平成 27 年度 山口県臨床検査技師会 精度管理調査 病理細胞部門(細胞検査領域) 解説 【設問 1】正解:5.腺癌 壊死性背景に、核密度の高い柵状構造を伴う腺系異型細胞の小集塊を認めます。核は類円 形~楕円形で、核クロマチンが増量しています。小型核小体を認める細胞もみられ、腺癌 と考えられます。 【設問2】正解:2.LSIL(Mild dysplasia with koilocytosis) 異型扁平上皮細胞が集塊状に出現しています。細胞は、N/C 比大、核形不整、核クロマチ ンの増量が見られ、Mild dysplasia と考えられます。 また、核周囲が空洞化し、空洞辺縁の細胞質が厚みを帯びる koilocytosis の所見も認めます。 【設問3】正解:2.トリコモナス 炎症性背景に、一部 halo を認める扁平上皮細胞とともに、楕円~西洋梨状、ライトグリー ン好性、核不明瞭な細胞が散見されます。壊死物質とも類似していますが、赤色の微細顆 粒を有しており、トリコモナスと考えます。 【設問4】正解:3.子宮内膜増殖症 腺管集塊に多分岐や突出を認めます。細胞間の結合性は強く、集塊辺縁には間質細胞もみ られます。また集塊辺縁からのほつれはみられません。明らかな悪性所見はみられず、子 宮内膜増殖症を考えます。 【設問5】正解:1.組織球 円~楕円形、単核~2 核、細胞質は豊富で泡沫状、小型の核小体を認める細胞が散在性にみ られます。核腫大やクロマチン増量等の悪性所見はみられません。また上皮性結合や線毛 もみられず、線毛円柱上皮細胞も否定できます。組織球と考えます。 【設問6】正解:3.扁平上皮癌 気管支円柱上皮細胞と共に,オレンジ G 濃染で角化傾向を示す不整形の大型異型細胞が散 在性に出現しています。核は中心性,不整形で,濃縮状を呈しています。角化型扁平上皮 癌を考える所見です。 1 【設問7】正解:5.小細胞癌 壊死性背景に、異型細胞が小集塊状に出現しています。 細胞は小型裸核様で細胞質に乏しく、核クロマチンは微細顆粒状に増量しています。 また、異型細胞は互いに圧排するように配列しており、小細胞癌に特徴的な鋳型様配列を 呈しています。 【設問8】正解:1.反応性中皮細胞 少数の組織球と共に,胞体が広く淡明な細胞が散在性および平面的な集塊で出現していま す。核は比較的中心性であり,少数ですが 2 核以上の細胞も認められます。細胞接合部で は window 形成もみられ,中皮細胞由来が考えられます。細胞異型や,2 核以上の細胞の出 現に乏しく,集塊の重積性やオレンジ G 好性細胞,hump 様突起は認められません。反応 性中皮細胞が考えられる細胞像です。 【設問9】正解:5.小細胞癌 非常に多数のリンパ球を背景に,小型の異型細胞が小集塊で出現しています。N/C 比は非 常に大きく細胞質は狭小です。核は類円形から不整形,核クロマチンは微細顆粒状を呈し ています。小細胞癌を考える所見です。 【設問 10】正解:3.尿路上皮癌 異型尿路上皮細胞が集塊状~孤立散在性に出現しています。これらは、淡い細胞質をもち、 N/C 比は増大しています。一部、裸核状の細胞もみられます。 核の大小不同、核形不整、核クロマチンは増量しています。明瞭な核小体を持つ細胞も認 められ、尿路上皮癌と考えられます。 【設問 11】正解:3.充実腺管癌 リンパ球と共に,大型の異型細胞が緩い結合性の集塊で出現しています。個々の細胞は境 界不明瞭で,核は類円形から不整形,細顆粒状に核クロマチンの増量を認めます。また, 大型の明瞭な核小体を有しています。選択肢では充実腺管癌が最も考えられる所見です。 【設問 12】正解:1.アポクリン化生細胞 きれいな背景に、軽度核腫大、明瞭な核小体を認める上皮細胞がシート状集塊でみられま す。細胞質は豊富で、好酸性細顆粒状です。クロマチン増量や核不整等の悪性所見はみら れません。アポクリン化生細胞を考えます。 2 【設問 13】正解:3.乳頭癌 弱拡では、乳頭状集塊がみられます。強拡では、核不整、核小体を認める異型細胞がシー ト状集塊でみられます。また、核はすりがらす状、核溝や核内細胞質封入体も散見されま す。乳頭癌を考えます。 【設問 14】正解:1.ワルチン腫瘍 多数のリンパ球を背景に、好酸性の細胞質を有する上皮細胞がシート状集塊でみられます。 ワルチン腫瘍を考えます。 【設問 15】正解:5.悪性リンパ腫(DLBCL) 上皮結合の見られない、大型腫瘍細胞がびまん性に増生しています。 核の大小不同や核形不整、大型核小体が認められることより、悪性リンパ腫であると考え られます。 この症例では、免疫染色において、LCA 陽性、CD20 陽性、CD79α陽性、S-100 陰性、 MNF116 陰性、AE1/AE3 陰性となり、diffuse large B-cell lymphoma (DLBCL)と診断さ れました。 3
© Copyright 2024 ExpyDoc