資料1 大阪府公立中学校数学教育研究会 研究報告 言語活動を通した数学的活動 大阪市立此花中学校 大阪市立蒲生中学校 古閑 清家 龍太郎 純一 1.はじめに 平成 24 年度「全国学力・学習状況調査」の結果によると、大阪市は全国平均を下回っている。特に、 思考力・判断力・表現力等が問われる「活用」に関する問題で全国平均との差が顕著に見られた。大阪 市立教育研究会数学部作成の「学力診断」の分析からも同様な課題があった。 言語活動グループでは、平成 23 年度より 3 年間にわたり大阪市教育委員会が設置した「言語活動推 進委員会」と連携して数学科における言語活動の充実を図る指導方法の研究を行い、公開授業と研究協 議を開催して、教材の効果的な活用や指導力の向上に向けた取組みをしている。 平成 23 年度は第1学年において単元「比例と反比例」で「動点の問題」を、平成 24 年度は第3学年 において単元「関数 y ax 」の導入で実践事例を行った。平成 25 年度は第2学年で言語活動の充実を 2 図る実践事例を行うことになっている。 2.研究の内容 (1)教材の工夫について ①全員が確実に課題把握できる教材 学習の苦手な生徒も含め、全員が主体的に課題に取り組めるように単純で分かりやすい教材に した。 ②多様な考え方 課題解決的な学習場面を作り、表・図・式などどの考え方でも答えが求められる教材にした。 多様な考えにふれ、それぞれの考えのよさに気づくことにより、思考力が高まるように工夫した。 (2)学習形態の工夫について 4 から5人のグループで学習をした。一斉授業であると一部の発言する生徒を除いて、多くの生 徒は発言しないまま授業が進むことがよくある。人任せにならず、一人ひとりに学習の責任をもた せ個々それぞれの課題解決がグループの課題解決につながるよう工夫した。 (3)言語活動の工夫について 中学生にとって、自分の考えたことを説明することは容易ではない。そこで説明補助シートを活 用して、自分の考えたことを明らかにして説明できるようにした。 (4)ICT の活用について 課題の提示の場面で、プレゼンテーションソフトを使い明確に課題が把握できるようにした。ま た、意見をまとめ発表を行う場面で、書画カメラを用い説明補助シートをプロジェクターで投影さ せた。そのことで、視覚的にそして効率的に話し合った内容が提示され、他者に対して分かりやす く説明できるようにした。 (5)実践授業について 3.研究の成果と今後の課題 伴って変わる2つの数量の変化の様子や対応の仕方を数学的言語(表・図・式など)を使って表現さ せ、それらを説明し伝えあう言語活動を授業に取り入れた。この授業を通して、生徒が自分の考えを整 理し、他者の考えと比較できる場面がうまれ、物事を多様な観点から論理的に考察する力が高められた と考える。また、説明補助シートにまとめることで説明すべきことがらが明確になり、また、他者の説 明を聞く際にも注目すべき点が分かりやすくなった。 今後の課題としては、思考力・判断力・表現力等を効果的に育むために、言語活動を通した数学的活 動を各学年の指導計画に適切に位置づけ、充実させる必要があると考えられる。
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