Weekly Market Report 1. 為替相場概況

発⾏:市場営業部
Weekly Market Report
Nov 9, 2015
FX, JPY Interest Rate, Topic
1. 為替相場概況
市場予想を上回る好調な雇用統計で12⽉利上げは確定か?
USD/JPY (1週間の値動き)
米国雇用統計の発表
イエレンFRB議⻑の議会証⾔
(出所)Bloomberg
コメント
先週の為替相場は、好調な米国雇用統計を背景にドル⾼が進⾏した。雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想+18.5万
人に対して+27.1万人の⼤幅増、失業率も5.0%であった。ほぼ完全雇用の状況下で、NFPが20万人を超えてくる事を市場は予想しておら
ず、ポジティブサプライズとなった。また、平均時給(前月比)も市場予想は+0.2%であったが実際は+0.4%となり、こちらもポジティブサプライ
ズとなった。賃⾦の上昇から米国市場が予想以上に強含んでいることが⽰唆され、雇用統計前から12月利上げの地固め発⾔をしていたFed⾼
官の⾒通しを裏付けるものとなった。市場では12月利上げは完全に織り込まれており、今後は利上げのスピードに注目が集まる。12月まではド
ルが強含むことが予想されるが、利上げ直後はドル安が進⾏しやすいアノマリーもあることから、年明け以降の為替相場には留意が必要だ。
(市場営業部/池田)
USD/JPY(2年間)
今週の経済指標(予定)
日付
イベント
予想
11/10(火)
(中国)消費者物価指数
1.5%
11/11(水)
(中国)鉱工業生産
5.8%
11/13(⾦)
(米国)小売売上⾼(前月比)
0.3%
11/13(⾦)
(米国)PPI(前月比)
0.1%
11/15(日)
G20サミット
今週のレンジ予想(USD/JPY)
予想者
今週のレンジ
予想のポイント
⾼野一歩
122.00-125.00
先週末の米雇用統計が予想外に強い結果となったことから、12月の米利上げ観測が一段と強まり円安が進みそう。
國井靖子
122.50-124.50
強い米雇用統計を受け、堅調推移継続。利上げを嫌気した米株価の下落が無ければ、124円台まで続伸する可能性も。
1
Nov 9, 2015
2. 円⾦利相場概況
円⾦利は上昇圧⼒が掛かりやすい展開となるだろう
10年国債⾦利と債券先物 (1週間の値動き)
10年債利回り
10年国債⼊札
債券先物
(出所)Bloomberg
コメント
先週の円⾦利相場は、スワップ市場には⼤きな変化は⾒られなかったが、国債市場は⻑期、超⻑期ゾーンを中⼼に⾦利は上昇した。米国
ではISM非製造業景況感指数等が堅調な結果となり、4日のイエレンFRB議⻑の議会証⾔では12月利上げの可能性が⽰唆されたことか
ら、米国債市場は中短期ゾーンを中⼼に⾦利上昇。5日に実施された10年国債⼊札は無難に消化されたものの、米⾦利上昇を受けて、
ドル円相場は120円台から122円台へと上昇、日経平均株価が19,000円台を回復する中、円⾦利相場は軟調な地合いを継続。10年
国債利回りは0.32%台へ上昇して週の取引を終えた。今週の円⾦利相場は引き続き軟調な展開を予想する。先週末の雇用統計を受け
て米⾦利は上昇トレンドを継続しており、円⾦利にも上昇圧⼒が掛かりやすい展開となるだろう。
(市場営業部/淺川)
⾦利スワップ変化(1週間)
(%)
5年円⾦利スワップ推移(2年間)
(%)
今週のレンジ予想 (10年国債利回り)
予想者
後藤賢太郎
小野口裕美子
今週のレンジ
0.30%-
0.35%
0.30%-
0.36%
予想のポイント
好需給とはいえ日銀の追加緩和期待の後退や米利上げへの可能性が⾼まる中で円⾦利の低下余地は限定的。
米⾦利年内利上げ期待を受けた円⾦利上昇と好需給による円⾦利低下の綱引き状態で、相場はもみ合い推移を予想。
2
Nov 9, 2015
3. 今週のトピックス
IMMポジションから⾒る為替相場⾒通し
投機筋は足元ドルロングポジションを構築中。当面はドル高トレンド継続か
IMMポジションとは
IMMポジションとは、米商品先物取引委員会(CFTC)が通貨
毎の建玉明細を集計し、当該週の⾦曜日の取引終了後にHP上
で公表しているものである。建玉明細の⼤口玉は報告義務があり、
投機玉と商業玉に分かれ、市場は特に投機玉の建玉明細に注目
する。建玉明細は「買い建玉-売り建玉」で計算され、プラスであ
れば、ネットポジションはロング、マイナスであれば、ネットポジションは
ショートとなる。この数字は市場全体における投機筋の保有するポ
ジションの縮図と捉えることができ、このポジションの偏りを把握するこ
とは今後の相場⾒通しを⽴てるうえで参考となる。
<ポイント>
・ネットポイジションがロングかショートかニュートラルかにより、投機筋
の相場観が強気か弱気かニュートラルか推測できる。
・ネットポジションの偏りの⼤きさから、ポジションの巻き戻しが起こった
際のインパクトが推測できる。例えば、円のポジションが⼤きくロング
に偏った際、円ロングの巻き戻し(円売り)が一旦起こると、円ロン
グの保有者の多くは、こぞってロングポジションを⼿仕舞う⾏動に出
ることから、「ロスカット(売り)がロスカット(売り)を呼ぶ」状況と
なり、相場が⼤きく変動することが推測できる。
米ドルと主要通貨のポジション動向
米ドルと主要4通貨の⾜元のポジションを⾒ると、ポンドのみニュー
トラルに近いものの、その他通貨はショートポジションであることが⾒
てとれる(図1)。
米ドル円の⾜元のポジションを⾒ると、積み上がった円ショートポジ
ションを9月〜10月にかけて一旦は解消したものの、再び円ショー
トポジションを構築していることが⾒てとれる(図2)。また、ユーロ
ドルのポジションについても同様の傾向が⾒てとれる(図3)。
ドルロングポジションに積み上げ余地あり
【図1】主要4通貨とドルインデックス(過去3年間)
(枚数)
200,000
豪ドル
英ポンド
ユーロ
円
ドルINDEX
100,000
105
100
0
95
-100,000
90
-200,000
85
-300,000
80
-400,000
75
【図2】米ドル円(過去3年間)
(枚数)
↑円ショート
-150,000
130
IMM ポジション
-125,000
120
米ドル円
-100,000
110
-75,000
100
-50,000
90
-25,000
80
0
70
【図3】ユーロ米ドル(過去3年間)
(枚数)
↓ユーロショート
100,000
1.4
1.35
50,000
1.3
0
1.25
-50,000
1.2
投機筋は⾜元ドルロングポジションを構築中であるが、ヒストリカル
に⾒た場合、現状のポジションは⼤きく偏った水準とは⾔えず、ドル
ロングポジションの積み上げ余地はあると推測される。4日のイエレ
ンFRB議⻑の12月利上げを⽰唆する発⾔や、前回ECB理事会
でのドラギ総裁の追加緩和予告を勘案すると、投機筋は今後ドル
ロングポジションのさらなる積み上げを図る可能性が⾼く、当面はド
ル⾼トレンドは継続するだろう。
(市場営業部/淺川)
-100,000
1.15
-150,000
1.1
IMM ポジション
-200,000
1.05
ユーロ米ドル
-250,000
1
( 出所 CFTC、Bloomberg )
3
Nov 9, 2015
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