NEWS RELEASE 2014年4月28日 王子ホールディングスがNZの製紙関連事業買収―格付への影響は限定的 王子ホールディングス(証券コード:3861、発行体格付=A)は 25 日、産業革新機構と共同でニュー ジーランドの Carter Holt Harvey(CHH)の傘下で製紙関連事業を担う CHHPP 社と CHH の関連会社の株 式を取得すると発表した。取得額は 10 億 3700 万 NZ ドルで、その他の費用も含め買収額は 900 億円を超 える。各国関係当局の許認可などを得たうえで、2014 年度中の取引完了を目指している。 CHHPP は、針葉樹を原料とするパルプや板紙の生産に加え、段ボール箱、紙袋、紙コップなどのパッ ケージング事業を手掛ける。CHHPP と合わせて買収する CHH の関連会社を含め 2013 年 12 月期は売上高 が 11 億 4700 万 NZ ドル(約 1021 億円)、営業利益が 2900 万 NZ ドル(約 26 億円)、EBITDA(利子・税 金支払い前、償却前利益)が 1 億 1300 万 NZ ドル(約 100 億円)となっている。 パルプ事業は、針葉樹が豊富な地域に立地し生産能力が比較的大きい。しかも主力のキンレース工場 はパルプから板紙まで一貫生産しており、競争力がありそうだ。段ボール事業は、ニュージーランドと オーストラリアに計 5 工場を保有。コーナーボード(補強材)も含めて年間 2.8 億平方m生産するなど、 一定の事業規模がある。買収事業からは比較的安定した利益・キャッシュフローが見込めよう。 王子ホールディングスは、積極的に海外展開してきたこともあって、2013 年 12 月末で 8000 億円を超 える有利子負債を抱える。収益源の分散効果もあって、利益・キャッシュフローの安定度は比較的高い ものの、債務負担がやや重いことは間違いない。このため、今回の買収に当たり、産業革新機構を共同 取得パートナーとした。同機構は 3 億 6300 万 NZ ドルを上限に出資し 40%の議決権を保有する予定だ。 今回の買収により財務バランスの改善は遅れそうだが、産業革新機構をパートナーにするなど財務リ スクの増大抑制策を取ったことや、買収事業の収益が安定しているとみられることを考えると、信用力 が揺らぐことはなく格付に及ぼす影響は限定的と R&I は判断している。王子グループ全体として、海外 展開を軸に収益基盤を拡充し、収益力・キャッシュフロー創出力を高めていけるか見守る。 主任格付アナリスト:佐藤 ■お問合せ先 ■報道関係のお問合せ先 株式 会社 : インベスターズ・サービス本部 : 経営企画室(広報担当) TEL. 03-3276-3511 TEL. 03-3276-3438 格付投資情報センター 〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 浩介 E-mail. [email protected] 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp 信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありません。また、R&Iは、信 用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に際し関連情報の正確性等につき独自の 検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につき、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発 行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。 ©Rating and Investment Information, Inc.
© Copyright 2025 ExpyDoc