機関投資家向け資料 日本株式運用 Q&A ポートフォリオ・マネジャー 郭 成慶 2015年8月 魅力にあふれた日本株の投資環境 郭 成慶 ポートフォリオ・マネジャー 在籍年数:12年 経験年数:30年 東京オフィス在籍 キャピタル・グループの日本株式運用でポートフォリオ・マネジャーを 務める郭成慶が、日本の株式市場を取り巻く内外の環境やアベノミク ス、注目している投資テーマなどについて自身の見解を述べました。 郭は、アベノミクスが始まって以降の日本経済の変化を整理しつつ、 海外で見られるリスクに対し、日本国内が魅力にあふれた投資環境に 変貌していると考えています。その理由をQ&A形式でご紹介いたしま す。 日本の経済や株式市場を取り巻く環境 についてどのように見ていますか。 「かつては外的ショックに対して きわめて脆 弱だった日本の株 式市場が、最近では、海外発の リスク要因が次々と浮上しても 底堅さを維持できていることに、 私は前向きな環境変化の効果を 感じ取っています」 2012年末に安倍政権が発足して以降、日 本の経済や株式市場を取り巻く環境は大 きく改善しました。大胆な金融政策と機 動的な財政政策、民間投資を喚起する成 長戦略からなる経済政策、いわゆる「アベ ノミクス」の効果により、日本はデフレ経 済から抜け出し、主要株価指数は2倍を はるかに上回る水準に上昇しました。 株式市場を取り巻く環境変化について、 私自身は、①日本政府・日銀によるリフレ 政策、②企業・公的・家計の各部門におけ るバランスシート・シフト、③株主にとっ ての企業価値向上の3点が株価上昇を促 す要因になりうると注目してきました。そ して、①については、日銀によるインフレ 目標を設定しての積極的な金融緩和政策 と、結果としての円安進行、賃金引上げ に向けた政 府の粘り強い奨励などが 功 を奏し、デフレ脱却に加え、値上げが可 能になったことが企業業績の改善につな がったと評価しています。②は、インフレ・ マインドの醸成によって企業がデフレ時 代に貯め込んだキャッシュの有効活用を 真剣に考えるようになったほか、かつて 国債が運用の中心であった機関投資家の 資産の株式へのシフトが進み、家計の資 金も、新たに制度化されたNISA(日本版 少額投資非課税制度)口座などを通じて 預貯金から株式投資に流れるなど、政策 に導かれたリスクマネーの供給が株式市 場の支援材料となっています。③の企業 価値でも、構造改革の断行や収益力の強 化に向けた企業努力と、政府・当局による 日本版スチュワードシップ・コード等の策 定、法人税の減税や規制緩和などに関す る政策面の手当てが融合し、増配や自社 株買いなどの株主還元やROE(株主資本 利益率)目標の設定といった結果に結び ついています。 かつては外的ショックに対してきわめて 脆 弱だった日本の株 式 市場が、最 近で は、ギリシャの債務問題や中国の株式相 場の乱高下など、海外発のリスク要因が 次々と浮上しても底堅さを維持できてい ることに、私は前向きな環境変化の効果 を感じ取っています。今後は企業が、雇用 の拡大や賃金の引き上げといった既に始 まっている人的投資に加え、設備投資に も資金を振り向け始めると見ています。 また、コーポレートガバナンス・コード制 定で高まった気運に背中を押され、株主 還元からさらに一歩踏み込んで、他社と の持ち合い株式の削減など、株主の利益 をさらに重視した経営施策を講じる企業 も増えると予想されます。一方で、持ち合 い解消に伴う株式需給の悪化をそれほど 警戒する必要はないと見ています。なぜ なら、持ち合いを解消した株式を企業自 身が引き取り、消却する可能性に加え、 市場に放出された株式についても、改革 を好感した外国人投資家のほか、ポート フォリオの株式シフトを進める機関投資 家や家計の資金によって十分に吸収可能 と想定しているからです。 thecapitalgroup.co.jp 当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。 当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、 その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。 また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。 当資料中に示された予測や見通しにつき 1 ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。 機関投資家向け資料 日本株式運用 Q&A ポートフォリオ・マネジャー 郭 成慶 2015年8月 脱却を含めた回復を知るには名目ベース で見ることが重要ですし、経済がこれだ けグローバル化している時代ですから、 海外での投資活動なども把握しなければ 真実は見えてこないと思います。現に、 アベノミクスの成長戦略でも目標に据え ているのは1人当たりGDP(国内総生産) ではなく、1人当たりGNI(国民総所得)で す。 実質GDP成長率の低迷が続くなど、経 済指標ではあまり日本経済の回復が実 感できない状 況が続いているようです が、アベノミクスは本当に機能している と考えていますか。 国内のみを対象とした実質ベースの経済 指標の低調さについて、それほど神経質 になる必要はないと考えています。デフレ 図表1: 日本の実質GDP、実質GNI、 名目GDPの前年同期比成長率 4% 実質GDP 実質GNI 名目GDP 3% 2% 1% 0% ▲1% ▲2% 期間:2011年3月末~2015年6月末 出所:内閣府 低迷する実質GDPに比べ、 GNIや名目GDPの成長率は回復 ▲3% ▲4% '11/3 '12/3 '13/3 その上で、アベノミクスについては、第3 の矢である成長戦略の中には効果が確 認できるまでに時間がかかる項目もあり ますが、全般は粛々と進行し、効果をも たらしていると前向きに評価しています。 例えば、最近、日本で話題に上ることが 増えた「インバウンド(訪日外国人客)」です が、中国など近隣諸国の国民の所得が向 上したことと円安が重なった結果、たまた ま日本を訪問する旅行客が増えたわけで 図表2: 増加ペースが加速している 訪日外国人客数と日本での消費額 期間:2010年3月末~2015年6月末 出所:観光庁「訪日外国人消費動向調査」 5.5 (百万人) 客数(左目盛) '14/3 '15/3 (年/月) はありません。過度な円高の修正もアベ ノミクス効果のひとつですし、諸外国に 対する訪日ビザの要件緩和や、訪日促進 キャンペーンの実施、国内での交通手段 や宿泊施設の改善などは、いずれもアベ ノミクスの成長戦略に盛り込まれた「年間 で2,000万人の訪日外国人旅行者」という 目標の達成に向けた様々な政策項目であ り、インバウンドの増加はその成功の果 実なのです。 旅行消費額(右目盛) (億円) 11,000 5.0 10,000 4.5 9,000 4.0 8,000 3.5 7,000 3.0 6,000 2.5 5,000 2.0 4,000 1.5 3,000 1.0 2,000 0.5 1,000 0 0.0 '10/3 '11/3 '12/3 '13/3 '14/3 '15/3 (年/月) 当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。 当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、 その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。 また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。 当資料中に示された予測や見通しにつき 2 ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。 機関投資家向け資料 日本株式運用 Q&A ポートフォリオ・マネジャー 郭 成慶 2015年8月 「円安に頼った収益拡大はそろそ ろ峠を越え、今後は輸出企業の 間でも、自力で収益を上げられ る企業とそうでない企業との間 で業績に差が広がる可能性が高 いということです」 地方創生についてもそうです。補助金に 頼った全国一律の経済発展などもはや不 可能だという現実的な認識の下、競争原 理を導入し、地域ごとに提案を求める方 向に足を踏み出しつつあります。私は、ア ベノミクスの本質は、既存の古い体質を 打破し、日本経済に競争力を取り戻すた めの政策だと思います。 構造改革を断行するには世論の支持が 必要です。安倍政権に対する支持率が低 下しているようですが、大丈夫でしょう か。 景気回復と並ぶ安倍政権のもう一つの最 大の関心事は安全保障です。現在、政権 が進めている安保法案の法制化に対する 世論の反対は根強いようで、仮に今後、 支持率の低下が無視できない水準に達す るようであれば、政治の不安定化を招き、 株式市場に影響が及ぶことも否定はでき ません。 ただし、安倍政権と与党の視線は、既に 来年夏の参議院選挙に移っていると思い ます。安保法制化を進めながら同選挙で 勝利を確保するには、経済は順調に回復 していると国民に認識してもらうことが 最低条件となるため、政権は今年度内に 補正予算を編成し、追加の経済対策を打 ち出して支持率の回復を図るだろうと見 ています。一方で、野党の支持率が回復し ているとはいえない状況であるため、当 面、政権交代は難しく、かつてのように毎 年首相が交代するような「回転ドア内閣」 の復活もないだろうとも見ています。 企業業績についてはどのように見ていま すか。 輸出企業の時価総額比率の高い日本の 株式市場について全般の企業業績を予 想するには、為替についての前提を避け ては通れません。その為替については、6 月に調査された日銀短観における2015 年度の想定為替レートが1ドル=115円台 半ばと、足下の水準よりも円高水準にあ るので、現在の為替環境が続けば、輸出 企業が円安効果を享受できる余地は残 っていると言えます。ただし、為替市場で は、昨年の9月から11月にかけて急速な 円安が進み、12月以降は1ドル=120円前 後と、現在とそれほど変わらない水準で 推移してきているため、今年度下期には、 前年同期比での円安効果が剥落すること には注意が必要です。つまり、円安に頼っ た収益拡大はそろそろ峠を越え、今後は 輸出企業の間でも、自力で収益を上げら れる企業とそうでない企業との間で業績 に差が広がる可能性が高いということで す。 裏を返せば、内需関連企業の相対的な 重要度が増しているということでもあり ます。デフレ脱 却により、かつて国内で 安 値での勝負を強いられていた企業も 今では値上げが可能となっています。す なわち、「よいモノやサービスをそれなり の値段で提 供する」というインフレ下の 利益成長モデルへと変化が始まっている のです。これは、内需関連企業において も、値上げに耐えうる製品やサービスを 有しているか否かで、今後、業績に格差 が生まれることを示していると見ていま す。 当面の株式相場のリスク要因として意識 されていることは何ですか。 日本のマクロ環境についてはそれほど懸 念していません。むしろ、リスクは海外に 多いのではないかと考えています。特に 中国は、投資主導から消費主体の経済へ と成長モデルが変換する過程にあり、一 時的な成長の牽引役不足に苦しんでいま す。また、共産主義の政治システムを維持 したまま資本主義の経済システムを取り 入れたことの弊害として、在庫調整や企 業淘汰などの点で市場メカニズムが効き にくいため、これまでの鉄鋼のような素材 分野に限らず、自動車からスマホに至る まで、あらゆるものが供給過剰の状態に あり、景気の低迷を大きくしているように 思えます。中国では、同一業界に多数の メーカーが併存する例が目立ちますし、 そもそも国有企業は自らの存在意義の否 定につながりかねない減産に後ろ向きで す。そして、だぶついた製品を海外に輸 出するなどして安値で処分し、再び増産 に乗り出しては在庫を積み上げるという 悪循環からなかなか抜け出せないようで す。 当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。 当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、 その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。 また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。 当資料中に示された予測や見通しにつき 3 ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。 機関投資家向け資料 日本株式運用 Q&A ポートフォリオ・マネジャー 郭 成慶 2015年8月 中国以外では、過去最高値水 準にある 米国の株式相場が、今後、利上げが進め られる環境下でも堅調さを維持できる かどうかにも注目しています。というの も、米国の主要企業の売上高利益率(収 益マージン)は過去最高水準に達し、コ スト削減に頼った利益 成長 が 難しくな っていると見られるからです。S&P50 0 指数のPER (株 価収 益率 )が11年ぶり高 水準の約17倍と、バリュエーション面で も割安感に乏しいなか、過去 最高値圏 にある同国の株 価は、自社株の買い戻 図表3: S&P500指数とTOPIXの 12% 売上高利益率の推移 10% S&P500 しとM& A(他社の買収・合併)に伴う他社 株の購入という企業自身の資 金に支え られた健 全とは言いにくい 状 況にある とも見ています。米国では年内に利上げ が始まると見込まれますが、今後、株価 上昇の裏付けとなる利益成長と、その利 益成長を牽引する売上高成長(トップラ イン・グロース)を実現するための力強い 景 気 拡 大 が見られるかどうかが、同 国 のみならず、日本の株式市場にとっても 注目材料だと考えています。 TOPIX S&P500の足下の売上高 利益率は過去最高水準 8% 6% 4% 2% 指数構成企業の加重平均ベース 売上高利益率に使用した利益は異常損益要因を除いた 純利益 期間:1994年1月末~2015年7月末 出所:Bloomberg TOPIXも過去最高水準 だが、S&P500との比 較では改善の余地あり 0% ▲2% ▲4% '94 '96 '98 '00 '02 '04 '06 '08 '10 '12 '14 運用の話に移りましょう。これまで重視 してきた投 資テーマに変化はあります か。 「4G(第4世代携帯通信技術)やIoT(イン ターネット・オブ・シングス:あらゆる機器 がインターネットに接続される環境)の一 層の普及」という投資テーマに基づき、IT や通信から自動車に至るまで、広範かつ クロスセクショナルに銘柄を探し出して います。電気機器では、スマホに不可欠 な部品の小型化技術で他社の追随を許 さず、スマホの高級化(4G対応)による必 要部品数の増加でさらに恩恵を受けると 見込む村田製作所、通信会社では、国内 の4Gスマホ契約獲得を巡る価格競争が 概ね一巡し、今後はデータ通信の増加に 伴う収 入増が 期待できるとの見方から KDDIやソフトバンクグループなどへの投 資を続けています。また、IoTの普及にも (年) 後押しされ、エネルギー効率や安全運転 技術をめぐって今後ますますIT化が進む と予想される自動車については、総合自 動車部品メーカーのデンソーや、車内配 線を取りまとめるワイヤーハーネスを得意 とする住友電気工業といった従来から重 視してきた企業に加え、最近では車載用 モーターに経営資源をシフトしている日 本電産などに注目しています。 航空機部品メーカーに対する注目も変わ っていません。最近、フランスのパリで行 われた航空機ショーに担当アナリストと 参加してきましたが、航空各社の最新航 空機への需要は旺盛で、航空機メーカー の受注残がさらに積み上がっている状況 が確認できました。引き続きIHIや川崎重 工業、新明和工業といった日本の航空機 部品メーカーに多大な恩恵が及ぶと見て います。 本稿で紹介した銘柄に関する投資判断は、弊社グループにおける活動の事例を紹介する情報提供の目的において記載したもので、特定の業種や銘柄を推奨しようとするもの ではありません。 当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。 当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、 その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。 また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。 当資料中に示された予測や見通しにつき 4 ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。 機関投資家向け資料 日本株式運用 Q&A ポートフォリオ・マネジャー 郭 成慶 2015年8月 「内需関連とITの複合的な投資テ ーマとして、1年ほど前から電子 商取引(eコマース)の増加に伴う 収益機会に注目しています」 「中国などアジアのFA(ファクトリー・オー トメーション:工場の自動化)に伴う関連 機器需要」という投資テーマも、今後予想 される中国の労働人口比率の低下や人件 費の続伸、過去に生産基地であった日本 の経験や中国との発展度合いの差などを 併せ考えると、引き続き維持可能な息の 長い投資テーマと見込んでいます。ただ し、先に述べたような中国の経済成長の 鈍化や過剰生産の影響は無視できないと の判断から、最近ではこの投資テーマに 基づく銘柄の保有を一時的、戦略的に絞 っています。 「日本の内需の本格回復」は、しばらく前 からの着目が最近ようやく実を結び始め た投資テーマです。三井住友フィナンシ ャルグループなどのメガバンクに加え、リ ース業を中心とするオリックスや第一生 命保険、野村不動産ホールディングスな どの金融・不動産銘柄が、この分野のコア 銘柄となっています。内需回復の恩恵を 直接受け得る小売業でも、総合小売グル ープとしてスケールメリットの追求が期待 できるセブン&アイ・ホールディングスと、 徹底的な安売りチェーンとして支持され ているコスモス薬品という両極端の個性 を持つ銘柄を共に保有しています。また、 こうした広義のサービス業銘柄ばかりで なく、2020年に五輪開催を控えた東京の 都市再開発や、老朽化した公共インフラ の再整備などの特需の恩恵が見込まれる 図表4: 日本のBtoC(消費者向け)電子商取引市場規模は (兆円) 着実に拡大しているものの、BtoB(企業間)取引 14 に比べれば依然として低い普及率(EC化率) 12 建設業の大林組や住友大阪セメントとい ったハードウェア関連の銘柄も、内需関 連として注目しています。 最近、新たに加わった投資テーマはあり ますか。 既に申し上げた内需関連とITの複合的な 投資テーマとして、1年ほど前から電子商 取引(eコマース)の増加に伴う収益 機会 に注目しています。検索エンジンの広告 収 入への依存を脱し、B t o B ( 企 業 間 取 引 )からB t o C (消 費 者 向けの 通 常ビジ ネス)、CtoC(オークションなどの消費者 間取引)、電子決済に至るまで、あらゆる 電子商取引を、モバイルを含むあらゆる 媒体経由で提供するビジネスモデルに変 化したヤフー、電子商取引の宅配サービ スでシェアを高め、在庫管理や決済代行 サービスなどの周辺業務にも収益源を拡 大しつつあるヤマトホールディングスなど が代表例です。既に紹介した銘柄の中で も、卓越した在庫管理技術や配送ネット ワークを活用し、従来の「ネットスーパー」 の発展型としてグループ内の全取扱商品 をコンビニ店舗で受け取れるサービスの 事業化を進めているセブン&アイ・ホール ディングスのほか、小売業との提携により 電子決済やポイントサービスの付加価値 化を進めているKDDIやソフトバンクグル ープなどの携帯通信各社が関連銘柄と言 えましょう。 BtoC取引の市場規模(左目盛) BtoB取引のEC化率(右目盛) BtoC取引のEC化率(右目盛) 35% 30% 10 25% 8 20% 6 15% 4 10% BtoB取引のEC化率はインターネット以外のネットワーク 経由のBtoB取引を含めた広義のBtoB取引のEC化率 2 5% BtoC取引のEC化率はサービス系やデジタル系以外の物 販系(モノの購入に関する)分野のみを対象 0 0% 出所:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」 '05年 '06年 '07年 '08年 '09年 '10年 '11年 '12年 '13年 '14年 本稿で紹介した銘柄に関する投資判断は、弊社グループにおける活動の事例を紹介する情報提供の目的において記載したもので、特定の業種や銘柄を推奨しようとするもの ではありません。 当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。 当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、 その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。 また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。 当資料中に示された予測や見通しにつき 5 ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。 機関投資家向け資料 日本株式運用 Q&A ポートフォリオ・マネジャー 郭 成慶 2015年8月 「インバウンドは、アベノミクスの 一項目としての政策支援体制な どを考慮した結果、2020年の東 京五輪の先まで持続可能な長 期的投資テーマの一つだと考え るようになりました」 最後に申し上げるのはインバウンドです。 正直申し上げて、私は当初、日本国内で の外国人の消費にはそれほど期待してお らず、むしろ、清潔さや安全性、品質の高 さや洗練度など、外国人が日本や日本製 品に対して抱くイメージを海外での販促 に結び付けることに成功している良品計 画を広義のインバウンド銘柄と捉え、選 好していました。しかし、先に述べたアベ ノミクスの一項目としての政策支援体制 などを考慮した結果、2020年の東京五輪 の先まで持続可能な長期的投資テーマの 一つだと今では考えるようになり、最近、 西武ホールディングスへの投資を始めま した。同社は、有価証券報告書の虚偽記 載という前身会社のスキャンダルで企業 イメージが一旦は傷つきましたが、その後 の経営陣の交代やコーポレート・ガバナ ンスの改善、2014年の東証1部への再上 場などにより修復が進み、主力事業であ る「プリンスホテル」のブランド価値も回復 したと判断しています。インバウンド需要 がほぼ唯一の成長要因と考えられる百貨 店などと比べ、同社の場合、訪日外国人 客以外に、円安で海外から国内に旅行先 をシフトした日本のシニア層の需要の取 り込みも期待できる点が魅力と見ていま す。ビジネス需要の多い都心のホテルは 週末の、逆に、リゾートホテルは平日の稼 働率上昇が課題でしたが、外国人と国内 シニア層旅行客の増加で平均稼働率に改 善が見られるようになりました。これを踏 まえ、同社の収益の約半分を占める鉄道 事業から安定的に生み出されるキャッシ ュフローを原資に、老朽化したホテルを ショッピング・モールやリゾート施設、オフ ィスなどを併設した複合施設に改装して 旅客数を伸ばすという同社の収益追求モ デルの有望性も高まっていると私は期待 しています。 (インタビュー実施日:2015年8月7日) 本稿で紹介した銘柄に関する投資判断は、弊社グループにおける活動の事例を紹介する情報提供の目的において記載したもので、特定の業種や銘柄を推奨しようとするもの ではありません。 当資料は顧客への情報提供を目的として作成された資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的として作成されたものではありません。 当資料は当社が信頼できると判断した情報により作成されておりますが、 その正確性、完全性について当社が保証するものではありません。 また上記の運用実績及びデータ等は過去のものであり、将来の成果を保証するものではありません。 当資料中に示された予測や見通しにつき 6 ましては、資料作成日現在における当社及び当社グループの見解であり、今後につきましては経済及び市場の変動に伴う変化が予想されますため、予告なく変更される可能性がありますことをご了承ください。 機関投資家向け資料 金融商品取引業者 商号 関東財務局長(金商) 第 317 号 キャピタル・インターナショナル株式会社 代表取締役社長 トーマス・クワントリル 東京都千代田区丸の内二丁目 1 番 1 号 明治安田生命ビル TEL : 03-6366-1050 (営業部代表) 加入協会 一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会 投資リスクについて 当資料に記載されている有価証券運用は、国内外の株式及び債券などの値動きのある有価証券 等に投資するものであり、組入有価証券の価格の下落や、組入有価証券の発行者の業績悪化や倒 産、国内もしくは国際的な政治・経済情勢、市場の需給関係等の影響により、運用資産の投資価 値が下落し、損失を被ることがあります。従いまして、投資家の皆様の投資元本は保証されてい るものではなく、投資価値の下落により損失を被り投資元本を割り込む可能性があります。当運 用における主要リスクには、有価証券等の価格変動リスク、為替変動リスク、金利変動リスク、 信用状況の変動リスク、カントリーリスク、有価証券先物取引等のリスク等、グローバル運用に おける通常のリスクに加え、新興諸国市場投資に伴うリスク(政治・社会的不確実性、決済シス テム等市場インフラの未発達、情報開示制度や監督当局による法制度の未整備、為替レートの高 い変動、外国への送金規制、税制等)、低格付け債券のリスク(デフォルト、金利変動に対する価 格変動等)等があります。 ご負担いただく費用について 当資料に記載されている投資一任契約に係る運用報酬は以下の通りです。 直接投資を行う運用の場合:0.972%(税込)を上限とします。 外国籍投資信託を用いた運用の場合:投資信託に係る運用報酬、投資一任契約に係る報酬 などの総計は 1.200%(税込)を上限とします。 また、組入有価証券の売買時に発生する売買委託手数料等については、運用状況や取引量に応 じて変動するものであり、事前に具体的な料率や金額、上限または計算方法等を示すことができ ません。その他、特定(金銭)信託契約に係る管理報酬を信託銀行にお支払いいただくこととな りますので、その詳細につきましては信託銀行にご確認ください。 当資料の記載内容について 当資料に記載されている個別銘柄等への言及は、情報提供を目的として例示したものであり、 特定の有価証券や業種、国等を推奨しようとするものではありません。また、当資料に記載され ている運用・調査に関わる人員は、必ずしもキャピタル・インターナショナル株式会社の所属で はありませんが、キャピタル・グループ傘下の関係会社に所属しております。
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