2016年3月11日 ECBの緩和策は全体的にポジティブだが、 市場は日本と米国の金融政策を待つ ECB(欧州中央銀行)は、3月10日に開催された理事会において、政策金利を0.05%から 0.0%へ引き下げ、加えて月間の資産買い入れ規模を600億ユーロから800億ユーロに増額し、 銀行に対する長期資金供給オペレ シ ンを実質的に延長するなど 量的 質的な側面も含め 銀行に対する長期資金供給オペレーションを実質的に延長するなど、量的・質的な側面も含め た包括的な緩和策を決定しました。今回の決定内容の注目点などについて、弊社ストラテジス トの見解をお伝えします。 金融機関が中央銀行に余剰資金を預ける際の預金金利を0.1%ポイント引き下げてマイナス 0.4%としたことは市場の期待通りでしたが、リファイナンス金利と限界貸出金利を0.05%ポイ ント引き下げたことは想定以上でした。さらに、資産買い入れ規模の増額幅を予想を大幅に上 回る200億ユーロとし、買い入れ対象に銀行以外の一般企業が発行するユーロ建て投資適格社 債を含めたことも想定以上でした。また、今回の長期資金供給オペレーションについては、貸 出水準が基準を超えている銀行にマイナス金利が適用される場合もありそうです。これは、 ECBが銀行に利子を払って資金提供することであり、貸出奨励と金融システム安定化にも寄与 すると思われます。 今回のECBの追加緩和策の内容は事前の予想を上回り、中でも事業債購入を通じたクレジッ 今回のECBの追加緩和策の内容は事前の予想を上回り 中でも事業債購入を通じたクレジッ ト市場への介入は、先行して実施した日銀の量的・質的金融緩和政策に似ており、予想外の新 機軸となりました。ドイツ大手銀行の財務悪化懸念やギリシャの財政規律確立およびイタリア の不良債権処理の遅れ、オイルマネー流出の恐れなどから揺らいでいた欧州のクレジット市場 に対しては、タイミングの良い対応であったと考えられます。ユーロは、緩和策発表直後に決 定内容を受けて主要通貨に対して下落しましたが、その後、ドラギECB総裁の会見で「一段の 金利引き下げを想定していない」と発言したことを市場は重くみて、一転上昇しました。 金利引き下げを想定していない」と発言したことを市場は重くみて、 転上昇しました。 主要国・地域の政策金利の推移 (2010年12月末~2016年3月10日) (%) 2.5 (円) スウェーデン 160 2.0 140 1.5 1.0 ユーロ圏 ロ圏 0.25~0.50% 0.25 0.50% 0~0.25% 0.5 日本 -1.0 10/12 スイス 11/10 12/8 (%) 5 ユーロ(対円)(左軸) ドイツ10年国債利回り(右軸) 4 120 3 100 2 80 1 米国 0.0 -0.5 ユーロ(対円)とドイツ10年国債の推移 (2010年12月末~2016年3月10日) 13/6 14/4 15/2 15/12 (年/月) 60 10/12 0 11/10 12/8 13/6 14/4 15/2 15/12 (年/月) (信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成) (信頼できると判断したデ タをもとに日興アセットマネジメントが作成) ※上記は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが投資環境についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資料ではあり ません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来 の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産は為替変動リスクもあります。)を投資 対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用を ご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 1/2 今回サプライズとなったECBの緩和内容について、当面、市場参加者は消化難となりそうで す。投資家はECBの決定を受けて日本や米国の金融当局がどのような対応をするのかを見極め ようと、来週初は模様眺めになると想定されます。 う 来 初 模様眺 な 想定さ す もともと、マイナス金利は量的緩和を中心とした政策の補完的な位置づけであり、ドラギ ECB総裁の発言は、金融機関の収益環境の悪化、ひいては金融システムへのダメージを最小限 に抑えるという趣旨であったと解釈することができます。今後は必要に応じて、新たに踏み出 した質的な緩和(事業債の買い入れ)を強化することになるでしょう。 今夏に向けて難民の流入増が想定されるEU(欧州連合)内の揺らぎが続く恐れはあるものの、 今夏 向け 難民 流入増が想定され (欧州連合)内 揺らぎが続く恐れ あ も 今回のECBの予想以上の緩和が、EUやIMF(国際通貨基金)のギリシャ支援協議の再開ととも に、投資家心理を穏やかにしてくれる可能性があります。また、主要産油国の減産合意等から 原油価格の下落に歯止めがかかるなどのプラス要因が続けば、景気指標が回復する前にリスク 資産への資金流入が始まる可能性も高まると思われます。 チ フ ストラテジスト チーフ・ストラテジスト 神山直樹 ■当資料は、日興アセットマネジメントが投資環境についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資料ではあり ません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来 の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産は為替変動リスクもあります。)を投資 対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用を ご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 2/2
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