予想と結果が不一致となりやすい実験を取り入れた授業実践;pdf

客観的根拠に基づき多様な視点から考え,判断する力を育成する理科指導の工夫
-予想と結果が不一致となりやすい実験を取り入れた授業実践(研究①)-
-予想と結果が不一致となりやすい実験を取り入れるための考察の展開(研究②)-
呉市立阿賀小学校
小加本
広記
教諭
研究の概要
本研究は,客観的根拠に基づき多様な視点から考え判断する力を育成するため
に,文献研究を行い,予想と結果が不一致となりやすい実験を取り入れ た授業モ
デルを作成した。また,その授業モデルに基づいて授業実践を行っている。
また,プレテストやポストテストによる分析と考察にも取り組み,研究の成果
を明らかにしている。今後,一層の充実が期待される研究である。
不 一 致 だった 原 因 とは?
予 想 と 結 果 が 不 一 致 となりやすい実 験
不 一 致 だった 原 因 について考 える必 然 性 を 生 む
他 者 との話 合 いによる 概 念 の変 容
回 ら な いつ な ぎ 方 と ち が っ て , 今 の
実 験 のつなぎ方 はプラス極 も,マ
イナス極 もモーターにつながってい
る 。 並 列 つ な ぎみ た い に な っ て いる
から こ の 結 果 に なった 。
研
究
①
-極 と+極 がまとめてつないである
から も う少 し導 線 を見 れ ば よか った 。
客 観 的 根 拠 に基 づき多 様な視 点 から考 え,判 断 する力の育 成
予 想 と 結 果 が 不 一 致 となりやすい実 験 を 取 り入 れるた めの授 業 の実 践 (普 段 から 取 り組 んでおく 授 業 の 姿 )
授 業 モデル
想 定 していた授 業 の姿 (一 部 抜 粋 )
自然事象への働きかけ
自分の結果と予想を比較する。
問題の把握・設定
予想・仮説の設定
個人としての結論(仮の結論)を表現する。
め
あ
て
検証計画の立案
観察,実験の実施
研
究
②
個人
学級としての結果と自分の予想を比較する。
学級としての結論を表現する。
※個が行う考察と同じ内容なら省略
個の結果の処理
予想と結果が不一致だった場合
個が行う考察
学級
学級の結果の処理
学級集団と
しての考察
まとめ
予
想
予想の振り返り
きまりや知識を当てはめ
て予想してはいけなかっ
たのではないか。
新しい予想の設定
結論や疑問から新しい予
想はつくれないか。
実験方法の振り返り
実験方法の見直しが必
要なのではないか。
実験の振り返り
実験が正確に行われて
いたか。
予想と結果が一致した場合
日常生活への適用
日常生活の中で関係が
あるものはないか。
類似の事象の関係付け
これまで学習したことと関
係があるものはないか。
一般化
見つけたきまりや知識を
多くのものに当てはめて
みて,全てのことでその
ことが言えそうか。
学
級
集
団
と
し
て
の
考
察
金ぞくを,あたためたりひやした
りすると,体積はどのように変わ
るのか調べよう。
なべを火にかけても見た目は変わ
らないから,あたためても金属の
体積は変わらない。
固いから,冷やしても金属の体積
は変わらない。
金ぞくは固いから温度を変えても
体積は変化しないと考えていたけ
れど,固くても体積は変化すると
分かり,見た目や手でさわった感
じだけで予想はできないことがあ
ると思いました。 予想の見直し
鉄橋や鉄道のレールが温度によっ
て伸びちぢみすることから,なべ
に火をかけたときや,氷をつくる
ときの金属のカップも温度によっ
て見た目には分からないぐらいの
大きさの変化があるのかもしれな
い と 思 い ま し た 。 新しい予想の設定