平成27年度「基礎・基本」定着状況調査について

平成27年度「基礎・基本」定着状況調査について
広島市立広島中等教育学校
6月16日(火)に、公立中学校2年生を対象として、広島県内一斉に「基礎・基本」
定着状況調査が行われました。内容は、国語・数学・理科・英語の4教科と、生活と学
習に関する意識・実態の調査です。このほど、その調査結果が発表されましたので、国
語・数学・理科・英語の4教科についてご報告いたします。
各教科の平均通過率(%)
国
語
数
学
理
科
英
語
全体
TⅠ
T2
全体
TⅠ
T2
全体
TⅠ
T2
全体
TⅠ
T2
広島県
73.6
75.7
64.8
70.4
74.2
57.2
50.2
51.0
49.1
68.2
70.2
60.6
広島市
71.4
73.8
61.8
68.0
71.1
55.5
47.5
48.4
46.1
64.8
66.7
57.3
本校
88.1
88.7
85.7
92.2
95.3
81.8
84.6
79.5
89.5
96.6
96.1
98.7
T1(タイプⅠ):基礎的・基本的な学習内容
T2(タイプⅡ):教科で学習した知識・技能を実生活や学習の様々な場面に活用する力
本校の結果分析と今後の取組
国 語
【分析】
「故事成語の意味を理解し、日常の場面で適切に使うこと」「小学校で履修する漢字の
読みかた」の定着状況について本校生徒は100%の通過率でした。ただし、『意識』
『習慣』という基礎的な漢字の読み書きの正答が得られなかった生徒が数名います。調
べたところ、解答欄を間違っていたことが要因です。校内テストにおいてもこのような
不注意によるミスが見受けられる生徒が若干名います。文語文法や表現技法・多様な語
句の使い方に関する「言語知識」は高い通過率を示しています。授業から習得した基本知
識の定着が伺えます。
一方で最も大きな課題は、「登場人物の心情を把握し簡潔にまとめて書く」ことです。
読解した内容の要旨を短い言葉でまとめて書く力が備わっていないことが伺えます。内
容を理解できても、どのような言葉を使って書けばよいのかという点で悩む生徒がいま
す。「叙述の仕方を確認して書く」という課題においても3割の生徒が、表現する語彙
が不十分であるために通過率が低くなっています。獲得した知識を、いかに応用させて
自分で書いたり、話したりする表現技能につなげていけるかという点が今後の課題です。
【今後の取組】
授業では文学的文章の読解の際、会話文や行動に注目して人物像を捉え自分の言葉
でそれを短くまとめる、という作業を意識して多く取り入れています。また今後の発
達段階に沿って、後期は「根拠を明確にして自分の考えを書く・述べる」という論理的
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な思考や叙述の力を伸ばすために、補助教材を利用した説明文読解演習や、文の構造
を意識した意見文の書き方に取り組みます。
数
学
【分析】
「数と式」の領域の通過率が97.9%で、基本的な計算の能力は身についていると
思われます。関係を文字式で表す問題で通過率がやや低いですが、間違えた生徒は7名
だけです。
「図形」領域の通過率は92.0%で、球の体積に関する問題で、83.0%とやや
通過率が低いのが気になります。公式を覚えていないのが原因だと思われます。
「関数」領域の通過率は96.9%で、基礎基本は理解できていると考えられますが、
比例のグラフの理解に関する問題で61.6%と低く、比例のグラフの特徴を、正確に
述べることができていなかったようです。
「資料の活用」領域の通過率は85.7%で、他の分野と比べると、やや低いようで
した。特に、グラフから読み取り、説明する力がついていないようです。
【今後の取組】
・単元ごとに確認テストを実施し、基礎・基本が定着していない生徒に対し、繰り返し
演習をしていきます。
・継続的なドリル学習を行い、計算技能の定着を目指していきます。
・基礎・基本の定着にとどまることなく、いくつかの単元を組み合わせた問題にも取り
組み、数学的な思考力、判断力などの育成を図っていきます。
・計算だけでなく、説明する力をつけるように、教材を考えていきたいと思います。
理
科
【分析】
「物理分野」では、通過率が82.1%と、基本的な道具の使い方、実験の仕方は身
についていると思われます。今後も演習や実験を取り入れ、さらなる向上を目指します。
「化学分野」では、通過率が95.4%で、基本的な知識は定着していていると思わ
れます。今後も実験から仮説と考察を行わせ、内容理解の深化に努めていきます。
「生物分野」では、通過率が74.8%で、そのうち発展的な内容の通過率は、95.
5%ですが基礎的な内容は61.0%です。実験観察を中心にしながら、基礎的な内容
と発展的な内容をバランスよく指導していきます。
「地学分野」では、通過率が85.9%であり、県の通過率の約2倍となっています。
今後も、地学的事象の空間的な理解を深めるために、モデル教材の利用や視覚的教材を
工夫して用い、生徒の理解を深めていきたいです。
【今後の取組】
・生徒全員の理解の定着を目指して、ICT や様々な演示を通して視覚的に理解できる工
夫を授業で行います。
・実験や観察に関して、①実験の目的を明確にし、②仮説を立てさせ、③仮説と目的に
基づいた考察を行うような取り組みを、一層進めていきたいです。
・きめ細かく小テストを行い、スモールステップでの理解の定着を図っていきます。
・生徒の学習意欲を高めるように、タイミングよく教材や問題演習を行う工夫を行いま
す。
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英
語
【分析】
「聞くこと」「読むこと」「書くこと」「話すこと(実技)」「読むこと・書くこと」の
全ての領域で、いずれも94%以上の高い通過率になっています。広島県の平均通過率と
比較しても「読むこと・書くこと」の領域では38%以上、「書くこと」の領域では36
%以上、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」の3領域でも20%以上の高い通過率で
した。
学習初期段階でフォニックスを導入し、音声指導を徹底させた後、イントネーション、
抑揚、強弱などを意識させての本文の音読、本文の概要を考えながら本文を全文暗誦する
取り組みを重視し継続的に行っていることが、「内容を考えた音読」や「適切な語を用い
た会話文の組み立て」の高い通過率に繋がっていると思われます。
「書くこと」の領域全体では、96.3%と高い通過率ですが、2つの質問のうちの1
つでは77.7%の通過率しかありませんでした。これは、疑問詞Whatの後[animal do y
ou like?]
とすべき文を[do you like animal?]
と解答した生徒が多く、『文の決まり
を理解した作文ができない』と分析が報告されました。これは、日々の学習で「疑問詞+
yes,noで答えられる疑問文」と指導していることが、徹底していたためであり、文の決ま
りを理解できていないのではないと判断できます。基礎を理解した上で、今後は求められ
ている解答につなげることができる応用力を備えることが課題だと思われます。
【今後の取組】
次のような取組を通して、全技能の能力を更に高めていきます。
・「聞くこと」では、リスニング問題での概要や、要点の把握に課題があります。継続し
て聞き取り課題に取り組んだり、少し長い文を聴くことを取り入れたりします。
・「話すこと」では、ALTと個別の英問英答をする機会を更に増やします。
・「書くこと」では、単語・英文テストを継続します。同時に、ERの授業でインプットし
たことを、スピーチの原稿づくりや英文日記など、大量にアウトプットする機会を設定
します。
・「読むこと」では、ERの授業を中心に場面と合わせたネイティブの自然な英語に多く触
れ、状況に応じた英語表現を身につけさせます。
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