平成22年度 九州市民大学「サマースクール集中講義」 講義概要

◆平成22年度 九州市民大学「サマースクール集中講義」◆
講義概要・時間割
時限
時間
講師
Ⅰ時限 10:30∼11:50 日比野 利信氏
演題
講義概要
福岡藩は幕末の政局で重要な役割を果たしましたが、政局の変化
によって、藩内の尊攘派と佐幕派の対立が激化し、藩主黒田長博
が尊攘派を弾圧したため、以後の政局の中心から大きく後退し、明
治維新に乗り遅れるかたちになりました。このことは明治維新後の
福岡藩の人びとにとって痛恨の出来事として意識されていくことに
なります。
本講義では、幕末福岡藩の記録史料をひもときながら、福岡藩の
明治維新の実像に迫ります。
幕末福岡藩の物語
(北九州市立自然史・歴史博物館学芸員) ∼記録と記憶∼
昼食・休憩
11:50∼12:50
Ⅱ時限 12:50∼14:10 小河 扶希子氏
(福岡藩幕末史研究者)
江戸時代の最末期、歴史が大きく動く中、文人・野村望東尼は福
岡藩京都藩邸の要請をうけ、国元の様々な動きを報告していまし
た。ところが、それらが歴史の核心を衝くものであったため、思いも
おもしろき事も無き世を・・・ かけない「波瀾の生涯」を送ることになってしまいました。さらに、明
野村望東尼
治の半ば、歴史編纂の折、望東尼という人物を維新史の中に引き
入れる意図であったのか「勤王歌人」という呼称をあて、一つのくく
りの中に封じ込めた。「勝者の論理」の都合に合わせた人物像に仕
立て上げられていたのです。
休憩
14:10∼14:30
Ⅲ時限 14:30∼15:50 石瀧 豊美氏
(福岡地方史研究会会長)
明治の英才群像
∼藩主黒田長薄の人材育成∼
福岡藩主黒田家は好学の家でした。藩校修猷館が東学問所と呼
ばれたのは、もう一つ、西学問所甘棠館(中途で廃絶)があったか
らです。第10代藩主黒田斉清は、いくつもの著作を持つ博物学者
でした。第11代黒田斉博(長博)は藩校賛生館(医学校)を興し、九
州大学医学部の基礎を築きました。幕末・、明治の留学生からは、
大日本帝国憲法を起草した金子堅太郎が出ています。
人材を輩出した福岡藩黒田家の役割を振り返ります。