3 薬が誕生し、世に出るまで 4 薬に施された工夫~化学的な側面から

[研究室] 職名/氏名
No.
講義概要
[薬化学]
教授 杉原 多公通
1 化学と薬
カルボン酸とアルコールの脱水縮合によって生成するエステルは、桃やメロ
ン、バナナやパイナップルなどの果物の香りの成分です。このエステルという
化合物群は、生物の細胞を取り囲む細胞膜の構成成分でもあり、医薬品の構造
の中にもいろいろなエステルが見られ、エステルを組み込むことによって経口
投与ができるようになったり、薬を飲む回数を減らしたり、作用を強くするこ
とができるようになります。生命活動や医療とエステルの「化学」との関わり
を、最近のトピックスを交えながら講義します。
2 食品と医薬品の違い:乱用の恐ろしさ
私たちは、身の回りにある草花や果実を食べ、栄養としています。また、ある
種の草花や果実そのものや、その成分を取り出したものを医薬品として用いて
きました。この「食品と医薬品の違い」がどこにあるのか理解すると、「食品
とは異なり、医薬品をたくさん摂取するのは危険」であるという、「医薬品」
がもつ「負の一面」が見えてきます。化学という切り口を用いて、「食品と医
薬品の違い」や「薬物乱用」に潜む恐ろしさについて概説します。
3 薬が誕生し、世に出るまで
医薬品は、「身の回りにあるものの中から医薬品の候補になりそうなものを探
し出し、その作用を調べ、より良いものへと作り変え、安全性を確認した後、
生産・販売され、さらに市場に出回ってからも再び有効性が確認される」とい
う過程を経て、開発されています。世界に誇る、日本で開発された医薬品を例
に挙げ、開発過程を概説します。
4 薬に施された工夫~化学的な側面から~
医薬品は様々な構造をしています。それ故、体にほとんど吸収されなかった
り、代謝が早かったりして、期待した効果が表れ難いものも沢山あります。こ
れらに化学的な工夫(修飾)を施すことによって、吸収されやすく、作用時間
が長い医薬品へと改良できます。この薬に施された化学的な工夫について概説
します。
5 安定な薬と不安定な薬
医薬品の中には、水に触れたり光を照射すると分解するものがあります。この
安定性が医薬品の保存方法や投与方法に大きく影響します。幾つかの医薬品を
例に挙げ、概説します。
6 薬の歴史と薬剤師
時代劇を見ていると、「悪霊が憑りついたから、病気になった」と言っている
場面に出くわすことがあります。その昔、医療は宗教と同一視されていまし
た。時代の流れと科学技術の進歩とともに、医療という概念が形成され、発展
してきました。これと同時に、薬剤師の役割が変わり、さらに次世代に向けて
進化しています。この薬を中心とした医療と薬剤師の役割の変遷を概説しま
す。
助教
田代 卓哉
7 生活の中の理科
身近な化学現象に対して、興味を持って観察する力を養います。友人や親兄弟
に話をしたくなるような、日常生活で耳に、目にしている科学現象(例えば湿
度と液体の蒸気圧、沸点の関係)を題材に、簡単な体験実験を行って理解を深
めます。
[研究室] 職名/氏名
No.
講義概要
[薬品製造学]
教授
北川 幸己
8 くすりの歴史
古来から使用されてきた民間薬、伝承薬について講義するとともに、現在使わ
れている医薬品がどのような経緯で発見、あるいは発明されたかについて講義
する。
9 インスリン研究の歴史
インスリンは糖尿病の治療薬として知られる重要なタンパク質であり、発見以
来研究者を魅了してきた。多くの研究者がインスリンを研究対象としてノーベ
ル賞に輝いたことを踏まえ、インスリン研究の歴史を解説する。
[生化学]
どのようにして我々は病原体の侵入を見つけているのか?
准教授
小室 晃彦
10 /病原体との戦い
我々の周りには多くの病原体が存在するが、簡単には感染しない。理由の一つ
として病原体/非自分の侵入を見つけ、病原体に不利な状況を作るからだ。一
方、病原体もそれをかいくぐる戦略をもって抵抗している。
助教
宮本 昌彦
11 薬と遺伝子・DNA
生物の構造や機能の設計図であるDNAや遺伝子のしくみをわかりやすく解説
する。またそのしくみの異常によって生ずる病気を紹介し、その治療に応用さ
れている遺伝子の知識や遺伝子工学について解説する。
[薬効薬理学]
准教授
川原 浩一
12 アルツハイマー病治療薬
社会の高齢化に伴い認知症の患者数は増加の一途をたどっています。現在使用
されているアルツハイマー病治療薬の特徴とその限界について説明するととも
に、根本的な治療薬開発に向けた研究成果についても紹介します。
[薬品分析化学]
教授
大和 進
13 体の中の薬物をはかる
ある薬を飲みすぎると、副作用がおこることがあるので、体内の薬の量を調
べ、必要に応じてお薬の量を調整し、副作用を減らすことが重要です。この講
義では、体内の薬物の測定方法について話します。
14 ストレスの度合いをはかる
ヒトは物理的、身体的などのさまざまなストレスを受けながら生活していま
す。この講義では、現在、研究されている体内のストレスを測定する方法やス
トレスを軽減する物質について話します。
助教
中川 沙織
15 個人個人にあった薬を選ぶ
ある薬を飲みすぎると、副作用が起きますが、ヒトの遺伝子を調べることで、
副作用の出やすさが分かり、個人個人にあった薬の量を調節できます。この講
義では、薬物に関係する遺伝子の診断方法について話します。
16 検査に及ぼす薬の影響
薬を飲むと、薬の種類によっては、検査値が正しくない場合が起きます。この
講義では、実際に薬学部で行っている講義の一部の「薬を飲むことによる検査
値の影響」について話します。
[研究室] 職名/氏名
No.
講義概要
[薬品物理化学]
教授 星名 賢之助 17
薬学の中の物理学
「薬=化学」と「人体=生物学」の相互作用を、いかに効果的にかつ安全に取り
扱うか、という目的のために薬学という学問があります。その中で、物理学は
どのような役割をしているでしょうか?をお話しします。
助手
城田 起郎
18 喫煙・薬物乱用は「ダメ。ゼッタイ。」 薬物乱用が将来の目標達成に、いかに無意味な行為であるのかを認識し、「前
向きな思考」で薬物に手を出さない意識を持っていただく事を目指して講義を
行います。また、未成年の喫煙についても併せて講義を行います。
[生物薬剤学]
教授 久保田 隆廣 19
「薬学」に関するお仕事
~薬剤師だけじゃない。薬学知識が役立つ仕事。~
薬を数えて渡すだけが薬剤師の仕事ではありません。勤め先が病院か、調剤薬
局か、ドラックストアかでも仕事内容は異なります。製薬、化粧品、食品など
の企業でも薬学知識が役立ちます。厚生労働省をはじめとした行政でも活躍し
ています。医療専門職といった先入観にとらわれないためにも、その先の多く
の活躍の場を紹介し、そのために大学でどのようなことを学ぶのかをわかりや
すくご紹介します。
[物理薬剤学]
准教授 飯村 菜穂子 20
薬として働くための形・工夫
~薬学ではこんなことを学びます~
私たちの生活の中で薬はとても身近なものとなっています。その薬は様々な形
をしています。なぜ薬には色々な形があるのでしょうか。また薬を効かせるた
めにどのような工夫が施されているのでしょうか。薬の不思議で神秘的な世界
に皆さんをご招待します。そして薬のエキスパート「薬剤師」の姿、重要性に
ついてご紹介します。
21 薬に施された工夫 ~製剤学~
薬物の治療効果を最大に高め、副作用の少ない薬をつくるため様々な技術が導
入され、薬に化学的、物理的な修飾がおこなわれています。現代の「くすり」
をつくる技術は大きく進化しその方法は様々でとてもユニークなものです。患
者さんにとって使用しやすい薬の形にするための設計や患者さんが治療に積極
的に参加し、薬を正しく服用できるための加工技術について紹介します。
22 からだの表面に作用する薬
体の中に入って作用する薬だけではなく、体の表面に作用する薬があります。
体の外側から作用する医薬品、医薬部外品、化粧品について皮膚の構造ととも
に説明します。
「薬の基礎知識を深めよう」
23 薬のなりたちとその働き~薬のもつ2つの顔~
薬について理解を深め、正しい使い方を知ることで自他を大切にする心を育
て、また適切な行動選択ができる判断力や態度を養ってもらうための講座で
す。
[研究室] 職名/氏名
No.
講義概要
[物理薬剤学]
助教
島倉 宏典
24 ミクロな世界を想像する力
分子や原子という言葉は理科教育においてよく耳にする言葉であり、言葉とし
ては身近なものであるといえる。しかし、多くの人がその存在を想像すること
なく生活をしており、原子や分子が現実に存在しているということを現実とは
かけ離れたものであると認識している。
講義では、物質が原子や分子から構成されていることと自然現象とをつなげる
ことで原子や分子が存在するという前提を理解することを目的とする。また、
物質に含まれる原子や分子の観測方法について最新の実験施設と絡めて紹介す
る。
[衛生化学]
教授
皆川 信子
25 薬楽の世界へようこそ!
徳川家康は“健康おたく”で、趣味は「薬学」!モーツァルトの死に寄生虫が
関わっていたかもしれない?わくわくするエピソード満載の「薬」と「薬剤
師」の世界をご紹介したいと思います。「薬学」ならぬ「薬楽」で、目と耳と
脳と心に新鮮な知的刺激をどうぞ!
助教 冨塚 江利子 26
がんの代謝
がん組織における代謝は、通常組織とは異なっている。現在、さまざまな治療
法が存在するが、それに抵抗性のあるがんに対して、がんの様々な代謝系を標
的とした治療法の開発のための基礎研究を行っている。
[公衆衛生学]
教授
酒巻 利行
27 街の科学者~薬剤師~
薬以外にサプリメント、食品添加物、環境汚染物質など、健康に影響を与える
物質が多数存在しています。このような物質の作用を科学的に分析する力を持
つ薬剤師の仕事について講義します。
28 がんはどうしてできるのか?
がんは日本人にとって最も脅威となる病気であり、今や3人に1人ががんで亡
くなっている計算になります。がんどのようにしてがん細胞でできてくるのか
を正確に知ることにより、それを予防や治療に結びつけることが可能になりま
す。今回は、がんがどうしてできるのか、また新しいがんの薬などについて講
義をいたします。
助教
佐藤 浩二
29 化学物質による環境汚染と生物への影響
人間が合成した様々な化学物質は大量に環境中に排出され、公害問題を引き起
こして来た。現在の状況について概説する。また、このような衛生薬学の分野
の学習も、薬剤師になるために必須であることを説明する。
[研究室] 職名/氏名
No.
講義概要
[微生物学]
教授 中村 辰之介 30
ヒトは何処から来て何処へ行くのか
ヒトは何故生きているのか、これからどうなるのか、子供の頃にあった疑問に
対する答えが見つかる
31 感染症とは何か
我々が病気となる第一の原因について知り、それに対する正しい対応を学ぶ
32 生命体と薬
生命とはなにか、薬はどうして効果があるのか、直感的に理解する教室となる
33 これからの「生」の話をしよう
若い君たちはこれからどのように生きればより良い生を全うできるのか、自身
の選択と失敗の具体例から一般論に至る
34 私が推薦する本
あまり数が多い本のどれを選んだらより有効な読書体験ができるのか、私に刺
さった具体例を紹介する
35 基礎生物学入門
生物学を学んでいない君に、生物学を概説する
[臨床薬物治療学]
教授
若林 広行
36 骨粗鬆症の予防には20歳までの生活習慣が大切
骨粗鬆症とは骨の質が低下して骨折しやすい病態をいいます。特に背骨(椎
骨)と大腿骨頸部が折れやすく、骨折治療後には認知症や寝たきりになってし
まう患者さんが大変増えています。骨粗鬆症の発症には20歳頃までの生活習
慣が大きく影響します。普段から心がけるべき予防のための大切なポイントを
お話しします。
37 薬はいつ飲めば効果的、いつ飲めば副作用を減らせる?
私たちの脳には体全体の規則正しいリズムを作る1周期が約25時間の体内時
計が存在します。服用した薬の体内での動き(吸収、分布、代謝、排泄)が体
内時計のリズムに左右され、いつ薬を服用するかで、その効果と副作用の発現
が大きく変わること、また、多くの病気や症状にもリズムがありいつ病気が起
きやすいか、症状が重くなるかその時間帯もわかってきました。これらを考慮
して、最少量で最大効果を上げ副作用を最小に抑える時間薬物治療について、
生活習慣病や癌などを例にお話しします。
38 こんな生活習慣・食生活ではこんな病気になる可能性が!
いろんな健康食品やサプリメントなどが氾濫して、健康維持に何が必要で何が
科学的に認められているのか。また、体に良いと言われる食事、食材、食事時
刻についての情報も氾濫しています。正に生活習慣、食生活を見直して病気に
ならないように自ら努力することが必要。生活習慣病はお年寄りの病気ではあ
りません、若年時に発症する人が増えています。一生健康で過ごすために若い
時に心がけるべき事などをお話しします。
[研究室] 職名/氏名
No.
講義概要
[臨床薬理学]
教授
渡邊 賢一
39 心臓病
心筋梗塞・心臓弁膜症などの心臓病は最後に心不全となる。心不全に各種治療
薬が使用されているが、十分とは言えない。それゆえ、心不全モデル動物を用
いて、心不全のメカニズム解明・新治療薬開発などが重要となる。
[薬物動態学]
教授
上野 和行
40 体の中での薬の動き
薬により病気を治療したり予防したりうることで、人類は本来有する寿命を全
うできるようになってきました。そして薬の開発をはじめとした生命科学は目
覚しい発達を遂げていますが、薬による不幸な反応により大きな犠牲もあるこ
とが知られています。一般に多くの薬は経口投与されますが、本当に投与され
た薬は全て体の中へ入るのでしょうか。個人差という言葉がありますが、薬の
効果などには大きな個人差があります。その大半が体の中での薬の動きによる
といわれています。近年その個人差の多くが論理的に説明できるようになって
きました。本講義では体の中での薬の動きを解説し、薬の持つ面白さを紹介し
ます。
[臨床薬学]
教授
坂爪 重明
41 病院薬剤師の役割と使命
病院における薬剤師の仕事(医薬品にかかわる様々な仕事)を概説する。ま
た、医薬品の適正使用や副作用防止の観点から、医師、看護師、その他の関係
スタッフとの連携や薬物治療への関わりについて述べる。
助教
阿部 学
42 薬剤の副作用から身を守るために
薬剤の効果ではなく、副作用について、発現機序や事例を交えたいと思う。副
作用から身を守るために気をつけるべきこと、すべきことについて講義したい
と考える。
助教
齊藤 幹央
43 薬の有害作用(副作用)関連について
大半の薬には副作用がつきものです。なぜ、作用が生じてしまうのかは、様々
な生体側の要因もありますが、事前に予防や早期発見に対応する基本的知識
は、中高生でも必要です。その辺りに関する内容をお伝えいたします。
44 アレルギー(疾患・食物/薬物)関連について
先進国では、近年特にアレルギー疾患患者が増加傾向にあります。何故、アレ
ルギーが起きるのか?等々、依頼に応じた形でお話しいたします。
45 サプリメントと運動(競技)の基礎知識
サプリメントの有効性と安全性、運動時の摂取(アンチドーピング)の観点か
らお伝えいたします。
[研究室] 職名/氏名
No.
講義概要
[病態生理学]
教授
青木 定夫
46 「がん」 は どうしてできるか
現在、日本の死亡原因の第1位であるがんについて、その発症メカニズムや原
因についてわかりやすく解説し、また進歩の著しいがんの治療の現状と未来に
ついて、最新の話題を提供する。
47 「たばこ」は、毒です
現在、日本ではたばこが直接的及び間接的原因となって年間10万人以上が死
亡している。たばこがひきおこす健康被害について、とくに医学的立場から解
説する。
[生物学教育]
教授
白﨑 仁
48 楽しい植物学
植物学の基本知識、生態的な研究材料として、特に維管束植物とコケ植物の生
活史の違いなどを講義する。コケ植物は、環境指標植物と言われている。絶滅
危惧種の種もあるので、その意味についても講義する。
49 自然が生み出す薬
日常、薬として使われる薬草や健康に役立つ身近な植物の知識を講義する。日
常生活で普通に見かける植物を理解するとともに、その利用価値、健康維持に
重要なものが多く含まれるが、逆に危険なことも講義する。
[基礎物理化学]
准教授
田辺 顕子
50 光のものさしではかる -薬と脳と科学捜査-
講義のはじめに、薬学部で学ぶ内容や特色など、薬剤師までの道のりと社会で
の活躍の場などを簡単に紹介します。
模擬講義では、治療薬や生体成分の分析、脳検査、科学捜査などで、いろいろ
な光(電磁波)を「はかること」に利用するしくみと事例をお話しします。
[数学教育]
教授
本多 政宣
51 高校3年の数学Ⅲで習う積分法の薬学への1つの応用
数学Ⅲで習う積分法を利用して,1次反応速度式という微分方程式の解を求
め,薬物を静脈注射した際の血液中の薬物量が注射した薬物量(投与量)の半
分に減るまで時間は,投与量によらず一定であることを導く。
[英語]
准教授
武久 智一
52 英語と日本語の違いいろいろ
日本語を話す私たちが実用に耐える英語運用能力を身に付けようとするとき、
英語と日本語の違いについて認識することが大切になります。この点を踏ま
え、講義では英語と日本語の違いについて様々なものを紹介します。