今週の日米株式ストラテジー;pdf

2015.3.20
今週の日米株式ストラテジー
∼東京市場では日本企業の「変化」が中長期的な株高要因に∼
図表① 日経平均とNYダウ
先週月曜日(3/16)の東京市場では日経平均が 8 ∼3/19 のNYダウは 117 ドル安と反落した∼
3/18 の日経平均は約 15 年ぶりの高値を更新
円安と 4 日ぶりに小反落した。前週末(3/13)の米
国市場でユーロ安・ドル高や原油安が米国の企業業
績に悪影響を及ぼすとの懸念を背景に NY ダウが
145 ドル安と反落したことから、週明けの東京市場
では利益確定売りが優勢となった。一方、月曜日の
米国市場でユーロ安・ドル高が一服して NY ダウが
228 ドル高と大幅に反発すると、翌火曜日(3/17)
の東京市場では国内大手企業の賃上げ報道が相次
いだことも好感され、日経平均は 190 円高と反発し
た。その後、火曜日の米国市場では利益確定売りが
優勢となり、NY ダウが 128 ドル安と反落したが、
翌水曜日(3/18)の東京市場では 2 月の訪日外国人
客数が単月としては過去最高を更新したことが好
感され、日経平均は 107 円高と続伸した。その後、
水曜日の米国市場では FOMC の結果やイエレン
FRB 議長の記者会見を受けて FRB の早期利上げ懸
念が後退し、NY ダウが 227 ドル高と大幅に反発し
たが、翌木曜日(3/19)の東京市場ではドル安・円
高が進んだことを背景に利益確定売りが先行し、日
経平均は 67 円安と 3 日ぶりに反落した。
FRBの利上げに対する警戒感は一旦後退か
FRB は先週発表した FOMC 声明で、政策金利の
引き上げまで「忍耐強く(patient)」いられるとの
表現を削除し、政策目標とする 2%のインフレ率回
復へ「合理的な確信(reasonably confident)」を
得たうえで利上げに踏み切るとした。一方、FOMC
参加者による FF 金利の見通し(中央値)は今年末
が 0.625%、来年末が 1.875%と、前回 12 月時点の
見通しからいずれも下がり、GDP 成長率やインフ
レ率の見通しも下がった。これを受けて、先週の米
国市場では FRB の利上げ開始が遅れるとの見方や
利上げのペースが緩やかになるとの見方が広がり、
米 10 年物国債利回りは 2%を下回り、NY ダウは
18000 ドル台を回復した。実際にロイターが FOMC
声明発表後にプライマリーディーラー(米公認政府
証券ディーラー)を対象に実施した調査によると、
16 社中 12 社が FRB の利上げが 9 月以降になると
の見方を示した(3/6 に発表された米 2 月の雇用統
計発表後の調査では 16 社中 9 社が 6 月の利上げ開
始を予想していた)。米国市場では FRB の利上げ
20600
19800
(円)
(ドル)
(左軸)日経平均と200日移動平均→
18000
3/19まで
19600
16200
18600
14400
17600
12600
↑
NYダウと200日移動平均
(右軸)
10800
14/3/20 5/16
出所
16600
15600
7/15
9/10
11/5
15/1/5
3/4
大和証券投資戦略部で取りまとめ
図表② 訪日外国人客数
∼2 月の訪日外国人客数は単月としては過去最高
を更新した∼
150
(万人)
15/2
↓
訪日外国人客数(左軸)
前年同月比(右軸)
125
180
(%)
135
100
90
75
45
50
0
25
▲45
0
2005 06
出所
▲90
07
08
09
10
11
12
13
14
15
日本政府観光局
図表③ FOMC参加者によるFF金利見通し
∼2015 年末の見通し(中央値)は昨年 12 月時点
の 1.125%から 0.625%に下がった∼
4.5
4.0
3.5
3.0
(%)
FOMC参加者によるFF金利見通し(中央値)
2014年 9月時点
〃 12月時点
15年 3月時点
←3.750%
←3.125%
2.5
2.0
←1.875%
1.5
1.0
1.125%→
0.5
0.625%→
0.0
2015年末見通し 16年末見通し
出所
17年末見通し
長期見通し
FRB
本資料は、投資の参考となる情報提供のみを目的としたものです。投資に関する決定はご自身の判断でなさいますようにお願い申し上げます。本資料は、当社が信頼
できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されていますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、本資料に記載された意見や予
測等は、資料作成時点の当社の判断で、今後、予告なしに変更されることがあります。なお、本資料のご利用に際しては、最終ページの記載もご覧ください。
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図表④ ユーロ・日本・米国のエコノミック・サプライズ・インデックス
に対する警戒感が一旦後退したと考えられる。
∼米国の経済指標にはエコノミスト予想を下回
今週の米国市場では月曜日(3/23)に発表される
るものが目立っている∼
2 月の中古住宅販売件数、火曜日(3/24)に発表さ
75 過去3カ月間に発表された経済指標がエコノミスト予想を上(下)回
れば、エコノミック・サプライズ・インデックスが上昇(低下)する。
れる 2 月の消費者物価指数及び新築住宅販売件数、
50
←ユーロ
水曜日(3/25)に発表される 2 月の耐久財受注など
25
が注目されよう。米国では 3/6 に発表された 2 月の
3/19まで
雇用統計こそエコノミスト予想以上に改善したも
0
←日本
のの、その後に発表された経済指標の多くがエコノ
▲25
ミスト予想を下回ったことから、今週発表される経
▲50
済指標にも多くを期待できないと見ている。
←米国
▲75
日本企業の「変化」が中長期的な株高要因に
日経平均は 3/13 に 2000 年 4 月以来の 19000 円
台を回復したが、その原動力は過去最大の上げ幅で
急騰して上場来高値を更新したファナックだった。
高収益ながら株主との対話に消極的だったファナ
ックが、「4 月に株主との対話窓口となる部署を設
け、増配や自社株買いも検討する」と報じられたこ
とが好感された。また、先週は三菱重工が「ROE
を経営目標に導入し、日本企業の平均を上回る 10%
超を目指す」と報じられたが、同社の相川会長(当
時)が 1998 年 1 月に「我々は ROE など眼中にな
い」と発言して物議を醸した経緯を引き合いに、日
本企業が株主や資本効率重視の経営に転じつつあ
ることを示す象徴と捉える論調も伝えられた。
ファナックや三菱重工に「変化」を促した背景に、
「コーポレートガバナンス・コード」と「日本版ス
チュワードシップ・コード」という 2 つの「コード」
が存在することは明らかだろう。金融庁と東京証券
取引所は 3/5 に、社外取締役を 2 人以上置くことを
柱とした企業統治指針(コーポレートガバナンス・
コード)を正式決定した。同コードは上場企業を対
象に 6/1 から適用し、企業経営に外部の意見を取り
入れることを求める。また、金融庁は 3/12 に、機
関投資家向けの行動原則である「日本版スチュワー
ドシップ・コード」の導入を表明した投資家が 2 月
末時点で 184 社になったと発表した。同コードは機
関投資家に投資先の企業との対話を通じて経営に
関与することを求めている。今週の東京市場では木
曜日(3/26)が 3 月末の権利付き最終売買日となり、
翌金曜日(3/27)以降は利益確定売りが先行する可
能性があるが、日本企業の「変化」が中長期的な株
高要因になると考えられよう。(野間口毅 3/20 記)
▲100
14/3/19 5/15
出所
7/11
9/5
10/31
12/29 15/2/24
大和証券投資戦略部で取りまとめ
図表⑤ 日経平均と東証1部の予想ROE
∼日本企業は ROE 重視の経営に転じつつある∼
25000
日経平均(左軸)
(円)
12
東証1部の予想ROE(右軸)
東証1部の予想ROEは日経新聞朝刊掲載のPBR÷予想PERで計算
22000
月末値(直近は15/3/19)
(%)
10
19000
8
16000
6
13000
4
10000
2
7000
1992
出所
0
95
98
2001
04
07
10
13
大和証券投資戦略部で取りまとめ
図表⑥ 「日本版スチュワードシップ・コード」を受け入れ
ると表明した機関投資家の数
∼機関投資家は投資先の企業との対話が必須に∼
200
175
150
議決権行使助言会社等
年金基金等
損害保険会社
生命保険会社
投信・投資顧問会社等
信託銀行等
125
100
75
50
25
0
14/6/10公表
出所
14/9/2公表
14/12/9公表
15/3/12公表
金融庁
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-2/3-
お取引にあたっての手数料等およびリスクについて
手数料等およびリスクについて
z 株式等の売買等にあたっては、
「ダイワ・コンサルティング」コースの店舗(支店担当者)経由で
国内委託取引を行う場合、約定代金に対して最大 1.24200%(但し、最低 2,700 円)の委託手数料
(税込)が必要となります。また、外国株式等の外国取引にあたっては、現地諸費用等を別途い
ただくことがあります。
z 株式等の売買等にあたっては、価格等の変動による損失が生じるおそれがあります。また、外国
株式等の売買等にあたっては価格変動のほかに為替相場の変動等による損失が生じるおそれがあ
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要です。信用取引は、少額の委託保証金で多額の取引を行うことができることから、損失の額が
差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
z 債券を募集・売出し等により、又は当社との相対取引により売買する場合は、その対価(購入対
価・売却対価)のみを受払いいただきます。円貨建て債券は、金利水準の変動等により価格が上
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動等により損失が生じるおそれがあります。また、債券の発行者または元利金の支払いを保証す
る者の財務状況等の変化、およびそれらに関する外部評価の変化等により、損失を生じるおそれ
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ご投資にあたっての留意点
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前交付書面、目論見書、等をよくお読みください。
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商号等 :大和証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第108号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、
一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
【保有株式等について】
大和証券は、このレポートに記載された会社が発行する株券等を保有し、売買し、または今後売買することがあります。大和証券グループ
が、株式等を合計 5%超保有しているとして大量保有報告を行っている会社は以下の通りです。(平成 27 年 3 月 13 日現在)
第一カッター興業(1716) 北弘電社(1734) 大豊建設(1822) テノックス(1905) アコーディア・ゴルフ(2131) フルスピード(2159) エ
イジア(2352) アルコニックス(3036) ソリトンシステムズ(3040) サンセイランディック(3277) 星野リゾート・リート投資法人(3287)
日本ヘルスケア投資(3308) クリヤマホールディングス(3355) ケー・エフ・シー(3420) サンコーテクノ(3435) トーセイ・リート投資
法人(3451) テックファーム(3625) エムアップ(3661) モブキャスト(3664) アバント(3836) 関東電化工業(4047) 第一稀元素化学
工業(4082) ラクオリア創薬(4579) 中国塗料(4617) MORESCO(5018) 相模ゴム工業(5194) 有沢製作所(5208) ノザワ(5237) 中山製
鋼所(5408) 東京鐵鋼(5445) 新報国製鉄(5542) 日本精鉱(5729) テクノプロ・ホールディングス(6028) ライドオン・エクスプレス
(6082) 日進工具(6157) レオン自動機(6272) 日精エー・エス・ビー機械(6284) 日精樹脂工業(6293) オカダアイヨン(6294) 加藤製
作所(6390) 兼松エンジニアリング(6402) JUKI(6440) 三相電機(6518) ダブル・スコープ(6619) SEMITEC(6626) 寺崎電気産業
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(8023) マネースクウェア HD(8728) マネーパートナーズ(8732) シノケングループ(8909) 大和証券オフィス投資法人(8976) 日本賃
貸住宅(8986) ファーストエスコ(9514) セレスポ(9625) 帝国ホテル(9708) 丸紅建材リース(9763) パーカーコーポレーション
(9845) バイテック(9957)(銘柄コード順)
【主幹事を担当した会社について】
大和証券は、平成 26 年 3 月以降下記の銘柄に関する募集・売出し(普通社債を除く)にあたり主幹事会社を担当しています。
日本M&Aセンター(2127) リンクアンドモチベーション(2170) 東京エレクトロンデバイス(2760) 北の達人コーポレーション(2930)
アークランドサービス(3085) ブロンコビリー(3091) 鳥貴族(3193) ホットランド(3196) 大和ハウスリート投資法人(3263) アクテ
ィビア・プロパティーズ投資法人(3279) イオンリート投資法人(3292) ヒューリックリート投資法人(3295) 日本ヘルスケア投資法人
(3308) トリドール(3397) トーセイ・リート投資法人(3451) ケネディクス商業リート投資法人(3453) コロプラ(3668) リアルワール
ド(3691) オプティム(3694) GMOリサーチ(3695) 大王製紙(3880) クラウドワークス(3900) カヤック(3904) データセクション
(3905) 竹本容器(4248) クイック(4318) ダイト(4577) リボミック(4591) 日本エンタープライズ(4829) OATアグリオ(4979)
クニミネ工業(5388) GMO TECH(6026) アドベンチャー(6030) インターワークス(6032) エクストリーム(6033) MRT(6034)
ファーストロジック(6037) レアジョブ(6096) 日本ビューホテル(6097) パンチ工業(6165) イマジカ・ロボット ホールディングス
(6879) FPG(7148) 盟和産業(7284) プラッツ (7813) 菊水化学工業(7953) 三井不動産(8801) 日本ビルファンド投資法人(8951)
オリックス不動産投資法人(8954) ユナイテッド・アーバン投資法人(8960) 平和不動産リート投資法人(8966) 大和証券オフィス投資法
人(8976) ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985) U−NEXT(9418) エムティーアイ(9438) アルファポリス(9467) 広島ガス
(9535) アイ・エス・ビー(9702) 学究社(9769) 蔵王産業(9986)(銘柄コード順)
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