2015年10⽉13⽇ ⽇本株ファンドマネージャーの視点 『全ての悪材料は織り込んだ!!〜そして英断を待つ〜』 ※このレポートでは、⽇本株ファンドマネージャーが注⽬しているトピックなどを毎週お届けします。 8⽉以降、⽇本株は⼤きく調整をしましたが、その要因についていくつか考えたことを述べたいと思います。 ①国内の景気悪化(2四半期連続のマイナス成⻑) これから発表となる7-9⽉期のGDPの1次速報値については、その前にいくつかの弱めの経済指標が発表され ていることもあり、実質GDPがマイナスとなってもサプライズは⼩さいと思われます。⽇本株が⾜元⼤きく調 整を余儀なくされたのが、国内の景気悪化懸念が原因であれば納得出来ます。 今後、期待される最⼤のポジティブな出来事は、2四半期連続のGDPマイナス成⻑を受け、安倍総理が201 7年4⽉に予定されている消費税の8%から10%への増税を、景気の回復が確実なものとなるまで延期する決 断をすることでしょう。今は次回増税時の軽減税率をどうするかを議論している場合ではなく、消費増税を⾒送 ることを検討するべきだと思います。先ごろ内閣改造が⾏われましたが、内閣改造を⾏っても内閣⽀持率は上昇 しなくなってきています。携帯電話の料⾦の引き下げを指⽰するのではなく、消費増税の凍結を指⽰する英断を すれば、内閣⽀持率も急回復するのではないでしょうか。 ②⼀時的な円⾼ 当初は9⽉、遅くとも年内に利上げが⾒込まれていた⽶国ですが、FRBはなかなか利上げに踏み込めなくなっ ています。むしろ、9⽉の雇⽤統計の予想外の悪化を受け、年内の利上げどころではなくなった可能性が⾼まり ました。これまで⽶国の利上げを期待した円安(⽶ドル買い)が続いてきましたが、利上げ時期の後退が⾒え隠 れする状況でも、⽶ドル/円は120円程度で驚くほど安定して推移しています。⽶国利上げが遅れる中で1⽶ド ル120円程度を維持しているのであれば、ここからさらに円⾼にシフトする可能性は低いと⾒られます。仮に 円⾼になったとしても⽇銀の追加緩和が期待出来るでしょう。 ③新興国通貨の悪影響 多くのアナリストや市場参加者は、⽶ドルやユーロの動きには注意深く⽬を光らせていますが、残念ながら新興 国通貨までは注意が⾏き届かないのが現実です。ただ最近は、新興国通貨が企業業績に与える影響は増々⼤きく なっており、今回のように新興国通貨が⼤きく変動した場合、市場参加者が予想している以上にプラス⾯マイナ ス⾯共に影響が⼤きく出る可能性があります。 このため、市場では新興国との取引が多い企業の業績に対する不透明感が台頭していました。ただ、⾜元では⽶ 国利上げ観測の後退を受け、新興国通貨はリバウンド傾向にあります。 さて、⾜元は、リバウンドの兆しが⾒られる⽇本の株式市場ですが、ここからは銘柄ごとに異なる動きをする可 能性があることを注意するべきだと思います。 ⼤きく分けると、企業業績は本当は悪くは無いのに漠然とした懸念だけで⼤きく調整をし、今リバウンドしてい る銘柄群と、本当に業績が悪化している、あるいはこれから悪化するにも関わらず、テクニカル要因で今リバウ ンドしている銘柄群があると思います。これから本格化する中間決算発表をきっかけとして、前者の銘柄群はリ バウンドが継続すると⾒られます。⼀⽅、後者の銘柄群のリバウンドは継続する可能性が低いと⾒られます。こ れらの銘柄群を⾒極める⽅法としては、もともと保守的に発表されがちな中間決算の上⽅修正よりも、中間決算 でその企業が通期の会社計画を上⽅修正するかどうかがポイントだと思います。今リバウンドしている銘柄の中 で、今後通期業績予想を上⽅修正しそうな割安な銘柄へ投資することが重要だと思います。 株式運⽤部 ⼩出 修 ■当資料は情報提供を⽬的として⼤和住銀投信投資顧問が作成したものであ り、特定の投資信託・⽣命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するもの ではありません。■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成 しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当 資料に記載されている今後の⾒通し・コメントは、作成⽇現在におけるレ ポート作成者の判断に基づくものであり、事前の予告なしに将来変更される 場合があります。■当資料内の運⽤実績等に関するグラフ、数値等は過去の ものであり、将来の運⽤成果等を約束するものではありません。■当資料内 のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 大和住銀投信投資顧問株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第353号 加入協会 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
© Copyright 2025 ExpyDoc