領が承認・否認の判断を行ないます。
ただし、内閣が法案を提出できる日本とは異なり、米国では法案
を提出できるのは連邦議会の議員に限られます。そのため、大統
領が自ら法案を提出することはできません。また、拒否権を発動し
た場合でも、連邦議会の上下両院それぞれで3分の2の賛成を得
ることで、法案は成立します。
米国は、徹底した三権分
立によって、各機関が互い
の権力を抑制し合い、権力
集中による独裁などを防ぐ
ことで、安定した政治体制
を確立する仕組みになって
います。これは、「チェック
アンドバランス」(抑制と均
衡)と呼ばれています。
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□当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料
ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス
クもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時に
は、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
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このように、米国では三権分立が徹底されており、大統領の立法
に関する権限は限定的と言えます。そのため、大統領が政策を推
進する上では、大統領の考えを示し、法案の実現を促す「教書」が
重要となっています。具体的には、毎年1月に大統領が主要施策を
表明する一般教書演説のほか、予算の編成方針を示す予算教書
や、経済状況の見方を示す経済教書があります。
2017年1~3月頃に、トランプ氏による一般教書演説や予算教書
の提出が予定されており、米国政治の先行きを見る上で、教書の
内容や議会の反応に注目が集まります。
2.連邦議会
立法府に属する連邦議会は、法律を作る「立法」の役割を担って
います。上院と下院で構成される二院制を採用しており、法案を可
決する際には、原則として、両院それぞれで過半数の賛成が必要
となります。
選挙期間中、トランプ氏が公約として掲げてきた政策には、移民
制限や保護貿易といった極端なものもありました。しかし、実際に
法案を立案するのは連邦議会であるため、議会の賛成が得られな
ければ、法案は成立しません。
連邦議会では、民主党と共和党の2大政党が議席の大部分を占
めています。伝統的に、民主党は、福祉や公共事業、規制強化な
ど、政府の介入を強める「大きな政府」としての政策を推進する一
方、共和党は、市場原理を重視し、規制緩和などを通じて政府の
介入を極力縮小する「小さな政府」を掲げています。
トランプ氏の掲げる大規模
な減税や財政支出の拡大
といった経済政策は、景気
にプラスに働くと期待され
ている一方で、財政悪化が
懸念されています。共和党
は、伝統的に減税を推進し
ているものの、「小さな政
府」の理念から財政規律も
重視しており、過度な財政
拡大は抑えられるとの見方
があります。
今回、大統領選挙と同時に行なわれた議会選挙では、共和党が
上下両院で過半数の議席を獲得しました。さらに、大統領が共和
党のトランプ氏となり、議会と大統領の間の「ねじれ」が解消された
ことで、規制緩和などの法案の審議・成立が速やかに進むようにな
れば、積極的な経済政策が実現しやすくなり、米国経済を下支え
すると期待されます。
先行き不透明感が強いとされるトランプ新大統領の政策で
すが、連邦議会と協力しつつ、時にはけん制し合うことで、
適切な政策運営が行なわれると期待したいですね。
□当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料
ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。□投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リス
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