年内 追加利上げを探る米国 年内に追加利上げを探る米国

2016年9月23日
金融緩和を継続する日本、
年内 追加利上げを探る米国
年内に追加利上げを探る米国
9月21日、日米の金融政策が発表されました。日本は緩和の目安を従来の量から金利に移した新し
い枠組みの導入を決定し、円相場は1米ドル=102円程度の円安・米ドル高となったものの、海外市場
で円高傾向に転じました さらに 米国で金利を据え置き現行の政策維持が決定されると 円相場は
で円高傾向に転じました。さらに、米国で金利を据え置き現行の政策維持が決定されると、円相場は
1米ドル=100円台の円高・米ドル安となりました。当資料では、日米の金融政策の概要と今後の見通
しについてお伝えします。
日本の金融政策
日本銀行は、これまでの金融政策の総括的な検証を行なった上で、金融緩和強化のための新しい枠
組みの導入を決定しました。「総括的な検証」の主な内容は、1)2%の物価安定目標の実現を阻害し
たのは、原油価格の下落や2014年の消費税率引き上げ後の需要の弱さ、国際金融市場の不安定さから
であった、2)マイナス金利の導入と国債買い入れにより長短金利は大きく低下し、金融機関の貸出
態度は積極的であった反面、金融機関の利ザヤ縮小といった影響が見られた、となっています。
これらの検証結果を踏まえ、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を強化する形で、「長短金
利操作付き量的・質的金融緩和」の導入が決定されました。主な内容は、①日銀当座預金の一部に
▲0 1%のマイナス金利を適用し 10年物国債金利はゼロ%程度で推移するよう 長短金利の操作を
▲0.1%のマイナス金利を適用し、10年物国債金利はゼロ%程度で推移するよう、長短金利の操作を
行なう(イールドカーブ・コントロール)、②物価上昇率が2%の目標を安定的に超えるまで、マネ
タリーベースの拡大を継続する(オーバーシュート型コミットメント)となっています。日銀は、今
回、緩和の主軸を量から金利に移した新しい枠組みを推進することで、2%の物価安定目標をできる
だけ早期に実現し、政府の財政運営、成長力強化の取り組みとの相乗効果により、日本経済をデフレ
からの脱却と持続的な成長に導くことが可能と考えている、としています。
物価と日銀当座預金金利、貸出態度の推移
日・米の国債利回りと円(対米ドル)の推移
日
米の国債利回りと円(対米ドル)の推移
(2012年1月初~2016年9月22日)
(2012年1月~2016年8月*)
(%)
3.0
10年米国国債(左軸)
円( 対米ドル)(右軸)
(円)
140
2.5
120
2.0
100
1.5
80
金利差(米国‐日本)(左軸)
1.0
60
(%)
25
1.0
20
0.5
15
0.0
10
40
0.0
20
-0.5
0
-1.0
10年日本国債(左軸)
12/1
13/1
14/1
15/1
16/1
(年/月)
30
1.5
0.5
-0.5
(%ポイント)
企業からみた金融機関の貸出態度・
全産業DI(「緩い」-「厳しい」)(右軸)
2.0
日銀当座預金金利(左軸)
消費者物価指数(除く生鮮食品)(左軸)
(消費税率引き上げの影響を除く)
12/1
(信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
(信頼できると判断したデ
タをもとに日興アセットマネジメントが作成)
13/1
14/1
15/1
5
0
16/1
(年/月)
* 物価は16年7月まで
全産業DIは四半期ベース、16年4-6月まで
業
半期
、 年
※上記グラフ・データは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
■当資料は、日興アセットマネジメントが投資環境についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資料ではあり
ません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来
の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産は為替変動リスクもあります。)を投資
対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用を
ご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
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米国の金融政策
FRB(米連邦準備制度理事会)は、追加利上げの根拠は整ってきたと判断しているものの、労働市
場
場の一段の改善と2%の物価目標への回帰に向けた確証を待つために、金利据え置きを決定しました。
段 改善と % 物価目標
回帰に向けた確証を待 ために、金利据え置きを決定しました。
イエレンFRB議長は記者会見で、生産性の伸びや企業投資に懸念が残るものの、労働市場や個人消
費は堅調であるとした上で、年内に利上げを行なう可能性を示唆しました。
(万人)
米国の雇用者数とインフレ率の推移
(2008年1月~2016年8月*)
(%)
個人消費支出(PCE)インフレ率
80
3.0
(除くエネルギー、食品、前年同月比)(右軸)
60
2.5
*2016年7月まで
40
2.0
20
1.5
0
1.0
-20
0.5
-40
0.0
-60
-0.5
60
05
-80
-1.0
非農業部門雇用者数 (前月比)(左軸)
-100
-1.5
08/1
10/1
12/1
14/1
16/1 (年/月)
(億米ドル)
米国の小売売上高の推移
(2008年1月~2016年8月)
4,600
4,400
4,200
(%)
10
自動車、ガソリン、建材、食品を除く コア
小売売上高(3ヵ月平均の3ヵ月前比)
(右軸)
8
6
4,000
4
3,800
2
3,600
0
3,400
-2
2
3,200
小売売上高(左軸)
3,000
08/1
10/1
12/1
14/1
-4
-6
16/1 (年/月)
(信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
※上記グラフ・データは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。
以下は 今後の見通しに関する弊社ストラテジストの見解です
以下は、今後の見通しに関する弊社ストラテジストの見解です。
新しい枠組みを導入した日銀は、2%の物価安定目標を変更せず、これまで2年としてきた目標到達
時期を取り下げ、目標到達までは追加緩和を継続することに加え、長期金利の水準を下げすぎずに短
期金利のマイナス幅を深堀りすることを可能にしました。外部環境が日本のデフレ脱却に逆風となる
中で、量的緩和やマイナス金利の副作用である金融機関の収益環境悪化のみならず、国内センチメン
ト(投資家心理)の悪化も招かないようにすることを意識しているとみられます。
FRBは追加利上げを見送りました。好調な雇用や賃金環境で米国経済の体温は上昇傾向にあるもの
の、消費の回復には時間を要しており、新興国や輸出企業に対する米ドル高リスクへの配慮などから、
今後、大変緩やかな利上げペースになるとみられます。12月に利上げする可能性があり、長期金利は
緩やかな上昇が予想されますが、投資家は高い利回りの獲得が可能となり、債券投資による収益低下
は限定的になるとみています。
21日の海外市場では、黒田総裁が会見で国債買入れ額の増減はあり得るとコメントしたことが、マ
市
会
減
ネタリーベース拡大ペースを低下させるのでは、と懸念して円高・米ドル安になったものの、9月の
日米の金融政策会合の結果をもって、これまでの見方を変えなくともよさそうです。日本はデフレ脱
却に時間を要することから金融政策は緩和的であり、米国は追加利上げの準備が進んでいます。米国
消費のもう一段の回復が、日本や欧州、中国の生産増・在庫減と輸出数量回復で世界需要を押し上げ、
緩やかな金利上昇が債券の収益悪化を抑制し、割安と見られる株式が注目されると思われます。
チーフ・ストラテジスト
神山直樹
■当資料は、日興アセットマネジメントが投資環境についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資料ではあり
ません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来
の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産は為替変動リスクもあります。)を投資
対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用を
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