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Daily Market Comment
Forex Watch Koujiro Mori
2015 年 3 月 17 日
米経済の冴えない指標がドル独歩高に歯止めを掛ける
ドルの対主要通貨相場の騰落率
(NYクローズベース)
NYクローズベース)
2015/03/13 ⇒ 03/16
ドル高
%
0.50
ドル安
0.24
0.00
-0.08
-0.08
-0.06
-0.41
-0.58
-0.50
-0.68
-1.00
JPY
EUR
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
円の対主要通貨相場の騰落率
(NYクローズベース)
NYクローズベース)
2015/03/13 ⇒ 03/16
円高
%
0.50
円安
0.36
0.08
0.02
0.04
0.00
-0.43
-0.48
-0.50
-0.59
-1.00
USD
EUR
3.0
%
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
世界の主要株価指数・週間騰落率
<終値ベース 2015/03/13
2015/03/13⇒
13⇒ 03/16
03/16
2.24
2.0
1.35
1.29
1.19
1.0
1.01
0.94
0.89
0.0
-0.04
(米)
NASDAQ
-1.0
(米)
S&P500
(米)
NYダウ
ダウ
NY
(独)
DAX
A
C
2.50
(仏)
CAC40
2.382
11/06
2.2694
12/23
2.3378
08/28
2.25
B
A
2.2467
03/06
C
B
2.1449
02/17
C
A
2.0608
12/16
2.00
1.8752
01/21
B
債券価格
下 落
1.75
米金利
米金利
米株価
A
円安・株高
C
円安・株高
米株価
D
円高・株安
B
円高・株安
C
A
2.1288
10/15
上 昇
(日)
日経225
225
日経
米長期金利とリスク選好の関係
Aは「良い金利上昇」と「株高・円安」
は「良い金利上昇」と「株高・円安」
Bは「悪い金利低下」と「株安・円高」
は「悪い金利低下」と「株安・円高」
Cは「良い金利低下」と「株高・円安」
は「良い金利低下」と「株高・円安」
Dは「悪い金利上昇」と「株安・円高」
は「悪い金利上昇」と「株安・円高」
米10年物国債利回りの推移
10年物国債利回りの推移
2014/08/012014/08/01-2015/03/16
2015/03/16
2.6216
09/17
%
(英)
FTSE100
(加)
トロント300
300
トロント
1.7275 B
01/15
1.6390
01/30
A
1.9722
02/2402/24-25
2.0735%
%
3月
月16日
日
1.50
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
― 1 ―
Techno-fundamental Analysis
Daily Market Comment
週明けの為替マーケットは、ECB による国債買
い入れペースが鈍化するとの観測や、この日発表
された米経済指標が軒並み市場予想を下回る弱
い内容となり、ユーロや英ポンドの反発に対して
米ドルが売り戻される展開となり、最近のドル独歩
高の地合いに歯止めが掛かる格好となった。
ユーロ/ドルは、早朝取引で 1.0457 ㌦(⇒筆者
のチャートでは幻の安値となる)まで下押したあと
ショートカバーが優勢となり、米経済指標発表後
のドル安で一時 1.0620 ㌦まで上昇した。
こ の 日 高 値 は 、 Minor Fibonacci point の
1.0642 処(=23.6% of 1.1240⇒1.0457)の下方
で跳ね返されるなど、自律反発の域を出るには至
っておらず、同日の NY クローズは 1.0564 ㌦へ伸
び悩んでいる。 現段階ではテクニカル面での底
入れの明確なシグナルは確認されておらず、13
日 RSI は 03/11 の 4%がボトムとなり 15%まで回
帰しているものの、30%台へ乗せてくるまでは、一
段の下落に対する警戒は怠らないようにしたい。
ドル/円は、米経済指標発表後に 121.09 円ま
で反落する場面が見られたものの、同水準での押
し目買い意欲は健在で、欧米主要株価指数の大
幅高や対欧州通貨での円安を支えに 121.46 円ま
で切り返している。
欧米株高の手掛かりとされたのは、中国の李克
強首相が政策を駆使して経済成長を押し上げる
余地が大いにあるとの考えを示したことであり、と
りわけドイツの DAX 指数はユーロ安が輸出企業
の業績を押し上げるとの期待から史上最高値を
更新している。
一方、米株式市場は、ドルがユーロに対して下
落したことで米企業業績への不安がやや和らいだ
ことに加え、米経済指標の冴えない結果を受けて
FRB の利上げ時期を巡る懸念が和らいだこと、さ
らに買収報道が支援材料となり、主要 3 指数は揃
って 1%を超える大幅反発となった。
今月の NY ダウは、予想以上に力強い回復を
示した 2 月の雇用統計発表後に 278.94 ㌦安とな
る一方、予想外に落ち込んだ 2 月の小売売上高
発表後に 259.83 ㌦高となり、昨日は 3 月の製造
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■米経済の重要先行指標 昨秋をピークに低下傾向
業景況感や住宅建設業者の景況感が低下し、2
・ 米国の企業景況感指数は14年
月がピークとなり軒並み低下
米国の企業景況感指数は 年9-11月がピークとなり軒並み低下
月の鉱工業生産及び設備稼働率が低下するなか
・ 「原油安・ドル高」が米企業活動の逆風となっていることを示唆する
・ 15年
年2月データでは今後の動向を示す「新規受注」が軒並み悪化
月データでは今後の動向を示す「新規受注」が軒並み悪化
228.11 高となっている。
・ 3月の
月のNY連銀製造業業況指数は「新規受注」が
まで悪化
月の 連銀製造業業況指数は「新規受注」が▲
連銀製造業業況指数は「新規受注」が▲2.39まで悪化
FRB による金融正常化を拒むかのような米株
米経済の先行指標とされる購買担当者の景況感
式市場の反応は、早期利上げに対する準備が整
①
っていない証左といえるかもしれない。
米経済は独り勝ちの状態との評価が大勢であ ②
③
ったものの、米雇用統計は量的な拡大の一方で ④
長期失業者や賃金伸び率など質的改善は鈍く、 ⑤
最近発表された経済指標は軒並み市場予想を下 ⑥
⑦
回っており、米景気回復期待は若干行き過ぎてい ⑧
⑨
たとの見方も浮上し始めている。
FRB が昨日発表した 2 月の鉱工業生産指数は ⑩
※「赤色の枠」は過去6カ月の最高値、「黄色の枠」は過去6カ月の最低値を示します。
前月比 0.1%上昇と、0.2%上昇との市場予想に
拡大と縮小の分岐点は①~④が「0」、⑤~⑩が「50」。縮小は指数を赤字で表示しています。
届かなかったうえ、1 月分も下方修正された。
■NAHB住宅建設業者指数
住宅建設業者指数 約9年ぶり
年ぶり高水準から低下
年ぶり高水準から低下
・ 米住宅業者の景況感は14年
月に約9年ぶり高水準の
また、2 月の製造業生産指数は前月比 0.2%低
米住宅業者の景況感は 年9月に約
月に約 年ぶり高水準の59まで上昇
年ぶり高水準の まで上昇
・ 15年
年3月
月は53と市場予想の
と市場予想の56への
と市場予想の への上昇に反して
への上昇に反して3カ月
上昇に反して カ月連続で低下
カ月連続で低下
下し、前月分は 0.3%の低下(速報値 0.2%上昇)
・ 向こう半年の住宅販売に関する指数は14年
月の67から
向こう半年の住宅販売に関する指数は 年9月の
月の から59へ
から へ低下
に下方修正され、3 カ月連続の落ち込みとなった。
・ 潜在的な住宅購入者に関する指数は14年
月の47から
潜在的な住宅購入者に関する指数は 年9月の
月の から37へ
から へ低下
バーナンキ前議長が13年7月の議会証言で
加えて、2 月の製造業の設備稼働率は 77.3 と 70
米住宅建設業者指数
極めて重要と指摘した指標の1つ
2007/012007/01-2015/03
2015/03
59
前月の 77.6 から低下し、全体の設備稼働率は 60 (NAHB:全米ホームビルダー協会)
58 57
NAHB:全米ホームビルダー協会)
78.9 と前月の 79.1 から低下した。
53
米住宅建設業者の景況感を示す代表的な経済指標
50
47
NAHB加盟の住宅建設業者に対して今後
加盟の住宅建設業者に対して今後6ヶ月の
加盟の住宅建設業者に対して今後 ヶ月の
FRB 当局者は、設備稼働率を経済に内在する
住宅販売の予測アンケートを実施し数値を算出
45
50を上回ると住宅市場に明るい見通しと判断され
を上回ると住宅市場に明るい見通しと判断され
42
「需給の緩み(Slack)」を推し量るための指標とし 40 39
50を下回ると悲観的な見通しと判断される
を下回ると悲観的な見通しと判断される
て注視しており、現段階ではインフレなしに成長を 30
28
22
加速する余地が残されていることを示唆している
25
20
といえそうだ。
さらに、3 月の NY 連銀製造業業況指数は 6.90 10
13
13
データ: 全米ホームビルダー協会
3月
月16日
日発表
8
と、前月の 7.78 から低下し、2 カ月連続で前月の
0
Jan-07
Jan-08
Jan-09
Jan-10
Jan-11
Jan-12
Jan-13
Jan-14
Jan-15
実績を下回った。 とりわけ注目されるのは、今後
の動向を示す「新規受注」がマイナス 2.39 と、2013 年 11 月以来の低水準となったことである。
また、3 月の米住宅建設業者の景況感を示す住宅市場指数は 53.0 と、56 に上昇するとの市場予想に反
して 3 カ月連続で低下し、8 カ月ぶりの低水準となった。
これら 2 つの景況感指数は、バーナンキ前 FRB 議長が 13 年 7 月の半期・議会証言で極めて重要と指
摘した 3 種類の指標に入っており、FRB が「Liftoff(利上げ)」に着手するための「合理的な確証」にはなお
見極めが必要であることを示唆しているといえよう。
本日から 2 日間の日程で開催される FOMC(連邦公開市場委員会)では、声明文からフォワードガイダン
ス(将来の金融政策指針)の「忍耐強くなれる(patient)」とした文言が変更されるとの見立てが市場でほぼ
固まっているものの、昨年 12 月の声明文で削除すると見られた「相当な期間(considerable time)」との文
言を形骸化する形で併記された経緯がある点に留意する必要もありそうだ。
これは、声明文に記された特定の文言に反応して売買を仕掛ける「アルゴリズム」対策としても有効であ
り、「忍耐強く」との文言を声明から削除する場合には金融引き締め開始に対する市場の予想時期が過度
に限定される可能性があるとの 1 月の議事要旨で明らかになった懸念への対策にも通じるといえよう。
市場の反応は、投機的ポジションの偏り具合によって大きく影響される傾向があるため、一時的にユーロ
反発やドル反落につながる可能性も念頭に置いておきたい。
Sep-14
Oct-14
Nov-14
Dec-14
Jan-15
Feb-15
Mar-15
前月比
NY連銀製造業業況指数
27.41
8.55
10.33
-1.23
9.95
7.78
6.90
-0.88
フィラデルフィア連銀製造業景況指数
22.5
20.7
40.8
24.3
6.3
5.2
-1.1
ダラス連銀製造業活動指数
10.8
10.5
10.5
4.1
-4.4
-11.2
-6.8
リッチモンド連銀製造業景況指数
14.0
20.0
4.0
7.0
6.0
0.0
-6.0
シカゴ連銀製造業景況指数
60.5
66.2
60.8
58.8
59.4
45.8
-13.6
ISM製造業景気指数
56.1
57.9
57.6
55.1
53.5
52.9
-0.6
ISM非製造業景気指数
58.1
56.9
58.8
56.5
56.7
56.9
0.2
製造業購買担当者景気指数(PMI)
57.5
55.9
54.8
53.9
53.9
55.1
1.2
サービス業購買担当者景気指数(PMI)
58.9
57.1
56.3
53.3
54.2
57.2
3.0
総合購買担当者景気指数(PMI)
59.0
57.2
56.1
53.5
54.4
57.2
2.8
(3 月 17 日 11:30 記)
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
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