ナホトカ号事故から幾年ぞ. 1

Title
ナホトカ号事故から幾年ぞ. 1
Author(s)
敷田, 麻実
Citation
朝日新聞
Issue Date
2003-08-07
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/34967
Right
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Type
column
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Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
から幾年ぞ(1)
った。しかし最初は重要さ でやっとはじまったばかり
がわからず、それくらいの だった。幸運にも水産課で
ことでなぜ、という思いだ は、前年の国際シンポジウ
ムのために、すでにインタ
った。
対策の初期は情報不足が ーネットに接続していた。
深刻で、何をしていいのか
オイルスピル(油流出)
わからない。さらに長い正 で検索すると、エクソンパ
月休みで、圏内機関とはほ ルデイlズ号の記録のホー
とんど連絡がつかなかっ ムペ lジが見つかる。事故
た。その﹁空白﹂にインター を経験した今では誰もが知
ネットが活躍した。携帯電 っているが、油が固形他し
号の記憶は忘れ去られてゆ 夜だった。タンカーが出没 事故の際に
は
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くように感じる。日年間の し重砲が流れ出している、 ットが貴重な情報源にな
っ
県庁勤務では、大きな仕事 水産課からも誰か県庁へ出
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や困難な仕事をいくつもこ て来てほしいという依頼だ トへの接続は、情報
政策課
瞳遡聾醐盟嬰輯 ③ ナホ トカ 号事 故
重油流出事散を起こしたナ
ホトカ号の船首部分の引き
上げ作業日前年3月、福井
県三国町で(敷田さん提
供)
が、その影響も否定できな
い。このような﹁灰色﹂の
薬剤を使うか使わないかと
いう判断で、﹁使う側﹂が
主張するのは﹁有害性が耕
学的に証明できないのだか
ら、使用を止められない﹂
という論理だ。また﹁証明
できない危険性で、経済的
な価値を損なうことはでき
ない﹂という責任論が出て一
の話である。時が流れ、世 きごと﹂だった。
話でメールがやり取りでき て扱いにくくなることや、
くることも多い。いずれ
紀が変わってしまったこと
最初に消防防災課から連 る今では当たり前のことか 揮発成分の消失と同時に毒
も、正当な論理に思える
もあり、日に日にナホトカ 絡が入ったのは1月3日の もしれないが、ナホトカ号
性も減少することなどが、
が、過去の公害病や最近の
手に取るようにわかった。
狂牛病問題の例を見れば、
この情報のおかげで、その
ナホトカ号事故の対策で 剤、いわゆる中和剤の使用 それが﹁まやかし﹂である
後の対策でどれだけ冷静な は、いくつもの﹁山﹂を経 決定は大きな山だった。
分 ことは明らかだろう。
判断ができたかしれない。 験したが、なかでも分散 散剤は一定の効果はあ
(金沢工業大教授)
る
ネットが活躍
ナ恥トカ号が1997年 なしたつもりだったが、中
の正月に島根県神合で出没 でもこのナホトカ号事故
し、そこから大量の重油が は、自分の仕事の重要性や
流れたのはもはや6年半前 意味を思い知らされた﹁で
題字は五木寛之氏
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2003
年(平成 15年)
8月7日
10版
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