機関投資家向け資料 Market Update 2015年8月 現在の市場環境に関する10の所見 本稿では、ポートフォリオ・マネジャーのテッド・サミュエルズが最近 の不安定な市場環境について考察しています。 テッド・サミュエルズ/ Ted Samuels ポートフォリオ・マネジャー 経験年数:35年 在籍年数:33年 ロサンゼルス・オフィス 市場の混乱時を乗り切る最善の方法の一 つとして、テレビを消すことをお勧めしま す。テレビに登場する評論家たちが注目し ているのは、長期的に資産を形成する方 法ではないからです。ただし、そうはいっ ても、市場が極端に動揺している状況は 落ち着かないものです。ですから、現在の 市場状況に関して私が思うところを10ほ ど述べたいと思います。 1. 世界が終わるわけではない 米国株の代表的株価指数であるS&P500 は、2015年8月25日時点で高値から約 10%下落しています。しかし、このことが 世界の終わりを意味しているとは私には 思えません。この程度の調整は通常の株 価変動の範囲内であり、企業利益も依然 として好調です。むしろ、2011年以降に かなりの相場上昇が見られたにもかかわ らず、10%程度の調整すら見られなかっ たことの方が異例と言えるでしょう。 2. 弱気相場も景気後退も差し迫ってい ない 中国の景気減速やFRB(米連邦準備制度 理事会)による利上げへの懸念、原油安 などの不透明要因が重なり、世界同時株 安につながったとの見方に反対はしませ ん。しかし、総じて経済のファンダメンタ ルズは堅実で、流動性の縮小も生じてい ないなか、世界的な景気後退が間近に迫 っているとの兆候も私には見えません。 thecapitalgroup.co.jp 3. 米国をはじめとする世界の銀行システ ムは2007~2008年に比べはるかに堅固 規制当局は、金融機関の財務体質の強化 に加え、過剰なレバレッジの解消を含む システミック・リスクの軽減に厳格に取り 組んできました。その結果、現在の銀行シ ステムに当時のような脆弱さは見られな くなっていると考えます。 4. 中国に問題があろうとも、転換点は近 づいている 多くの市場観測筋は、中国が直近の世界 同時株安の元凶であると非 難していま す。同国の株式市場の低迷が発端とな り、同国の通貨切り下げによってリスクが 増幅されたというわけです。しかし、そう した中国の問題と課題は現在の株価水準 に概ね織り込まれ、今後も株安が続く要 因にはなり得ないと私は考えています。 5. エネルギー銘柄は底入れしつつある 原油価格の下落が続くなか、一部のエネ ルギー関連企業は配当を削減し始めてい ます。しかし、私は、究極的なまでに価格 が下落し、それに対する恐怖が高まるこ とこそが原油価格上昇の前提条件だと考 えています。今まさにそうした状況が広が っていることから、私はいくつかのエネル ギー銘柄について投資に向けた関心を高 めています。 当資料に記載されている運用・調査に関わる人員は、必ずしもキャピタル・インターナショナル株式会社の所属では ありませんが、キャピタル・グループ傘下の関係会社に所属しております。 当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。 当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、 1 その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。 また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。 当資料中に示された予測や見通しにつき ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。 機関投資家向け資料 Market Update 2015年8月 「弊社グループのポートフォリオで は、確かな実績を持つ質の高い 企業に投資しています。これら の企業は金融市場で起きている ことに関わりなく継続的に利益 を生み出すと予想されます」 6. 株式のバリュエーションは魅力度が増 している 私は一部の非上場会社の新規公開価格 について、割高感が強いとの懸念を強め ていました。そうした分野では、株価の調 整がより厳しいものとなっているようです が、それはむしろ好ましいことだと見てい ます。そして、今後数週間は優良銘柄に割 安な価格で投資できるよい機会が見出せ ると感じています。 は落ち着いた動きを示しています。私は 今後3年間、株式が債券より堅調に推移 すると考えていますが、株式相場が乱高 下する局面で、債券がポートフォリオに安 定をもたらす重要な役割を無視はできま せん。金利上昇が債券の価値を損なうリ スクを意識するあまり、投資対象が株式 のみに偏るようなことは避け、株式と債 券のバランスを踏まえることが長期投資 にとって重要だと考えます。 7. FRBが利上げを先送りする可能性が高 まっている 10. テレビを消せば、現在の不安定な局 面を乗り切ることが容易に 私自身は、既に米国が利上げに耐えうる 環境が整っていたにもかかわらず、FRB が過度に政治的な判断から低金利を長く 保ち過ぎたと見ています。しかし、それで も、足下の金融市場の不安定さなどを踏 まえると、早急な動きはないと予想してい ます。9月に想定されていた最初の利上げ は、おそらく、12月まで先送りされると推 測しています。 8. 米国以外の中央銀行は金融緩和政策 を維持する 金利は世界中でほぼ過去最低水準にあ り、各国政府は、経済成長を押し上げる ために出来ることをすべて行っています。 市場の混乱が続けば、追加緩和措置が講 じられると予想され、相場を下支えする と考えられます。 9. 資産間でのバランスを踏まえた投資 が重要 最後に、再び最初のポイントに戻り、長期 的な視点の重要性を強調したいと思いま す。メディアの脅し作戦や金 切声に押さ れ、悲観的な予測に耳を傾けることは、 まさに不適切な時期に市場から退出する 原因となります。弊社グループのポートフ ォリオでは、確かな実績を持つ質の高い 企業に投資しています。これらの企業は 金融市場で起きていることに関わりなく 継続的に利益を生み出すと予想されま す。常に申し上げているのは、私たちが投 資するのは市場ではなく、企業だという ことです。そして、私たちが投資した企業 の価値は、現在経験しているような混乱 した局面においても変動するものではな く、最終的には株価にきちんと反映され ます。忍耐は常に長期投資を勝利に導い ており、私たちのようなアクティブ運用を 行っている投資家が有望な銘柄をより魅 力的な株価水準で組み入れる機会を提 供しています。 現在のように株式相場が乱高下するなか でも、債券価格は底堅く、主要債券指数 ※時点の記載がない場合は2015年8月25日現在の情報または見解です。また、当資料は、キャピタル・グループ全体ではなく、個人の意見や見解を含みます。 当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。 当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、 2 その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。 また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。 当資料中に示された予測や見通しにつき ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。 機関投資家向け資料 金融商品取引業者 商号 関東財務局長(金商) 第 317 号 キャピタル・インターナショナル株式会社 代表取締役社長 トーマス・クワントリル 東京都千代田区丸の内二丁目 1 番 1 号 明治安田生命ビル TEL : 03-6366-1050 (営業部代表) 加入協会 一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会 投資リスクについて 当資料に記載されている有価証券運用は、国内外の株式及び債券などの値動きのある有価証券 等に投資するものであり、組入有価証券の価格の下落や、組入有価証券の発行者の業績悪化や倒 産、国内もしくは国際的な政治・経済情勢、市場の需給関係等の影響により、運用資産の投資価 値が下落し、損失を被ることがあります。従いまして、投資家の皆様の投資元本は保証されてい るものではなく、投資価値の下落により損失を被り投資元本を割り込む可能性があります。当運 用における主要リスクには、有価証券等の価格変動リスク、為替変動リスク、金利変動リスク、 信用状況の変動リスク、カントリーリスク、有価証券先物取引等のリスク等、グローバル運用に おける通常のリスクに加え、新興諸国市場投資に伴うリスク(政治・社会的不確実性、決済シス テム等市場インフラの未発達、情報開示制度や監督当局による法制度の未整備、為替レートの高 い変動、外国への送金規制、税制等)、低格付け債券のリスク(デフォルト、金利変動に対する価 格変動等)等があります。 ご負担いただく費用について 当資料に記載されている投資一任契約に係る運用報酬は以下の通りです。 直接投資を行う運用の場合:0.972%(税込)を上限とします。 外国籍投資信託を用いた運用の場合:投資信託に係る運用報酬、投資一任契約に係る報酬 などの総計は 1.200%(税込)を上限とします。 また、組入有価証券の売買時に発生する売買委託手数料等については、運用状況や取引量に応 じて変動するものであり、事前に具体的な料率や金額、上限または計算方法等を示すことができ ません。その他、特定(金銭)信託契約に係る管理報酬を信託銀行にお支払いいただくこととな りますので、その詳細につきましては信託銀行にご確認ください。 当資料の記載内容について 当資料に記載されている個別銘柄等への言及は、情報提供を目的として例示したものであり、 特定の有価証券や業種、国等を推奨しようとするものではありません。また、当資料に記載され ている運用・調査に関わる人員は、必ずしもキャピタル・インターナショナル株式会社の所属で はありませんが、キャピタル・グループ傘下の関係会社に所属しております。
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