筋電信号の最適な平滑化方式 を見つける

第2部
第
10 章 解析の準備
筋電信号の最適な平滑化方式
を見つける
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電圧
電圧
長嶋 洋一
経過時間[s]
(a)A-D変換直後
38
0
経過時間[s]
(b)整流+平滑処理後
38
図 1 包絡線抽出プログラムのビフォー・アフタ
筋電信号は脳波や心拍のような連続波ではなく,ラ
ンダムかつパルス状に発生する筋肉 1 本 1 本のパルス
電圧が集合したものです.図 1(a)が実際に A-D コン
バータで取り込んだ直後の波形ですが,パルス波が並
んでいるだけで,傾向がさっぱりわかりません.そこ
で本章では筋電波のおおまかな傾向を見るための包絡
線抽出プログラムをつくります.
筋電信号を連続データで取れれば,
・複数の筋電波を見比べる
・筋電波の電圧→周波数変換
などの解析が行いやすくなり,応用の幅が広がります.
図 1(a)の波形は A-D 変換直後のもの,図 1(b)の
波形は本章で紹介する包絡線抽出処理(図 2)が終わっ
たものです.
● 検波=振幅の絶対値をとってから移動平均する
図 1(a)から(b)への包絡線抽出では,整流+平滑
という,いわゆる「検波処理」を行っています(図 3)
.
検波とは,搬送波を取り除いて有効な信号成分を取り
出すことです.いわば,アナログ信号処理でいうとこ
ろの振幅変調(AM)信号の復調です.
整流とは,交流を一方通行の素子に通して電流の流
Nucleo F401RE
STM32F401
12ビット
A-Dコンバータ
1kHz
サンプリング
電圧
+
Ref
−
50段移動平均フィルタ 50/60Hzノッチ・フィルタ
FFT
など
+
電圧
アナログ
基板
無線モジュール
XB24-AWI-001
Ref
XBee
エンベローブの抽出
本章でやるのはコレ
パソコン
−
図 2 本章で行う処理の位置づけ
2015 年 4 月号
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