7 . 研 修 計 画 (1) 研究主題 自分の考えをもち, 自分の考えをもち,生き生きと学び合う子どもの育成 ~「対話」で思考を深める授業づくり~ 「対話」で思考を深める授業づくり~ (2) 主題設定の理由 ①社会の要請から 「知識基盤社会」の中での「生きる力」として,自ら課題を発見し課題を解決する力,コミュニケーシ ョン能力,物事を多様な観点から考察する力などを定義し,それを育むことを明記している。その中で 「基礎的・基本的な知識・技能の習得」,「思考力・判断力・表現力等の育成」,「主体的に学習に取 り組む態度」を学力の3要素として示され,全ての教科・領域等で「言語活動の充実」が大きく取り上 げられている。また,秋田県学校教育の指針では,「“『問い』を発する子ども”の育成~公の前で自 分の考えを積極的に発言することができる子どもを育む~」を重点として挙げている。 本校でも,子供達の知的好奇心・自ら学ぶ意欲・探求心を喚起し,「対話」で思考を深める授業づく りを通して,思考力,判断力,表現力等を育成することによって,自他の営みを積極的に工夫改善し発 信していく大人になるための基礎を育んでいくことが大切であると考える。 ②本校の子どもの実態と昨年度までの実践から 本校の子どもたちは,明るく素直で,与えられた課題に一生懸命取り組もうとする子が多い。積極 的に自分の考えを表現しようとする態度も高まってきている。しかし,友達の話を受けて考えを深め たり,自分の考えをよりよいものしたりする力が十分に発揮できていない面もある。 これまで,「確かな学力の育成に係る環境と地域の方々の取組について調査実践的研究(環境教育に 関する取組を活用した調査研究)」,「防災教育研究推進校」の指定を受け,実践研究を行ってきた。 確かな学力の向上を目指して,小・中が連携し,PDCAを機能させ,授業実践に取り組んできた。昨 年度は,算数科を窓口とし,「ねらいに迫る学び合いを位置付けた授業づくり」を通して,「算数的に 思考する力,表現させる力を向上させるための指導の工夫」「集団思考を促す教師の支援」を共通実践 として取り組んできた。 昨年度の実践研究から明らかになってきたことは,次の通りである。 【先生方,個々の声】 ○算数科における「課題とまとめの整合性」を図る積み重ねは,ノート指導や児童の思考の整理に有効であっ た。子どもたちに「わかった」という気持ちを育むことができたと思う。 ○課題→自力解決→集団解決→まとめ→評価問題の授業の流れで授業を進め,子どもたちもそのパターンに慣 れることができた。 ○算数的活動を位置づけることで子どもが集中し,楽しく学びながら分かったという達成感を得ることができ た。説明の型を生かし考えを伝える場を位置づけた授業展開の工夫をすることで子どもたちの思考力が伸び ました。(学習状況調査で県の通過率を2割以上上回った。) 記述式の問題では,あきらめず自分なりの言 葉で答えようとする態度が身についてきた。 ○意図的に自分の考えを発表する場を多く設定したことにより,伝える力がついてきた。また,発表を聞く力 も徐々についてきている。 ▲導入に時間をかけすぎる授業が多いように感じる。すぐ授業の中身に入るように指導過程を工夫したい。 ▲自力思考の時間が長いように思う。5~7分程度にしていきたい。 ▲複数の子どもの考えを教師が分類し,考え方や視点を明確にして,学び合いをさせていく必要がある。 ▲式と言葉,図を使って,わかりやすく説明する力はまだまだ不十分。ふさわしい単元(課題)で,徹底的に 鍛える必要がある。それが,B問題につながっていく。 ▲算数の授業ではなかなか自分の考え方を見つけることができない子どもがいる。その子に学習段階に合わせ て,自力解決できないような場合には,時間をかけないで,友達の発表で気づいていけるようにする。 ▲学びの基礎・基本は身についてきているが,まちがえないように,失敗しないようにと慎重になりす ぎる面がある。 【振り返りから見えてきた子どもたちに身に付けさせたい力】 ・かかわり合いを通して,伝える力を高めてほしい。 ・かかわり合いを通して考えを深めてほしい。 ・自分の考えや思いをのびのびと表現する力 ・資料を読み,判断して説明する力 ・自分の課題を見つける力 ・学習と体験を関連付けて思考する力 【平成27年度 目指す子どもの姿】 ① 知識や体験を関連づけて考える子ども ② かかわり合いを通して よりよい考えをもつ子ども ③ のびのびと思考し,表現できる子ども このような実態から,今年度は「『対話』で思考を深める授業づくり」を窓口にし,昨年度の実践で育 んだ「自分の考えを言葉や式,図表・グラフなどを用いて筋道立てて表現する力」を高めつつ,「対話」 でねらいを達成したり,子どもたちの思考を深めたりする授業づくりに取り組んでいきたい。 本校では,「対話」を次のように捉える。 問題や課題に対して,個々の思いや考えをもった子どもたちが学級の友達(他者)と応答し 合い,自分の考えを高めていく学習活動 <形式面> <内容面> ペア グループ 学級全体 考えたことを出し合う 友達のものの見方や考えを知る 新たなものの見方や考えをつかむ 学習を振り返る 聴く 自分 考える 友達 友達 友達 話す 課題の追究過程において,友達との「対話」を重ねることで,自分の考えをより よいものに高め,その教科等で身に付けさせたい力を習得させつとともに,思考を 深めていけるだろう。 「思考力・判断力・表現力等の育成」が望まれる今,温もりのある学級集団の中で,一人一人が自分の 考えを持ち,「対話」で思考を深めながら,学習を楽しみ確かな学力を育んでいく,そんな角間川小の子 どもたちに姿を目指していきたいと考え,本研究主題を設定した。 ③学校教育目標具現化の立場から 本校の学校経営の学力に関する目指す児童像は,以下の通りである。 平成27年度 角間川小教育目標 心ゆたかに たくましく ともに生きる <目指す子ども像> 仲間を自分を大切にする子ども 今できることを基に,新たなことができるように励む子ども勉強を楽しむ子ども はつらつと歌い,元気よくあいさつする子ども <重点施策> 学力を定着させ伸ばす ○「秋田スタンダード【角小バージョン】授業の基礎・基本」に基づく指導 ○「問題を見つける学習」 「思いや考えを伝える活動」 「考え直す活動」の推進 かかわり合いを通した自己有用感を高める学級づくりを基盤とし,昨年度の成果を生かした実践を継続 するとともに,目指す児童像の具現化を目指し,研究を進めていきたいと考える。
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