胎内市立きのと小学校の取組(PDF形式 275 キロバイト)

胎内市立きのと小学校の取組
学び合いを重視した「教え、考えさせる授業」
2「学び合い」をうむ授業の進め方
きのと小学校では、活用力と学習意欲
学び合いには、決まったルールやマニュア
を高めるために、日々の授業改善に全校
ル化できるような授業スタイルはないと考
体制で取り組んでいます。今年度から、
え、定義の姿が見られる授業づくりを目指し
昨年度までの「教え、考えさせる授業」
た。形式は重要ではないが、これまでの授業
をベースにして、算数科を中心に学び合
研究とのつながりを考え、基本形を次のとお
いを重視した授業スタイルの確立と共
りとし、取り組みやすい内容やテストの分析
有化を目指しています。
で課題が見られた内容から取り組むことに
した。
1
きのと小学校の考える「学び合い」
きのと小学校では、学び合いのイメージを
流れ
1 めあての提示
教師の役割
教師の提示だけでな
共有するために、研究推進委員会で話し合っ
く、なるべく子どもと
た。その内容を「研進だより」で全体に示し
やりとりしながら。
て協議し、「学び合いの定義」を次のように
とらえ、共通理解した。
2 課題①提示
教える
アで相談させたりしな
がら取り組ませる。
意見を言っているだけでは学び合いでない
人以外の教材とのかかわりも学び合いと
児童に説明したりペ
3 課題②提示
類題などで、課題①
いう考え方もあるようだが、相手がいること
(類題)
で身に付けさせようと
とする。ただし、ペアやグループにして、話
理解確認
した、活用の前提とな
をさせるだけでは学び合いではない。
る知識・技能が身に付
相手を意識することが大切
いたか確認する。
自分がわかったことを相手に伝えようと
表現するとき、なんとなく理解したことを言
4 課題③提示
理解深化
課題は、学習指導改
善調査、全国学力・学
葉で表現したり、分かってもらうための表現
習状況調査B問題の問
を考えたりして、自分に変化が生じる。また、
い方を参考にして工夫
分かりたいと思って、相手の話を聞き、今ま
する。一人一人の分か
で分からなかったことが分かるようになる
る、分からない、アの
ことも学び合いととらえる。
考え、イの考え等を確
認し、学び合いにつな
げる。
<定義>
『分かって欲しい、分かりたい
5 振り返り
感想ではなく「次に
と思って話をしたり、聞いたりして、それ
役立つこと」
「友達から
によって自分に変化が生じていること』
学んだこと」を書くよ
うにさせる。
3
授業の実際から
授業では、「学び合い」の具体的な姿とし
(2)「反対」を視点とした学び合う姿
<単元> 2年国語 お手紙
て、
「賛成・反対・質問」の3つを視点とし
今日のめあて「場所の変化に注目して、
てとらえることにした。
場面わけをしよう」を板書した。そして、
(1)「質問」を視点とした学び合う姿
教科書の場所の言葉に線を引かせた。
<単元>3年算数
T
たし算とひき算の筆算
「百何-2位数で繰り下がりが2桁に及
どこで場所が変わって、2場面になり
ましたか。
ぶ筆算」
次の2つの文章で検討になった。
まず、
「175-79」という前時の繰り下が
A「ぼく、もう家へ帰らなくっちゃ、がま
り2回の問題を復習する。次に、本時の課
くん、しなくちゃいけないことがあるん
題である「103-67」を提示する。
だ。」
T 前の問題とどこが違いますか。
B「かえるくんは、大いそぎで家に帰りま
C 一の位が引けないけど、十の位が0で
繰り下げられない。
T
今日のめあては、「十の位から繰り下
大多数の子どもはAだと言っている。Bだ
と考えたのは二人だった。その子どもが、
げられない筆算をできるようになろう」
C Aは本当のことじゃない。(反対)
です。
と発言した。すると、
C1 一の位と十の位が引けないので、百の
C1
わかった。そっかあ。
位から繰り下げて、十の位に 10 繰り下
という声があちこちであがった。発言を促
げて、10 を9にします。
すと、3、4人の児童が
C なんで、10 を9にするの。
T
した。」
C2
10 を9にするところが分からないん
Aは帰らなくっちゃと言ってるだけ
だね。
C1 一の位も引けないから、十の位から繰
り下げるから。
C ああー、なるほど。
で、本当に帰ってない。
C3
帰りましたで、本当に帰ったんだ。
と説明した。その結果、場所が変わって、
2場面になったのは、Bからだと全員が納
得することができた。
というように、
「なんで」
(質問)があった
ことで、C1 は説明を詳しくし、学習内容
がある程度みんなに伝わることができた。
4 授業改善で共通理解していること
学び合いを重視した「教え、考えさせる」
授業改善に向け、授業の各場面で次の2点も
共通理解して取り組んでいる。
○
授業の進め方1~3の場面では
活用の前提となる知識・技能を重点化し
教師の説明をスピーディに終わらせる。
○
授業の進め方4の場面では
児童が話し合いたくなるような、活用を
促す課題を提示する。