平成27年1月7日版学校便り

坂の上小だより
(窓辺より)
平成27年1月7日
<新年を迎えて>
あけまして,おめでとうございます。
新年早々に雪がふりましたが,たいしたこともなく,ヒツジ年のスタートにふさわしい,
たいへん穏やかな新年を迎えることができました。羊は群れで行動し,穏やかで優しい動物
です。ですから,ヒツジ年は,穏やかで温かく,みんなでまとまって「平和」に暮らすこと
ができる年とされています。平穏な一年になるといいですね。
今年一年,全校の皆さん,子どもたちも,先生方も,みんなが生
き生きのびのびと生活できる学校になってほしいと願っています。
そうした学校にするために,
「共育:共に育つ」
「協育:協力して育つ」
「強育:強く育つ」の三つのきょういくが大事と,繰り返しお話し
してきました。
もし勉強が分からなかったら,それを正直に伝え,みんなで調べ
たり,考えたり,意見を交換したりして,分かるようになるまで努
力しよう。友達関係でも,学習のことでも,一人で悩むより,みん
なで考えた方がよりよい方向が見つかるはずです。また困っている友だちをみんなで支え合い,
助け合える学級・学校は,穏やかで温かな気持ちになれる,とても居心地のいい学級・学校です。
これからも「共育・協育・強育」の三つのきょういくを,学習の場だけでなく,掃除や給食,
児童会など,生活の場でも,大事にしていきたいと考えています。よろしくお願いいたします。
毎年,年始めの講話では,干支の動物にちなんだ昔話をしていたのですが,羊に関わる昔話が
なかなか見当たりません。ですから,今回は羊の昔話ではなく,羊そのものについてあれこれと
お話をしたいと思います。
羊は,約7000年くらい前に,アラビア地方で野生のムフロンという動物を家畜として飼い始め,
次第に羊になったと言われています。日本ではあまり盛んではありませんが,世界中を見ると,
中国やモンゴル,アラビアやアフリカ,ヨーロッパの国々,さらに,オーストラリアやニュージ
ーランドと,羊を飼っている国がたくさんあります。
家畜としてどんな点が良かったかというと,まずアラビアやアフリカのように,乾燥した砂漠
のような地域に生えるわずかな草でも育つことができるし,中国やモンゴルのように,冬の寒さ
が厳しい地域でも生きていける。そんなたくましい生命力があるのに,おとなしい性格で向かっ
てこない。また,広い草原にたくさんの羊を放し飼いにしても,群れになって生活してくれる。
柵で囲まないとちりぢりになって逃げてしまうように思えますが,えさを食べるのに夢中になる
あまり,迷子になってしまうことはありますが,勝手に逃げることはまずありません。本当に理
想的な家畜ですね。
2年生の国語で「スーホの白い馬」というモンゴルのお話を勉強し
ます。主人公のスーホは羊飼いで,広い草原で羊を飼っています。た
くさんの羊がいますので,その内に,周りの草を食べ尽くしてしまい
ます。すると,草のある場所に移動をしていきます。住んでいる家も
「ゲル」という,毛布でできた大きなテントのような家です。引っ越
す時には簡単にたためて,ここに住もうと決めたら,その日のうちに
組み立て終わる。そんな家に住んでいます。そうして草原を移動しな
がら羊を育てていくのです。
では,そうやってたくさんの羊を育てて,どうするのでしょう?
羊は大きく3つのことで役に立っています。
一つ目はモコモコの毛です。羊の毛を刈り取って使います。羊の毛と書いて,「羊毛」「ウー
ル」といいいます。私が着ているスーツ,セーター,それから毛布も羊毛で作られています。柔
らかくて温かいので,世界中で使われています。
二つ目はお乳です。牛のお乳は牛乳と言いますが,羊のお乳だから「羊乳」と言うんだそうで
す。牛乳よりも脂肪分もタンパク質も多いので,高級なチーズにしているそうです。私は食べた
ことがありませんが,きっとおいしいんでしょうね。
三つ目は,これが一番大事で,お肉として食べる。ラム肉やマトンと言われる肉が羊の肉です。
羊の肉を使った料理でなじみがあるのが,帽子のような独特の鉄板で焼くジンギスカン。大きな
肉の塊を長い包丁で薄くそいでいくシシカバブもおいしいですね。この頃は,タンパク質が多く
て,脂肪が少ないので,健康的なうえ,特にラム肉は柔らかくて臭みもないと大人気だそうです。
こんなに役に立つ家畜ですので,スーホのお話で,羊をたくさん飼うことができる人が豊かな
人,立派な人というのも分かりますね。
中国でも羊は,「馬や牛,鶏,豚」と並んで重要な家畜とされてきました。そのため,羊がつ
く漢字がたくさんあります。では,漢字の足し算をしてみましょう。
① 羊+食= 養
・・羊を食べると,栄養があるんですね。
② 羊+大= 美
・・大きな羊が見事。
③ 示+羊= 祥
・・神様に羊を捧げる。めでたいこと。
他にも,善光寺の善,正義の義,空をまいあがる翔など,いろいろな漢字に羊が使われていま
す。豊かなこと,幸せなことにつながる漢字が多いのも,羊が大事な家畜で,平和や豊かさの象
徴だったと考えると分かりますね。
ところが,こんなに優れた家畜の羊ですが,日本では長く飼われていませんでした。それは,
冷涼な気候,乾燥した土地で暮らしてきた羊は,日本の雨がたくさん降って,温かい気候に適応
できなかったこと,日本の柔らかくて水分たっぷりの草が羊には合わないことが考えられます。
私達からすれば,固い草よりずっとおいしいだろうと思うのですが,羊はもっと乾いて,筋っぽ
い草を食べてきたために,水分の多い草を食べ続けると消化が良すぎて,逆におなかを壊してし
まうそうです。
聖徳太子の時代にも日本に羊が贈られた記録があります。その後も何回か羊が導入されました
がうまくいかず,明治時代までほとんど飼育されていません。結局,今から150年くらい前,明
治時代のはじめに,ヨーロッパ人から飼い方を教わって,初めて本格的な飼育に成功できました。
ですから,日本の昔話に羊は登場してこないのです。
十二支は中国で考えられたので,ヒツジ年がありますが,明治よりも前の日本では,ほとんど
の人は,ヒツジ年とは言っても,羊がどんな動物か,本物は見たことがなかったのです。何か不
思議な感じがしますね。
1月のおもな予定
1日(月)∼年始休み(6日まで)
7日(水) 3学期始業式
集団登校(9日まで)
19日(月) スケート教室(1,2年)
24日(土) 重唱コンクール
26日(月)∼給食週間(30日まで)
27日(火) 性教育講演会(6年)
31日(土) 餅つき大会