Daily Market Comment

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Forex Watch Koujiro Mori
2015 年 2 月 24 日
FED が金融正常化に際し忍耐強くなれる理由
円の対主要通貨相場の騰落率
( NYクローズベース)
NYクローズベース)
2015/02/20 ⇒ 02/23
%
円高
1.50
1.39
円安
1.00
0.68
0.50
0.58
0.45
0.19
0.21
0.00
- 0.25
-0.50
USD
EUR
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
ドルの対主要通貨相場の騰落率
(NYクローズベース)
NYクローズベース)
2015/02/20 ⇒ 02/23
%
1.50
1.28
ドル高
1.00
ドル安
0.50
0.52
0.39
0.26
0.00
0.03
-0.19
- 0.42
-0.50
JPY
EUR
1.0
%
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
世界の主要株価指数・週間騰落率
<終値ベース 2015/02/20
2015/02/20⇒
20⇒ 02/23
02/23
0.73
0.73
0.65
0.5
0.18
0.10
0.0
(米)
NASDAQ
-0.5
-0.03
-0.13
(米)
S&P500
(米)
NYダウ
ダウ
NY
-0.04
(加)
トロント300
300
トロント
3.0263
12/31
%
3.00
(英)
FTSE100
(独)
DAX
(仏)
CAC40
(日)
日経225
日経225
米10年物国債利回りの推移
10年物国債利回りの推移
2013/10/012013/10/01-2015/02/23
2015/02/23
2.8027
04/02
2.6532
06/17
2.75
2.50
2.4850
10/23
2.25
債券価格
2.00
2.5752
02/03
2.4449
05/28
2.6216
09/17
2.3820
11/06
2.1449
02/17
2.3378
08/28
2.1288
10/15
2.0609
02/23
下 落
1.75
上 昇
1.50
1.6390
01/30
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
― 1 ―
Techno-fundamental Analysis
TechnoDaily Market Comment
週明けの為替マーケットは、ギリシャの金融支
援延長を巡る不透明感やイエレン FRB 議長の半
期・議会証言を控えて、持ち高調整が優勢な地合
いとなり、日本円と米ドルが相対的に買い戻される
展開となった。
ユーロ/ドルは、2 月の IFO 企業景況感指数が
市場予想を下回ったことや、ギリシャに対する金融
支援 4 カ月延長の条件となる改革案リストの提出
が期限の 23 日から 24 日にずれ込むとの報道で、
前週末の安値 1.1278 ㌦に迫る 1.1295 ㌦まで反
落した。 ユーロ/ドルは、前週末の上昇分の大
半を帳消しにする下げとなったものの、今月 9 日
の安値 1.1270 ㌦や 20 日の安値 1.1278 ㌦の手
前で下げ止まっているのは、ギリシャの金融支援
延長を巡る手続きが最終的には承認されるとの予
定調和的な結果を想定しているためとみられる。
ギリシャ政府による第 1 弾の改革案リストは、24
日午前にユーログループに提出され、ユーロ圏財
務相らは同日午後に電話会議を実施する予定と
なっている。 ドイツやフィンランドなど一部の国で
は、議会の承認を取り付ける必要があるため、誰
もが受け入れられるような改革案をギリシャ政府
が提出できるかが焦点となっている。
もっとも、ギリシャ政府と支援する側の双方が
「プラン B(ユーロ離脱)」の可能性を強く否定して
いる以上、政治的に激しい応酬がなされたとしても
金融支援は人道的にも続けざるを得ないという状
況にあるとみられ、EU としては 4 カ月の支援延長
によって今後の本格的な交渉に臨むようだ。
一方、米国ではイエレン FRB 議長による金融
政策および経済情勢に関する半期に一度の議会
証言が今週最大の注目イベントとなっている。
イエレン議長は 24 日に上院銀行委員会で、25
日は下院金融委員会で証言を行う予定となってお
り、市場関係者の関心は金融正常化のタイミング
についてどのような手掛かりを提供してくれるかに
集まっている。
昨日の NY タイムでは、同日発表された 1 月の
米中古住宅販売が前月比 4.9%減と 9 カ月ぶりの
低水準に落ち込むなど、最近の米経済指標が軒
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並み市場予想を下回る良い結果が続いており、 ■米労働市場 雇用者増加も業態は危機前と様変わり
米債券市場ではイエレン議長が金融政策に関し
・ 2015年
年1月
月の非農業部門雇用者数は過去最高の1億
万人
の非農業部門雇用者数は過去最高の 億4,085万人
・ 2011~
~15年
年1月
月における非農業部門雇用者は計958.5万人増
万人増
における非農業部門雇用者は計
ハト派的なトーンを打ち出すとの観測から全ての
・ 2014年
年5月迄に
月迄に金融危機後に喪失した
万人を
月迄に金融危機後に喪失した766万人
金融危機後に喪失した
万人を全て取り戻した
年限の利回りが低下している。
・ 一方で雇用増の大半は相対的に低賃金のサービス部門が占める
500
958.5万人
万人
FRB は「雇用の最大化」と「物価の安定」という
米非農業部門雇用者の増減
2008年~
2008年~201
年~2015
2015年1月
2 つの使命(デュアル・マンデート)を課せられてお
米労働省データより作成
311.6
250
308.4
り、1 月の FOMC 議事要旨では労働市場の力強
(単位: 万人)
238.8
225.7
156.7
い雇用増を評価する一方、物価情勢については
25.7
0
-76.6
-95.8
「何人かの参加者はコア物価指数が依然弱含ん
月間の雇用増加ペース(単位:万人)
でいることを懸念した」と記している。
2011年
年 2012年
年 2013年
年 2014年
年 2015年
年
-250
13.1
18.8
19.9
26.0
25.7
金融危機後に喪失した 766 万人の雇用は 14
2015年は
年は1月の
年は 月の増加ペースが続くと
月の増加ペースが続くと
年 5 月までに全て取り戻し、15 年 1 月時点の非農
年間の雇用者数は
万人増となる
年間の雇用者数は308.4万人増
万人増となる
-500
-593.7
業部門雇用者数は過去最高の 1 億 4,085 万人に
2008年末から
年末からサービス部門
万人増加
年末からサービス部門が
サービス部門が479.8万人
万人増加
これに対して製造業は
万人減少している
これに対して製造業は124.3万人
対して製造業は
万人減少している
達している。 とはいえ、08 年末からサービス部
766.1万人
万人
-750
2008年
2008年
2009年
2009年
2010年
2010年
2011年
2011年
2012年
2012年
2013年
2013年
2014年
2014年
2015年
2015年
門が 479.8 万人増加したのに対して、製造業は
124.3 万人減少するなど、雇用増の大半は相対 ■米国では雇用者増加の一方
米国では雇用者増加の一方で設備投資が減少
一方で設備投資が減少
・ 非農業部門雇用者数は1月までの
万人増か
非農業部門雇用者数は 月までの3カ月間に計
月までの カ月間に計100.9万人増か
カ月間に計
的に低賃金のサービス部門が占めているのが実
・ 一方で耐久財受注は昨年10月から
一方で耐久財受注は昨年 月から12月まで
月から 月まで3カ月連続で減少
月まで カ月連続で減少
情で、経済情勢のためパートタイムに就いている
・ 雇用増と設備投資減の組合せは労働生産性の低下を示唆する
者を加えた不完全雇用も含む失業率(U-6)は
・ SF連銀は
連銀は米労働
連銀は米労働生産性の低下が経済成長の重しになると指摘
米労働生産性の低下が経済成長の重しになると指摘
14年
年10-12月期は雇用増の一方で設備投資は減少
月期は雇用増の一方で設備投資は減少
11.3%と正常値の 9.2-9.6%を上回っている。
万人
%
耐久財受注(コア資本財出荷%)
足下では、非農業部門雇用者数が 1 月までの
42.3
4
非農業部門雇用者数(前月比)
40
3 カ月間に 100.9 万人増加しているものの、耐久
3
33.0
財受注は昨年 10 月から 12 月まで 3 カ月連続で
27.4
30
2
減少しており、雇用増と設備投資減少の組み合わ
25.7 1
せは労働生産性の低下を示唆している。
20
0
サンフランシスコ地区連銀は 2 月 9 日に調査リ
10
ポートを発表し、米国の労働生産性は景気後退
-1
8.4
のはるか前からさえず、今後経済成長の重しにな
0
-2
Jan-13 Apr-13
Jul-13
Oct-13 Jan-14 Apr-14
Jul-14
Oct-14 Jan-15
るとの見通しを示している。
米労働生産性は 1995 年から 2003 年にかけて ■米国のコアインフレ指標 「ディスインフレ」傾向続く
・ 14年
年12月のコア
月のコアCPIは前年比
は前年比1.6%と
%と14年
月以来の水準に低下
月のコア
は前年比
%と 年2月以来の水準に低下
急上昇したあと大きく低下し、最近では年 1.5%の
・ コアPCE価格指数は
価格指数は14年
月の1.6%をピークに
%をピークに12月は
%へ低下
コア
価格指数は 年6月の
月の
%をピークに 月は1.3%へ低下
月は
水準で落ち着いており、国内総生産(GDP)伸び
・ FRBが注視するコア
が注視するコアPCE価格指数はインフレ目標の
価格指数はインフレ目標の2%を大きく下回る
が注視するコア
価格指数はインフレ目標の %を大きく下回る
率に換算すると、過去の水準を大きく下回る年率
米主要インフレ指標の推移
%
データ:ロイター
コアCPI
コアCPI
(前年比伸び率)
2.9
3.0
コアPCE
コアPCE価格指数
PCE 価格指数
2006/012006/01-2014/12
2.1%に相当する可能性があると指摘している。
2.5
2.5
こうした変化は、インフレ動向との関連で注目さ
FRBが最適と考える
2.5
2.4
2.4
2.3
レンジは1.7-2.0%
れる賃金の伸び鈍化という形で現れており、1 月
2.0
2.0
2.0
2.0
2.0
2.1
2.1
1.9
の FOMC 議事要旨では名目賃金の低さに懸念
1.8
1.8
1.8
1.9
1.6
1.8
1.6
1.7
が示されている。
1.6
1.6
1.6
1.5
1.5
1.2
1 月の米雇用統計では時間当たり賃金伸び率
1.3
1.2
1.1
1.1
1.0
が前年比 2.19%と前月の 1.90%から上振れたも
1960年統計開始
年統計開始
1957年統計開始
年統計開始
以来低水準
以来低水準
のの、金融危機前の正常値とされる 3~4%を大
0.7
0.6
0.5
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
幅に下回っており、ディスインフレ傾向の一因にも
なっている。
また、FRB の現職および元当局者・スタッフ数人へのロイター・インタビューによると、完全雇用の状態と
見なされる、インフレ圧力が生じ始める「自然失業率」はかなり低いとの見方が内部で定着しつつあるよう
だ。 パウエル FRB 理事は今月 9 日、自然失業率が低くなっている可能性について FRB 内で議論してい
るとし、5%を下回っているとの見方もあるとしたうえで、そうであればインフレ率が加速し始める前にさらに
雇用状況を改善させる必要がある、との考えを示している。
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
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1 月の失業率は 5.713%となっており、FRB は
FFレート先物とドル/円の動向
レート先物とドル/円の動向
%
円
121.49 120.67
5%を下回るまでインフレを懸念することなく雇用 0.50
120.45
2014/08/01-2015/02/23
120.0
の質的改善を見極めることができるわけだ。
118.81
15年
年6月限(左目盛)
月限(左目盛)
今朝の日経新聞朝刊は、イエレン議長の腹心と 0.40
ドル/円(右目盛)
116.39
116.15
115.0
される サンフランシスコ連銀ウィリアムズ総裁の
0.305
0.30
単独インタビュー記事を掲載している。
110.0
利上げライン
同総裁は利上げに踏み切る時期について、「経 0.25
0.215
0.24
0.19
105.89
105.0
済指標次第だが今夏、6 月も排除すべきではな 0.20
0.17
い」と述べているが、市場参加者が最短シナリオと
0.15
0.135
102.01
0.10
100.0
して想定している以上、当局者として敢えて否定
する必要はないという程度のものと解釈される。
FFレート先物市場が織り込む15 年のFOMCの利上げ確率(%)
より重要な点は、1 月の FOMC 議事要旨で「忍 FED Watch
Jun- 15 Jul-1 5
Sep- 15 Oct-15 Dec- 15 Jan-1 6
0 1/0 2
26
52
68
84
91
97
耐強く」との文言を削除した場合の市場への影響
0 1/0 9
17
37
52
71
81
92
に懸念を示していたことである。
0 1/1 6
12
27
39
58
70
84
0 1/2 3
12
28
44
62
74
86
市場の金利観を反映する FF レート先物市場で
0 1/3 0
11
26
38
55
65
79
0 2/0 6
23
46
63
80
88
95
は、6 月の利上げの確率がわずか 18%と、年央
0 2/1 3
20
43
59
77
86
94
の利上げを想定していないことを示しており、市場
0 2/2 0
18
39
58
76
85
94
0 2/2 3
18
38
55
74
83
93
との対話を重視するイエレン議長も議会証言では
市場を驚かすことなく忍耐強い(ハト派寄り)姿勢を示す根拠の一つとなりそうだ。
(2 月 24 日 11:30 記)
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
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2015 年 2 月 20 日
海外投資マネーが日経平均の上昇を主導
円の対主要通貨相場の騰落率
(NYクローズベース)
NYクローズベース)
2015/02/13 ⇒ 02/19
02/19
%
2.00
1.63
円高
1.00
円安
0.07
0.00
0.21
-0.10
-0.28
-0.61
-0.97
-1.00
USD
EUR
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
ドルの対主要通貨相場の騰落率
(NYクローズベース)
NYクローズベース)
2015/02/13 ⇒ 02/19
02/19
%
2.00
1.88
ドル高
1.00
ドル安
0.10
0.39
0.20
0.00
-0.11
-0.44
- 0.83
-1.00
JPY
EUR
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
世界の主要株価指数・週間騰落率
<終値ベース 2015/02/13⇒ 02/19
02/19
%
2.0
1.96
1.55
1.0
0.63
0.35
0.22
0.02
0.0
-0.19
-0.55
(米)
NASDAQ
-1.0
(米)
S&P500
(米)
NYダウ
ダウ
NY
(英)
FTSE100
2.382
11/06
C
2.2694
12/23
2.3378
08/28
2.25
A
C
2.1288
10/15
2.00
A
A
2.0608
12/16
債券価格
1.8752
01/21
A
B
下 落
米金利
上 昇
1.50
2.1449
02/17
C
B
B
1.75
(日)
日経225
225
日経
米長期金利とリスク選好の関係
Aは「良い金利上昇」と「株高・円安」
は「良い金利上昇」と「株高・円安」
Bは「悪い金利低下」と「株安・円高」
は「悪い金利低下」と「株安・円高」
Cは「良い金利低下」と「株高・円安」
は「良い金利低下」と「株高・円安」
Dは「悪い金利上昇」と「株安・円高」
は「悪い金利上昇」と「株安・円高」
A
2.50
(仏)
CAC40
(独)
DAX
米10年物国債利回りの推移
10年物国債利回りの推移
2014/08/012014/08/01-2015/02/19
2015/02/19
2.6216
09/17
%
(加)
トロント300
300
トロント
米金利
米株価
A
円安・株高
C
円安・株高
米株価
D
円高・株安
B
円高・株安
2.1221%
%
2月
月19日
日
1.7275B
01/15
1.6390
01/30
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
― 1 ―
Techno-fundamental Analysis
TechnoDaily Market Comment
昨日の為替マーケットは、前日の FOMC 議事
要旨を手掛かりとするドル売りは東京午前で概ね
収束し、強弱混在の米経済指標やギリシャによる
融資延長を巡る応酬で一喜一憂しながらも、直近
の取引レンジ内での値動きに終始した。
まずギリシャ債務問題を巡っては、現行の支援
プログラム期限があと約 1 週間に迫るなか、ギリ
シャ政府が 19 日にユーロ圏諸国に対して 6 カ月
間の融資延長を正式に申請した。
しかし、ドイツとフィンランドが金融支援の条件と
なっている財政緊縮策の継続が約束されていない
として、融資延長に反対する姿勢を示したため、
ユーロは売り戻される展開となった。
ギリシャへの融資延長にはユーロ圏各国の血
税が投入されるため、ドイツとフィンランドなどでは
議会の承認を取り付けることが義務付けられてお
り、現在の支援プログラムの条件順守にコミットす
ることをより明確に示す必要が生じている。
こうしたなか、ユーロ圏財務相会合のデイセル
ブルム議長がギリシャの申請を検討するため 20
日に財務相会合を開催すると明らかにしたこと
で、ユーロの下落幅は限定的となっている。
また、ギリシャのツィプラス首相とドイツのメルケ
ル首相が 50 分間にわたり電話会談を行ったこと
や、米政府がすべての関係国の妥協が必要とし
て欧州諸国への働きかけを強めているとの報道も
あり、市場では何らかの合意が得られるのではな
いかとの楽観的な見方が台頭している。
一方、米国ではこの日発表された 14 日終了週
の新規失業保険申請件数が 28.3 万件と、前週か
ら 2.1 万件減少し、改めて労働市場の底堅さを示
した。 しかし、1 月の CB 景気動向指数が前月か
ら鈍化し、第 1 四半期の成長が緩やかなペースに
とどまっていることを示唆したうえ、2 月のフィラデ
ルフィア連銀製造業景況指数が 5.2 と 2014 年 2
月以来の低水準となり、米景気の先行き不透明
感を払しょくするには至らなかった。
2 月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数
は、先に発表された NY 連銀製造業業況指数と同
様に今後の動向を示す新規受注が悪化したうえ、
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Forex Watch Kojiro Mori
業況 6 カ月予測が 29.7 と前月の 50.9 から大幅に
■米経済の重要先行指標 昨秋をピークに低下傾向
・ 米国の企業景況感指数は14年
月がピークとなり軒並み低下
米国の企業景況感指数は 年9-11月がピークとなり軒並み低下
低下し、2013 年 4 月以来の低水準となっており、
・ 「原油安・ドル高」が米企業活動の逆風となっていることを示唆する
今後の米製造業活動の悪化を懸念させている。
・ 2月
月17日の
日のNY連銀製造業業況指数から
日の 連銀製造業業況指数から2月分の発表が始まった
連銀製造業業況指数から 月分の発表が始まった
・ NY連銀製造業業況指数は今後の動向を示す新規受注が大幅悪化
連銀製造業業況指数は今後の動向を示す新規受注が大幅悪化
このため、市場の金利観を反映する FF レート
米経済の先行指標とされる企業景況感指数は軒並みピークアウト
先物市場では、6 月の FOMC での利上げ確率が
15%と前日の 18%から低下し、依然として年央の
利上げを織り込む状況には至っていない。
昨日のドル/円は、東京午前に付けた 118.44
円が押し目となり、NY 午前に 119.18 円まで上昇
したものの、日足均衡表の「転換線」(=118.36
処)の手前で失速し、NY クローズは 118.94 円で
着地している。
「赤色の枠」は過去6カ月の最高値、「黄色の枠」は過去
「赤色の枠」は過去 カ月の最高値、「黄色の枠」は過去6カ月の最低値を示します
カ月の最高値、「黄色の枠」は過去 カ月の最低値を示します
ドル/円は前週末 13 日から昨日まで 5 営業日 ※「赤色の枠」は過去
・2月の
月のNY連銀製造業業況指数は新規受注
から1.22へ大幅
へ大幅に悪化(
日)
月の 連銀製造業業況指数は新規受注が前月
連銀製造業業況指数は新規受注が前月の
が前月の6.09から
から
へ大幅に悪化(2月
に悪化( 月17日
・2月のフィリー指数は業況指数が
月のフィリー指数は業況指数が5.2と
と14年
年2月以来の低水準となる(
月以来の低水準となる(2月
日)
月のフィリー指数は業況指数が
月以来の低水準となる( 月19日)
連続で下値 118.24 円(02/17)-上値 119.42 円
★IMM市場の相場動向と取組高の関係
(02/17)の小幅レンジに釘付けされている。
価 格 取組高 想定されるポジション動向
IMM 日本円先物では、市場エネルギーのバロ
増加 ロングの増加(新規)
上昇
減少 ショートの減少(仕切)
メータとなる総取組高が 20 万枚台(1 枚=1,250
増加 ショートの増加(新規)
下落
減少 ロングの減少(仕切)
万円)の前半での一進一退が続いている。
さ
121.40
120.64
IMM日本円通貨先物市場
IMM日本円通貨先物市場
120.24 550,000
円
日本円先物総取組高は、今月 6 日の米 1 月雇
12/05
12/23
02/11
取引中心限月終値と総取組高
枚
120
2014/09/152015/02/19
9
2014/09/15
2015/02/1
用統計発表後に 20.3 万枚から 21.8 万枚へ円安
118.96
02/19
進行と同時に増加し、円ショート構築のための資
450,000
117.11
116.46
115
12/16
円安・ドル高
金流入の兆候を示したものの、再び減少に転じ、
01/15
109.81
10/03
最新データとなる 18 日時点では 20.2 万枚と昨年 110
総取組高(右目盛)
350,000
10 月末以来の低水準となっている。
取引中心限月終値(左目盛)
一方で日本先物の売買高は 15 万枚前後を維 105
105.97
10/15
持しており、レンジ相場を前提とする回転売買の
250,000
100
継続を示唆している。
12月限
12月限
売買終了
ここで注目されるのが 14 年 9 カ月ぶりの高値水
1枚=
枚=1,250万
万
枚=
95
150,000
準に達した日経平均株価である。
・市場エネルギーのバロメータとなる総取組高は20万枚前半で一進一退が続く
・市場エネルギーのバロメータとなる総取組高は 万枚前半で一進一退が続く
月の米雇用統計発表後には20.3万枚から
万枚から21.8万枚へ円安進行と同時に増加
万枚へ円安進行と同時に増加
月の米雇用統計発表後には
万枚から
昨年までは「日本株高・円安」がジャパントレー ・1月の米雇用統計発表後には
円ショート構築のための資金流入の兆候を示したものの総取組高は再び減少
円ショート構築のための資金流入の兆候を示したものの総取組高は再び減少
ドの代名詞となっていたものの、足下では円安や ・最新データとなる
時点では
万枚と昨年10月末以来の低水準となる
・最新データとなる02/18時点
データとなる
時点では20.2万枚と昨年
では
万枚と昨年 月末以来の低水準となる
・売買高は 万枚前後を維持しておりレンジ相場を前提とする回転売買を示唆する
米株高に依存しない形で日経平均の上昇が続い ・売買高は15万枚前後を維持しておりレンジ相場を前提とする回転売買を示唆する
ている。 実際、米株式市場全体のベンチマーク ■日経平均株価 「ドル建て優位」 海外マネー日本株回帰
S&P500 種株価指数は年初来の昇率が 1.87%
・ 2月
月19日は終値で
日は終値で1万
円と14年
カ月ぶり高値水準に達した
日は終値で 万8264円と
円と 年9カ月ぶり高値水準に達した
・ ドル建てで運用する中長期の海外投資家が日本株高を主導している
(NY ダウは 0.91%)にとどまる一方、日経平均株
・ 年初来上昇率はドル建てが+5.11%
%と円建ての+4.66%を上回る
%を上回る
年初来上昇率はドル建てが
と円建ての
・ ドル建て日経平均が最も上昇する組合せは「日本株高・円高」となる
価は 4.66%と大幅に上回っている。
18,264
日経平均株価の推移
また、海外投資家などが重視するドル建て日経
$
円
2012/10/10-2015/02/19
平均は、年初来の上昇率が 5.11%と円建て日経 17,500
160
16,121
154.93
15,627
153.56
152.95
151.52
平均の上昇率を上回っている。
海外投資家は、春闘を通じた賃上げ期待や貿 15,000
140
易収支の改善など日本独自の材料を手掛かりに
12,500
株高を主導しているとみられている。
●2006年5月の高値156㌦を上抜くには
日経平均 ⇒ USDJPY
円安
ここでのポイントは、ドル建て日経平均はドルで
① 1万8500円 ⇒ 118.59円
120
② 1万8300円 ⇒ 117.31円
10,000
資産を運用するため、為替変動リスクを積極的に
③ 1万8000円 ⇒ 115.38円 円高
採っているということであり、株価の上昇と共にド
日経平均
ドル建て日経平均
7,500
100
ル安・円高が収益の源泉になっている。
12Oct 13Jan 13Apr 13Jul 13Oct 14Jan 14Apr 14Jul 14Oct 15Jan
ドル建て日経平均株価は、2006 年 5 月以降、
156 ㌦の壁が強く意識されており、156 ㌦を巡る上抜け攻防が焦点となっている。
Sep-14
Oct-14
Nov-14
Dec-14
Jan-15
Feb-15
前月比
直近ピーク
からの変化幅
NY連銀製造業業況指数
27.41
8.55
10.33
-1.23
9.95
7.78
-2.17
-19.6
フィラデルフィア連銀製造業景況指数
22.5
20.7
40.8
24.3
6.3
5.2
-1.1
-35.6
ダ ラス連銀製造業活動指数
10.8
10.5
10.5
3.5
-4.4
-7.9
-15.2
リッチモンド連銀製造業景況指数
14.0
20.0
4.0
7.0
6.0
02/23
発表
02/24
発表
-1.0
-14.0
シカゴ連銀製造業景況指数
60.5
66.2
60.8
58.8
59.4
02/27
発表
0.6
-6.8
ISM製造業景気指数
56.6
59.0
58.7
55.1
53.5
3月1週
発表
-1.6
-5.5
ISM非製造業景気指数
58.6
57.1
59.3
56.5
56.7
0.2
-2.6
製造業購買担当者景気指数(PMI)
57.5
55.9
54.8
53.9
53.9
3月1週
発表
3月1週
発表
0.0
-3.6
サービス業購買担当者景気指数(PMI)
58.9
57.1
56.3
53.3
54.2
3月1週
発表
0.9
-4.7
338,695
202,421
202,848
218,238
231,223
262,272
182,419
211,603
244,171
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
― 2 ―
M
Forex Watch
FX Market Daily Comment
Forex Watch Kojiro Mori
ドル建て日経平均が最も上昇する組合せは「円
建て日経平均の上昇」と「ドル安・円高の進行」と
なるため、春闘の賃上げや日米 TPP 交渉の大筋
合意をテーマに円買い仕掛けが強まるシナリオも
想定されそうだ。
CME のドル建て日経平均先物では、シカゴ筋
は 2 月 1 週に買い越しに転じたばかりで買い余力
を有しており、本日公表される 17 日時点のファン
ド勢の持ち高状況にも注目したい。
(2 月 20 日 11:30 記)
160
CME:日経平均株価(ドル建て)
ファンド筋のネットポジションと終値の推移
2014/02/18-2015/02/17
1枚=Nikkei index × 5$
■日経平均株価
(左目盛/ドル建て)
株
高
150
枚
買
15,000
い
越
し
10,000
5,000
140
0
株
安
130
02/18
05/20
08/19
11/18
-5,000
02/17
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売
り
越
し