大問1「地学:星座」 開成の地学 今回のテーマは星座早見の使い方とそのしくみの理解を問う問題が出題されま した。問1~問5まではとてもオーソドックスな設問で、ここで確実に正解しておくことは、最 低限合格に必要な条件と言えます。特に問2は、過去に似た問題が出題されていますし、開成は 天体の出題が多い学校であることは、多くの受験生が知っていることと思いますから、しっかり と対策をして試験に臨んだことでしょう。ですから、問1~問5で確実に正解し、問6で正解で きるかどうかが勝負の分かれ目になります。問6の問題は、難関校では少ないながらも出題例が ある問題ですし、星座早見の仕組みをきちんと理解していれば、その場で考えることでも正解す ることができる問題です。開成の先生は星座早見の使い方を知っているだけの受験生ではなく、 その仕組みを理解していて、さらに応用する力を持っている受験生に合格して欲しい、という意 図が読み取れる問題です。 大問2「化学:物質の性質」 開成の化学 今回のテーマは、鉄やアルミニウム、食塩、ガラスなどが混ざった粉末を、実験 をして識別していくとても標準的な設問です。特別なひねりもなく、確実に全問正解することが 必要な問題です。この問題から言えることは、1つのミスが合否に大きくかかわるということで す。今年は例年以上に問題がやさしいつくりになっていて、実際合格者平均点もとても高いもの でした。ですから、このような基本的な問題はどのようなことがあっても確実に正解しきること が大切です。 あと問7は注目すべき問題です。開成は実験器具・実験の仕方に関する問題がよく出題される ことで有名な学校です。特に「安全に」実験をすることを問う問題がよく出題されるのが特徴で す。今年も問7で出題されていました。実験器具・実験の仕方に関する知識を細かいところまで しっかりと覚える必要があります。 大問3「生物:人体」 開成では生物分野の出題に偏りがあることはよく知られています。人体に関する出題は、過去 においても非常に少なく、今年の出題は本当に久しぶりになります。今年の受験生は当日驚いた のではないでしょうか。ただ内容は非常にオーソドックスで、特別な問題はないため落ち着いて 対応すれば問題ないと言えるでしょう。1つポイントを上げるとすれば、問5になります。理科 の実験では、仮説をたててそれを実証する実験をする、というのが基本的な流れになります。こ の流れに沿った設問が過去に多く出題されていますので、その考え方をきちんと身につけておく ことが必要です。 大問4「物理:電気」 今回のテーマはコンデンサーです。ここ数年で出題が増えてきている新傾向の問題です。ただ しコンデンサーに関する知識が無くても問題が解けるようになっています。実験のデータと先生 と生徒の会話文があり、その流れにそって考えを進めていくと正解できるようになっています。 開成では、この形式の問題の出題がとても多いので、当日は落ち着いて、練習してきた力を発揮 することができれば十分に全問正解することができたでしょう。問題文を読む力、文章の流れに そって考える力を鍛えておくことが開成合格に必須の力となります。いろいろな単元でこの形式 の問題が出題されていますから、さまざまな単元でこれらの力を伸ばしていきましょう。 近年の開成入試の理科はすべて取り切らなければいけない、失点できないものとなっています。 全体的にはオーソドックスな設問が多いですが、難度の高い問題も出題されています。その中で の高得点の競争をし、勝ち抜くのが開成の受験です。つまり 1 問の失点は大きく合否にかかわる ことになります。 計算問題について、 解いたことの無い問題が無いというぐらいに練習しきっておきましょう。 「全部解くことができて当たり前である」というぐらい、過去のあらゆる計算問題を仕上げ、 同レベルの学校が出題した計算問題もしっかりと練習し、自分を磨いていくことが必要です。た だし計算が複雑なものは近年出題されていないことも忘れないで下さい。 知識問題について、 開成中は「カラー写真による出題が無い」ですから、テキストや図鑑をカラーで見るのではな く白黒でとらえたほうが効果的です。あるいは線だけで書かれた図を見慣れておくことも大切で す。多くの年度できちんと観察し描かれた図が出題されていますから、「見たことがあるのに観 たことが無い」では命取りになります。一対一の知識は当然完璧にし、それ以上にそれぞれを仲 間分け、分類するくくりができるように知識の中身も深めて下さい。 時事問題について、 特に地学の分野ではその年に起きた事がらをテーマとして出題することが多くあります。ただ し、それらの現象を知っているだけでは太刀打ちできません。たとえば、日食や月食の知識を知 っていても、それは昭和 63 年に出題された過去問が解ける力に足りるだけです。進化し続ける 開成の問題は、近年では「金星の日面通過」のときの金星の移動の位置についての作図など、素 晴らしい出題があります。このことからも時事問題は知っているだけでは話になりません。そこ から派生する仕組み、原因、変化などもあせて理解していくことが必要です。 実験観察問題について 実験器具の使い方についてはすべての器具について理解しておくべきです。また、その使い方 は当然ですが、実験の失敗についても、どのようにすればよいのかまで理解しておく必要がある のが開成の入試問題です。「こうしたらどうなる」「なぜそのように使う」というように常に考 えながら理解していく必要があります。 これらのことからもおわかりになるでしょう。開成中学の理科の入試問題は、もれの無い学習 を確実に積み上げてきた生徒達が、入試当日の一瞬にすべてをぶつけ、持てる力を爆発させて 1 問 1 問得点をつみ重ね、その結果たたき出した得点を勝負するものなのです。しかしそれはただ いたずらに難しいのでは無く、すべての受験生の努力をも得点として認めてくれる素晴らしい入 試問題でもあります。 これからの受験生たちへ。先輩達に遅れること無く、開成中学合格のためにやれるだけをやり つくし、すべての努力を惜しまず、前へ前へ進みましょう。もっともっと鋭い自分に、研ぎ澄ま せた自分となって下さい!
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