アサヒグループHDが欧ビール事業買収

NEWS RELEASE
2016年2月12日
アサヒグループHDが欧州ビール事業を買収-格付への影響は限定的
アサヒグループホールディングス(証券コード:2502、発行体格付=A+、以下アサヒグループ HD)は
10 日、世界最大のビール会社 Anheuser-Busch InBev(ベルギー、以下 AB InBev)から欧州ビール事業
の一部を買収する独占交渉権を取得したと発表した。アサヒグループ HD が提案した買収価格は約 3300
億円。2016 年上期に株式売買契約の締結、同年下期に買収を予定している。この買収の実現には、AB InBev
による世界 2 位の英ビール会社 SABMiller の買収が予定通り実施されることに加え、欧州委員会による
承認が条件になる。
R&I はアサヒグループ HD について、営業利益の 8 割近くを稼ぎ出す国内酒類の強固な事業基盤を高く
評価する一方、海外展開の強化を含めた事業ポートフォリオの多様化が課題と認識してきた。買収予定
の欧州ビール事業は、イタリア、オランダ、英国で事業展開する SABMiller 傘下のビール会社。
「Peroni」
や「Grolsch」をはじめ世界有数のプレミアムビールブランドを擁する。事業基盤は比較的強固で、約
200 億円の EBITDA(利子・税金支払い前、償却前利益)を創出する。アサヒグループ HD の国際事業の
EBITDA は既存事業とあわせて 500 億円近くまで底上げされ、事業ポートフォリオは収益源の地理的な分
散が一定程度効いてくると予想される。
アサヒグループ HD は約 2000 億円の EBITDA や 9000 億円近い自己資本など、規模・投資余力は格付対
比で十分な水準にある。R&I は一定規模の成長投資を行える財務的な余裕を備えていると評価しており、
今回の買収による財務リスクの増加は限定的にとどまる可能性が高い。欧州ビール事業の買収で資本負
債構成や債務とキャッシュフローのバランスは一時的に悪化するものの、格付に見合う水準に回復する
までそれほど長い期間を要しないとみている。
以上から、今回の買収によるアサヒグループ HD の格付への影響は限定的と判断している。今後の買収
交渉の行方とともに、買収実現後の収益基盤・財務基盤への影響を注視していく。
主任格付アナリスト:安田
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