Daily Market Comment

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Forex Watch
Daily Market Comment
Forex Watch Koujiro Mori
2014 年 12 月 24 日
米経済のバックワード・ルッキングによるドル高の持続性に注意
0.50
%
Techno-fundamental Analysis
TechnoDaily Market Comment
昨日の為替マーケットは、米国の相対的なファ
ンダメンタルズの優位性を背景にドルが全面高と
なる一方、円は世界的な株高に乗じたリスクオン
により独歩安の展開となった。
この日は東京市場の休場でアジアタイムは動意
薄の値動きが続いたが、欧州タイムは英国の 7-
9 月期 GDP が下方修正されたことや、同期の経
常収支の赤字額が過去最大を記録したことを受
けて BOE の利上げ観測が後退し、英ポンドに売
り圧力が掛かった。
また、ユーロ圏ではギリシャ次期大統領選出の
ための 2 回目の投票で、連立与党の候補が当選
に必要な賛成票を得られず、29 日に最終投票が
行われることになり、同国の政治的混乱が高まる
との観測からユーロ売り圧力が高まった。
一方、米国では 7-9 月期の GDP 確報値が前
期比年率 5.0%増と、改定値の 3.9%増や市場予
想の 4.3%増から上振れし、2003 年 7-9 月期以
来の大幅な伸びとなったことを受け、ドル高に弾
みが付いた。
過去の経験則では、GDP 統計が注目されるの
は速報値と改定値までであり、確報値は過去の数
値として材料視されることは少なかったが、今回
は主要各国の 7-9 月期 GDP が冴えないなかで
米国の上方修正の度合いが大きかったことが市
場の反応を大きくしたと推測される。
これにより、ドルの主要 6 通貨に対する ICE ド
ルインデックス先物は 90.335 と、2006 年 4 月以
来、約 8 年ぶりのドル高水準を付けるに至った。
米株式市場では、ベンチマークの S&P500 とリ
スク選好のメルクマールとなるダウ平均が終値ベ
ースで最高値を更新し、ダウ平均は初めて 1 万 8
千㌦の大台に乗せた。
米債券市場では、長期金利の指標となる 10 年
債利回りが 2.2694%と、今月 5 日の米 11 月雇用
統計発表後以来の水準に近づいた。
もっとも、この日発表された米経済指標では、
11 月の耐久財受注が前月比 0.7%減と、市場予
想の 2.9%増に反して減少したほか、企業の設備
投資の先行指標とされるコア資本財は前月比変
円の対主要通貨相場の騰落率
(NYクローズベース)
NYクローズベース)
2014/12/19
2014/12/19 ⇒ 12/23
12/23
円高
円安
0.00
-0.34
-0.46
-0.53
-0.50
-0.61
-0.66
-0.91
-0.98
-1.00
USD
EUR
2.0
%
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
世界の主要株価指数・週間騰落率
<終値ベース 2014/12/19
2014/12/19⇒ 12/23
12/23
1.73
1.5
1.38
1.23
1.0
0.87
0.5
0.0
0.81
0.56
0.08
0.00
(米)
NASDAQ
(米)
S&P500
(米)
NYダウ
NYダウ
(加)
トロント300
トロント300
(英)
FTSE100
(独)
DAX
(仏)
CAC40
(日)
日経225
日経225
5
ICEドルインデックス先物
ICEドルインデックス先物
(取引中心限月・終値)
2014/01/022014/01/02-12/23
12/23
90.0
90.335
12/23
3
86.823
10/03
87.5
85.0
82.5
85.038
10/20
81.403
01/31
1
80.809
06/11
80.0
79.811
06/30
79.126
05/06
77.5
債券価格
%
2
米10年物国債利回りの推移
10年物国債利回りの推移
2014/08/012014/08/01-2014/12/23
2014/12/23
2.6216
09/17
下 落
米金利
2.60
上 昇
A
A
円安・株高
C
円安・株高
米株価
D 円高・株安
B
円高・株安
2.382
11/06
2.40
2.3891
10/01
2.3378
08/28
2.3065
12/05
2.2075
12/18
B
A
2.20
米長期金利とリスク選好の関係
Aは「良い金利上昇」と「株高・円安」
は「良い金利上昇」と「株高・円安」
Bは「悪い金利低下」と「株安・円高」
は「悪い金利低下」と「株安・円高」
Cは「良い金利低下」と「株高・円安」
は「良い金利低下」と「株高・円安」
Dは「悪い金利上昇」と「株安・円高」
は「悪い金利上昇」と「株安・円高」
米金利
米株価
2.4358
10/03
C
2.00
4
2.1288
10/15
C
2.1728 B
11/28
A
2.0608
12/16
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
― 1 ―
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Forex Watch
FX Market Daily Comment
Forex Watch Kojiro Mori
338,695
わらずと市場予想の 1.5%増に届かず、前月も ■全米レギュラーガソリン価格 2009年
年5月
月以来の低水準
・ ガソリン小売価格が350セントを
セントを下回ると消費者マインドが
ガソリン小売価格が
セントを下回ると消費者マインドが改善
下回ると消費者マインドが改善
1.9%減に下方修正され、過去 2 四半期の力強い
・ ガソリン価格10セント
%押し上げる
ガソリン価格 セントの下落は可処分所得を
セントの下落は可処分所得を0.1%押し上げる
の下落は可処分所得を
拡大ペースから成長の勢いが鈍ったことを示唆し
・ 足下のディスインフレ傾向
足下のディスインフレ傾向は
の金融政策運営に影響を及ぼす
傾向はFRBの金融政策運営に影響を及ぼす
た。 また、11 月の新築一戸建て住宅販売件数は
・ マーケット的には「低インフレ・低金利・高成長」により株高を促す
全米レギュラーガソリン(小売価格平均値)
前月比 1.1%減と 2 カ月連続で減少、先に発表さ
1ガロン
ガロン=USセント
セント
ガロン
2006/01/02-2014/12/22
450
411.3
れた主力の中古住宅販売が 11 月に 6.1%減と半
396.0
394.1
2008/07
2011/05 2012/04
371.3
400
年ぶり低水準となったことを合わせ、住宅販売の
2014/04
警戒水域
警戒水域
落ち込みが顕著となっている。
350
一方、この日発表された 11 月の個人消費支出
325.7
322.9
321.0
▲131.0
300
2011/12 2012/12 2013/11
は前月比 0.6%増と、市場予想の 0.5%増を上回
250
る伸びとなったほか、12 月のミシガン大学消費者
240.3
信頼感指数・確報値は 93.6 と、速報値の 93.8 か
12/22
200
・米エネルギー情報局試算
ら下方修正されたものの 2007 年 1 月以来の高水
ガソリン価格
%増加
ガソリン価格10セントの下落=可処分所得
価格 セントの下落=可処分所得0.1%
セントの下落=可処分所得
150
161.3
14年
年3月
月
12月
月
準となった。
2008/12
93.6
ミシガン大学消費者信頼感指数 80.0
83.9
--CB・消費者信頼感指数
・消費者信頼感指数
米エネルギー省が発表した全米ガソリン小売価
100
格は 12 月 22 日時点で 1 ガロン=240.3 セントと
■米国のインフレ指標
14年
年4月以来の水準へ低下
月以来の水準へ低下
2009 年 5 月以来の低水準へ下落しており、足下
・ コアCPIは
は2012年後半以降「
年後半以降「1.6%-
%-2.0%」のレンジ内で推移
%」のレンジ内で推移
コア
年後半以降「
%-
・ コアPCE価格指数は
価格指数は2014年
年6月の
月の1.6%をピークに
%をピークに1.4%へ低下
%へ低下
コア
価格指数は
月の
%をピークに
の米家計の可処分所得の増加や消費者信頼感
・ FRBが注視するコア
が注視するコアPCE価格指数は目標の
価格指数は目標の2%を大きく下回る
が注視するコア
価格指数は目標の %を大きく下回る
の改善につながっている。
米主要インフレ指標の推移
%
コアCPI
コアCPI
また、11 月の個人消費支出と同時に発表され
(前年比伸び率)
2.9
3.0
コアPCE
コアPCE価格指数
PCE 価格指数
2006/012006/01-2014/11
たコア PCE 価格指数は前年比 1.4%と、今年 6 月
2.5
2.5
FRBが最適と考える
2.5
2.4
の 1.6%がピークとなり再び低下したことが明らか
2.4
2.3
レンジは1.7-2.0%
になった。 コア PCE 価格指数は、FRB がインフ
2.0
2.0
2.0
2.0
2.0
2.1
2.1
1.9
1.8
1.8
1.8
レ指標として注視する指標であり、足下のディスイ
1.9
1.6
1.8
1.6 1.7
1.7
ンフレ傾向は FRB の金融政策運営に影響を及ぼ
1.6
1.6
1.5
1.5
1.4
1.2
す可能性がありそうだ。
1.2
1.1
1.1
1.0
つまり、この日の市場の反応は FRB による拙
1960年統計開始
年統計開始
1957年統計開始
年統計開始
以来低水準
以来低水準
データ:ロイター
速な利上げはないとの読みが、ゴルディロックス
0.7
0.6
0.5
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
的なリスク選好を促す格好になったとみられるが、
121.40
クリスマス・ウィークによる薄商いの影響も多分に
550,000
IMM日本円通貨先物市場
IMM日本円通貨先物市場
円安・ドル
12/05
取引中心限月終値と総取組高
120.64
あったと推測される。
120
2014/09/152014/09/15-12/23
12/23
12/23
外為市場の縮図とされる IMM 日本円先物で
総取組高(右目盛)
450,000
117.11
取引中心限月終値(左目盛)
は、円安進行と同時に市場エネルギーのバロメー 115
12/16
109.81
タとなる総取組高が 3 営業日連続で減少してい
10/03
108.17
110
10/23
350,000
る。 また、売買高は今月 9 日の 54.2 万枚がピー
クとなり、最新データの 22 日時点では 6.8 万枚ま 105
105.97
10/15
で低下しており、積極的なドル買い・円売りによる
250,000
動きと読むことはできない。
100
12月限
12月限
より重要な点は、米経済の世界に占めるウエイ
売買終了
1枚=
枚=1,250万円
万円
枚=
150,000
トが 50%あった時代から 22%に低下し、米国が世 95
界経済の影響を受けやすくなっていることであり、世界経済が減速傾向にあるなか米経済の孤軍奮闘がど
こまで続くかが試されることになりそうだ。 今朝の日経 CNBC では、米国からの中継で現地のアナリストが
「米経済はレモン汁を絞り切った状態にあり、今後の動向に注意する必要がある」と警告しており、2014 年
の年初に見られた失速シナリオも念頭に置いておきたい。
224,232
262,272
182,419
211,603
244,171
(12 月 24 日 11:25 記)
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
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