Sulfobenzylpenicillin 伊 藤 の 効 果 に お よ ぼす 抗 血 清 の 影 響 昌 子 ・本 間 遜 東京大学 医科学研究所細菌研究部 緑膿 菌 の感 染 防 禦 に内 毒 素 お よ びそ の抗 血 清 が 非 常 に 有 効 で あ る こ と は,私 る1)∼5)。 一般 に化 学 療 法 の効 果 は最 終 的 には 宿 主側 の さ ま ざ ま な因子,殊 結 共 を 初 め と して 数 々 の報 告 が あ に免 疫 に 強 く依存 して い る こ とは 明 ら 始 め にSB-PCに 果 中 等 度耐 性 の株,P1-III株 抗 血 清 とSB-PCの か で あ るが,従 来 は抗 生 剤 の細 菌 に対 す る著 しい 直接 作 は抗 血 清7型 を10凝 集 素 価投 与群,1凝 用 のみ 注 目 され て,生 体 側 の 防 禦機 構 が決 定 的 に重 要 な 0.1凝 集 素 価 投 与群,0.01凝 因子 で あ る こ とが,と もす れ ば 忘 れ られ勝 ちで あ つ た。 生 理 食 塩 水投 与 群 に 分 け た。SB- この こ とは 白血 病 や悪 性 腫 瘍 の末 期 にみ られ る緑膿 菌 敗 群,5mg投 血 症,免 疫 機 構 不 全 の小 児 の緑 膿 菌 敗 血症 に化 学療 法 が 量 と して はPl一III株 の生 菌106個 を用 い た 。 全 く無 力 で あ る こ とで も明 らか で あ る。 そ こで 今 回 は化 抗 血 清 を それ ぞ れ 皮 下 注 射 し,7時 か に つ い て調 べ,生 体 の防 禦 機 構 が重 要 で あ る こ との一 PC単 端 を伺 うこ とに した。 従 つ て使 用 菌株 と して は化 学療 法 ウス の 感染 防禦 に要 す るSB-PC量 い た。 一 方,抗 生剤 と して は 最近 緑 膿 菌 に効 力 が あ る と され て い る合 成 ペ ニ シ リンsulfobenzylpenicillinを 用 いた 。 は25 mg投 与 間 後 に 生菌 を腹 腔 皮下 に注 射 した。 な おSB- 独1回 注 射 の 場 合 は,P1-III株106個 上 記 のSB-PCを25mg, 図1 SB-PCの 感 染 あ つ た。 投 与 した結果 は 図 投 与 しな い 群 の5匹 効 果 に及 ぼす抗 血清 の影 響 抗 血 清 の投 与: 感 染7時 間 前 染 の菌接種でマ は75mgで 5mgを 1に 示 した。 抗 血 清 もSB-PCも 感 材 料 お よ び 方 法 PC量 与 群,生 理 食 塩 水投 与 群 に 分 け た。 接 種 菌 接 種 し,同 時 にSB-PCを 膿 菌 は比 較 的 感 受性,中 等 度 耐性,高 度 耐 性 の3株 を用 集 素 価投 与 群, 集 素価 投 与 群,対 照 と して 学 療 法剤 の効 果 に抗 血清 が どの程 度影 響 を及 ぼ して い る 剤 に 自然 耐 性 で あ る緑 膿 菌 を特 に 用 い た次 第 であ る。 緑 を用 い, 併 用 効 果 の 有無 を調 べ た 。 抗血 清 量 皮下注射 株 :P1-III株 菌 数: 6×106 感 染 に使 用 した菌 株: Psendemonas aemginosa N- 18株 (血清 型3, 25 mcg/ml),P1-III株(血 C-5株(血 培 地37℃,18時 し,5% 0.5m1腹 清 型7,MIC 清 型5,MIC>100 50 mcg/ml), mcg/ml)を 間 培 養 した もの をPBSで mucinに1/10容 MIC 用 い 普通 寒 天 菌浮遊液 と の割 で 混 ぜ,マ ウス1匹 当 り 腔 に 接 種 した。 菌接 種後1週 間観 察 の 生 死 を もつ て判 定 した。 使 用 抗 血清: 緑 膿 菌 加 熱死 菌 を ウサ ギ に 免疫 して,凝 集 素価 が400 倍 以上 に上 昇 した もの を 採血 した。 これ を 吸 収 し型 特 異 血清 と した もの で あ る。 マ ウ ス1匹 に0.1 ml注 射 し, 凝 集素 価 で 抗 体 価 を示 した 。緑 膿 菌 接 種 の6∼8時 間あ るい は1日 前 に1回 皮 下 注 射 した。 化学 療 法 剤: Sulfebenzylpenicillin(SB- PC)を 用 い,生 理 食 塩 水 に溶 か し,緑 膿 菌 接種 と同 時 に マ ウ ス1匹 当 り0.1 ml1 中生 残 数0に 回 皮 下注 射 した 。 の単 独 投 与 で は効 果 がな い 量 で も,両 者 を 併 用 す れ ば効 れ ぞれ 果 が み られ た 。 使 用 マ ウ ス: ddY/静 岡,No. 対 して,抗 血 清 お よ びSB-PCそ 10, 9, 4∼6週 令 を用 い た。 次 に抗 血 清 投 与時 間 を菌 接 種 の18時 間前 に した 。抗 血 CHEMOTHERAPY 864 清7型 投 与約18時 にSB-PCを 間 後 にP1-III株106個 を 接 種 し,同 時 投 与 した。 そ の 結果 は 図2-1, した。 抗 血 清 お よびSB-PC単 2-2に 示 独 投 与 よ り,や は り両者 を併 用 したほ うが効 果 が 著 しか つ た 。 NOV. 次 に は使 用 菌 株 を 加 え,緑 膿 菌 と して は,SB-PCに 比 較 的 感 受性 の あ るN-18株(血 PCと SB- PC の効 果 に及 ぼす 抗 血清 の影 響 清型3)を 抗 血 清3型 投 与18時 間後 にN-18株106個 N-18株 はSB-PCに 場 合 と等 量 の抗 血 清 投 与 に対 して,よ 投与で併用効果を得た。 感 染 菌 P1-III株 数: 3×106 図3 SB- PCの 感 図2-2 SB-PC の効 果 に及 ぼす抗 血清 の影 響 抗 血清 の投 与: 感 染18時 間 前,皮 下注 射 感 感 染 染 株: 菌 数: P1-III株 4.5×106 染 染 図4 菌 株: N- 18株 数: 6×IO6 SB- PCの 感 染 染 菌 間 前,皮 下注 射 効 果 に及 ぼ す抗 血 清 の影 響 抗 血 清 の投 与: 感 染18時 感 り少 量 のSB- 効 果 に及 ぼ す抗 血 清 の影 響 抗 血 清 の投 与:感 染18時 感 示 した。 比 較 的 感受 性 な た め,P1一III株 の 感 株: を 接種 し,同 投 与 した 。 そ の結 果 は 図3に 抗 血清 の投 与: 感 染18時 間 前,皮 下 注射 染 用 い てSB- 抗 血 清 の併 用効 果 を調 べ た 。 時 にSB-PCを 図2-1 1971 株: C- 5株 数: 1×102 間前,皮 下注 射 PC VOL. 19 NO. 更 にSB-PCに CHEMOTHERAPY 8 耐 性 株C-5(血 清 型5)を れ が抗 生 剤 の 効果 に どの程 度 影 響 を 及 ぼ して い るか に つ 用 い て,前 い て の 実 験 は ない 。 今回 はSB-PCを 記 同 様 の 実験 を 試 み た。 抗5型 血 清 投 与18時 投 与 した 。C-5株 865 MICが25 間後 に 菌 接 種 お よ びSB-PCを 50mcg/ml, 用 い,緑 >100 膿菌 は mcg/mlの3種 の 株 を 用 い た。 マ ウス の 皮 下 に抗 血 清 の 一定 量 を注 射 し, は菌 力 が 強 い ので102個 接 種 した 。結 果 は図4に 示 した。 この場 合102個 の 菌 接 種 で,SB- mcg/ml, 1日 後 或 は6時 間 後 に 生菌 を5% PC mucinに 量 は,は るか に 多量 投 与 を 必要 と した。 これ はC-5株 に 注 射 した。 その 直 後 にSB-PCを1回 が 耐性 で あ る こと に よ る と思 わ れ る。 しか し抗 血 清 は わ た。 そ の 結 果SB-PC単 まぜ て 腹腔 内 皮下 に 注 射 し 独 投 与 で も,抗 血 清 単 独 投与 で ず か1凝 集 素 価 の投 与 で 著 しい感 染 防 御 効果 を示 した。 も感 染 死 を 防 げ な い量 で も,両 者 を 同時 に投 与 す る こと 従 つ て抗 血 清 とSB-PCの に よつ て,著 併 用 効果 は前2者 ほ ど著 し く しい感 染 防 御 効果 を あ げ る こ とを 証 明 す る こと がで きた 。 この こ とか ら試 験 管 内で 耐 性 とい わ れ て は な かつ た が,そ の併 用 効 果 は認 め られ た 。 い る株 で も宿主 側 の特 異 抗 体 の微 量 の 存在 に よつ て 抗 生 考 察 今 回 の実験 でSB-PCの 剤 の効 果 が 現 わ れ るこ と が予 測 され る。 C-5株 投 与 を1回 に限 つ た が,山 崎, 土 屋6)等 の 感染 防 御 実 験 結果 に よれ ば,SB-PCの は小 林 富 二男 博士(興 和 株 式 会社 東 京 研 究所) よ り分 与 され た もの で茲 に厚 く謝 意 を表 す る。 体外 排 泄 を考 慮 し,投 与 回 数 を3回 にす れ ばそ の 量 は4分 の 文 1に な るこ とが 示 され てい る。 従 つ て私 共 のSB-PCの 1) 細 谷 省 吾,本 使 用 量 も3回 に わ けて 投 与 す 2) HOSOYA, S. る。. P1-III株,N- 18株 の菌 力 はC- 弱 い 。 また 前2者 に くらべ てC- 1947 Y. HOMMA, F. EGAMI & Y. YAGI On the isolation of antigenic 5株 は 著 し く耐 性 で あ ces from Pseudomonas aeruginosa. る。 前2株 の場 合106個 の菌 を 用 い た が この 菌 量 で は 抗 と はむ ず か しか つ た。 しか しC-5株 3) Exp. Med. 20 : 55-68, 本 間 遜: 臨 床23: の 場 合102個 を 用 い 2408∼2416, fection 抗 血 清 の 併 用 効 果 が 著 しかつ たが Lab. の場 合 は前 者 ほ ど著 明 で な かつ た 。 これ はC-5 5) 株 が 高 度耐 性 の た め か も しれ な い。 本 間 19: 論 6) J. 1949 1965 R. C. : Pseudomonas and its effects Annimal Care 遜: aeruginosa in non-radiation 13 : 11-49, instress. 1961 緑 膿 菌 に 関 す る 最 近 の 知 見。 総 合 臨 床 2338∼2347, 山 崎 俊 幸,土 1970 屋 院 司: 半 合 成 ペ ニ シ リ ンSB- PCの 実 験 的 マ ウ ス 感 染 症 に 対 す る治 療 効 果 に つ い て 。(私 緑膿 菌 の感 染 防御 に抗 血清 が有 効 で あ る こ とは 私共 お よ び他 の 多 くの 人 々に よつ て 報 告 され て い る。 しか しこ 信) EFFECT ON THE OF substanJapan. 緑 膿 菌 々 体 成 分 と 感 染 と の 諸 問 題 。日 本 4) MILLICAN, た が,こ の 場合1凝 集 素 価 で 感染 防 御 が 成 立 した。 前2 結 喬 義: 緑膿 菌抗 原 の 研 5株 に く らべ て著 し く 血 清10凝 集 素 価 以上 で な い とマ ウ スを 感 染死 か ら防 ぐこ 者 の場 合SB-PCと 遜,林 究 。 基 礎 と臨 床 1:52∼58, る こと に よつ て著 し く少 な くな る こ と は容易 に推 測 で き C-5株 間 献 ANTISERUM ACTION OF SULFOBENZYLPENICILLIN MASAKO ITO and Department of Bacteriology, It is known that antiserum The Institute is effective YUZURU HOMMA of Medical Science, for prevention The University of Pseudomonas infection. of Tokyo Studies have been done on the effect of antiserum on the antibacterial activity of SB-PC using 3 strains of Pseudomonas aeruginosa against which MIC of SB-PC was 25, 50 and over 100 mcg/ml, respectively. Mice received antiserum subcutaneously and were challenged intraperitoneally with the live or- CHEMOTHERAPY 866 ganism ately suspended after the A significant in at such dicates a possibility amount doses was effect was as do not that one day SB-PC antiinfectious SB-PC if a trace 5 % mucin challenge, prevent or 6 hours given to the evidenced the death the antibiotic might of specific antibody is present NOV. after mice by the the in the in host. of antiserum. subcutaneous concomitant due to the be effective administration by the administration infection vivo route in each against 1971 Immedi- in a single of antiserum single strains use. resistant This in dose. and invitro
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