主 論 文 の 要 旨 論 文 内 容 の 要 旨

報告番号
※
第
主
号
論
文
の
要
旨
Regulation of Branched-Chain Amino Acid
Catabolism
論文題目
(分岐鎖アミノ酸分解の調節)
氏
*
名
申請者氏名
ZHEN, Hongmin
論 文 内 容 の 要 旨
血漿アミノ酸濃度は哺乳動物の細胞内アミノ酸濃度に反映されるが、その調節メカ
ニズムは解明されていない。本研究において、我々は、システム L の阻害剤として
2-aminobicyclo-(2,2,1)-heptane-2-carboxylic acid (BCH)処 理 ま た は mammalian target of
rapamycin complex 1 (mTORC1)の 阻 害 剤 と し て ラ パ マ イ シ ン 処 理 を し た マ ウ ス と 処 理
しないマウスを用いて、ロイシンを投与した時の血漿アミノ酸組成に対する影響を検
討した。ロイシン投与後の血漿ロイシン濃度の上昇は、血漿イソロイシン、バリン、
メ チ オ ニ ン 、フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン 、チ ロ シ ン 濃 度 を 減 少 さ せ た が 、BCH 処 理 に よ り ロ イ
シンのこの作用はほぼ完全に阻害された。ラパマイシン処理では、ロイシンの作用に
対 し て BCH 処 理 よ り も か な り 小 さ な 影 響 し か 無 か っ た 。こ れ ら の 結 果 は 、ロ イ シ ン が
血 漿 分 岐 鎖 ア ミ ノ 酸 (BCAAs)、 メ チ オ ニ ン 、 フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン 、 チ ロ シ ン 濃 度 を 調 節
しており、その機構にはシステム L アミノ酸輸送体が関与していることを示唆してい
る。
分 岐 鎖 α -ケ ト 酸 脱 水 素 酵 素 (BCKDH)複 合 体 は 、BCAA 分 解 系 の 第 2 ス テ ッ プ の 反 応
を 制 御 し て BCAA 分 解 を 調 節 し て い る 。 本 研 究 で は 、 我 々 は マ ウ ス 心 臓 の BCKDH 複
合 体 に 対 す る mTORC1 阻 害 剤 ラ パ マ イ シ ン の 処 理 の 影 響 を in vivo で 検 討 し た 。 コ ン
ト ロ ー ル マ ウ ス に お け る ロ イ シ ン 経 口 投 与 は 、心 臓 の ロ イ シ ン と α -ケ ト イ ソ カ プ ロ ン
酸 濃 度 の 増 加 と と も に BCKDH 複 合 体 を 活 性 化 し た 。 し か し 、 ラ パ マ イ シ ン 処 理 の 場
合 で は 心 臓 の ロ イ シ ン と α -ケ ト イ ソ カ プ ロ ン 酸 濃 度 の 同 様 な 増 加 に も 関 わ ら ず ロ イ
シ ン に よ る BCKDH 複 合 体 の 活 性 化 は 有 意 に 抑 制 さ れ た 。 ラ パ マ イ シ ン 処 理 は リ ボ ソ
ー ム タ ン パ ク 質 S6 キ ナ ー ゼ 1 の リ ン 酸 化 に よ り 測 定 し た mTORC1 の 活 性 を 完 全 に 阻
害 し た 。こ れ ら の 結 果 よ り 、mTORC1 は 心 臓 の BCAA 分 解 の 調 節 に 関 与 し て い る こ と
が示唆された。