北福島医療センターにおける センチネルリンパ節生検の取り組みとその成績

第 5 回 日本乳癌学会東北地方会
平成20年 3 月 1 日 仙台市
北福島医療センターにおける
センチネルリンパ節生検の取り組みとその成績
北福島医療センター 乳腺疾患センター
鈴木 真彦 君島 伊造 渡邉久美子
はじめに
例中、単発癌で腫瘍径が 3cm 以下を満たす 50 例
センチネルリンパ節が転移陰性であれば腋窩郭
では偽陰性率は 0%だった。偽陰性が認められた
清の省略が可能となり、n0 乳癌患者の術後 QOL
2 例はいずれも多発癌症例だった。現在多発癌症
の向上に大きく寄与する。当センターで施行して
例は適応外としている。センチネルリンパ節の
いるセンチネルリンパ節生検について、その手法
転移陽性群 30 例と陰性群 120 例に分け臨床病理
やこれまでの成績を供覧するとともに若干の検討
学的諸因子と検討したところ、閉経後の症例よ
を行った。
りも閉経前の症例に転移陽性が有意に多かった
(p=0.039)。また、転移陰性群よりも転移陽性群
で腫瘍径が有意に大きかった(p < 0.001)。さらに、
対象と方法
組織型ではセンチネルリンパ節転移陽性群に硬癌
対象は 2005 年 3 月から 2007 年 12 月まで当セ
が有意に多かった(p=0.018)。
ンターの原発性乳癌手術症例で、センチネルリン
ンパ節生検を施行した 150 例。方法はフチン酸テ
クネシウムを用いた RI 単独法である。郭清省略
考 察
に至る前の 2006 年 4 月までの 52 例では、バック
3cm 以下の単発癌症例であれば偽陰性率がな
アップ郭清を施行した。
かったことから、RI 単独法によるセンチネルリン
パ節生検は、十分な精度を有する方法であると思
われた。閉経前やより大きい腫瘍径や硬癌の場合
結 果
はリンパ節転移が多く、たとえセンチネルリンパ
150 例のセンチネルリンパ節の同定率は 100%
節が転移陰性であっても、慎重な触診を追加する
だった。バックアップ郭清を施行した初期の 52
などの注意が必要であると思われた。
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