良くもあり、悪くもある米雇用統計

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北米
2016年3月7日
良くもあり、悪くもある米雇用統計
2月の米雇用統計は雇用者数の増加に見られるように、全般に雇用市場の改善傾向は維持されました。一方で、賃
金の伸びはマイナスとなるなど弱い数字も見られまだら模様で、市場の方向感は出しにくい内容と見られます。
2月米雇用統計:非農業部門雇用者数は予
想上回るも賃金はマイナス、労働時間も短縮
働投入時間×時間当たり賃金)は同-0.5%と軟調な数字となっ
ています。ただし、賃金は1月の数字が高かった反動とも考え
られるため、単月で雇用環境を判断することは避けるべきと
米労働省が2016年3月4日発表した非農業部門雇用者数は
思われます。「雇用者数が改善(景気改善)して賃金の伸びが
前月比24.2万人増と市場予想(19.5万人増)、前月(17.2万人
低い(利上げ懸念後退)という組み合わせは株式市場などに
増、速報値15.1万人増から上方修正)を上回りました(過去
とって望ましい組み合わせ」という声も聞かれますが前月が全
2 ヵ月分は合計3万人上方修正され、2015年12 月は26.2 万
くの反対(雇用者数は予想を下回り、賃金は上昇)だったこと
人増から同27.1 万人増、2016年1 月は15.1 万人増から17.2
を思えば、今月だけのデータで市場の方向を述べるよりは、
万人増)。失業率は4.9%で前月、市場予想と変わらずとなりま
慎重に判断すべき姿勢が必要と見ています。
した。一方、2月の平均時給は前月比0.1%減と、2014年12月
最後に失業率は4.9%と動きはありませんでしたが、関連デー
以来のマイナスとなり、市場予想(0.2%増)、前月(0.5%増)を
タにプラス、マイナスが見られました。プラスは、労働参加率
下回りました。
で62.9%と 3 ヵ月連続で上昇して改善傾向を維持するなど、雇
用の幅に広がりが見られます。先に公表された米地区連銀報
どこに注目すべきか:
告(ベージュブック)の一部地域の人手不足という報告とも整
合的です。今後も同様の傾向が続くようであれば、景気回復
サービス産業雇用者数、賃金、利上げ時期
要因と期待されます。ただし、マイナスもあります。例えば、自
2月の米雇用統計は雇用者数の増加に見られるように、全
発的失業者が全失業者に占める割合が低下したことや、(職
般に雇用市場の改善傾向は維持されました。一方で、賃金
の伸びはマイナスとなるなど弱い数字も見られまだら模様で、 探しを再開した)再参入者が低下したことは、仕事探しが希望
通り進んでいない様子が示唆され、気懸かりな内容です。
市場の方向感は出しにくい内容と見られます。
今回は3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)前の最後の雇
まず、非農業部門雇用者数は2月は前月比24.2万人増と市
用統計ですが、強弱まちまちの内容で3月の利上げをサポー
場予想を上回るなど堅調でした。特に、民間サービス産業
トするには力不足と見られます。しかし、少なくとも6月利上げ
は3月3日(現地時間)に公表されたISM非製造業雇用指数
の可能性を選択肢としては残すべき内容と思われます。
が拡大縮小の目安となる50を下回った(図表1参照)後だけ
に懸念もありましたが、同24.5万人増と堅調な結果となり小
図表1:ISM雇用指数(左)と民間サービス雇用者数(右)
売や娯楽セクターなどが雇用者数の回復を下支えしました。
(月次、期間:2011年1月~2016年2月、サービス雇用者数は前月比)
ただし、ISM非製造業と雇用統計の民間サービス産業のカ
ISM非製造業雇用指数(左軸)
万人
バーするセクターは鉱業部門など違いもある点と、先行性が
60 指数
民間サービス雇用者数(前月比、右軸)
30
あると言われる人材派遣セクターが同1.0万人減と2ヵ月連
25
続で減少している点には注意は必要です。
55
20
次に所得環境は低調な内容が含まれています。まず、週平
15
均労働時間が前月比0.2時間減少して 34.4 時間となったた
50
10
め、総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は
ISM非製造業
5
同-0.4%とマイナスに転じ、景気回復の鈍化が示唆された可
雇用指数49.7
0
45
能性が考えられます。また、時間当たり賃金が同0.1%減と市
11年1月
13年1月
15年1月
場予想の同0.2%増に反して下落したため、労働所得(総労
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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