急激なグローバル化の流れの中で 星 城 高 等 学 校 教頭 石 部 生 志 社会の多様な場面で急速にグローバル化が進むなかで、社会課題に対する関心と問題解 決力、コミュニケーション能力と国際的教養を身につけ、将来、国際的に活躍できるグロ ーバルリーダーを高等学校段階から育成する。そんな目的のもと、今までの学校教育の中 では実現し得なかったさまざまな教育改革が促進されようとしています。 政府主導のもと次のような報告・提言が出されています。 教育再生実行本部 第 1 次報告 グローバル人材育成のための3本の矢 ①英語教育の抜本改革(大学入試でTOEFL等) ②イノベーションを生む理数教育 ③国家戦略としてのICT教育(1人1台タブレットを2010年代中に) 第2次提言 平成の学制改革 大学入試の抜本改革 ①幼児教育無償化 ②6-3-3-4制の弾力化、学制複線化 ③高校学力テストの導入 ④国際バカロレア促進 ⑤秋入学・ギャップタームの促進 教育再生実行会議 第3次提言 これからの大学教育のあり方について ①トップ大学への集中投資 ②大学入試でTOEFL等活用 ③小学校英語教科化 ④スーパーグローバルハイスクールの整備 ⑤国際バカロレア認定校整備 第4次提言 高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜のあり方について ①高校「達成度テスト」(基礎レベル/発展レベル)の創設。複数回受験可 91 ②個別学力試験の脱学力偏重 ③資格試験の入試活用 英語の学力が高いだけではなく、高い語学力をもって他の国々の人たちと討論できるこ と、グローバルな社会課題やビジネス課題を設定し、探究活動の中で解決を図っていくと いう能力を身につけること。今後、高等学校の教育に求められることは非常に高度になっ ていきます。 社会環境も変化し、パソコンや携帯端末が急速に普及しました。教材・教具でもデジタ ル教科書や電子黒板、タブレット端末も安価で供給されるようになってきました。それら を十分に使いこなすことで、授業も理解しやすくなってきます。また、知りたい情報を瞬 時にしかも大量に手に入れることが可能になりました。その結果、知識獲得に力を注ぐこ とよりも、多くの情報を整理し、それを活用し発信することの必要性が高まったといえま す。 大学入試も数年後には大きく変化していこうとしています。英語を活用する力や五教科 すべてを活用する力を重視するなど、その変化に対応することが重要になってきます。 本学園の中等教育研究部は設立から7年目を迎えました。延べ12名の教員が自らの授 業改革をしようという強い意欲をもって研究活動を実施してきました。最初の4年間は、 深谷顧問とアラニ部長、次の3年間は深谷顧問と坂本部長のもとで授業研究が真剣に進め られました。この7年間を通じて、積極的に取り組んできた研究実践は、「学び合い」で す。生徒がペアやグループでの学び合いを通じて、互いに意見を交わし自分の気づかない ことに出会って考えを発展させたり、より効率的なコミュニケーション能力やプレゼンテ ーション能力を身に付けたりすることができるような方途を追い求めてきました。その結 果、我々が取り組んできた「学び合い」は今後の教育改革に通じていく内容であったと自 負しています。また、昨年度はICTの活用にも取り組み、この分野も今後に結びついて いくと思われます。 残念ながら、今年3月をもって、中等教育研究部は幕を下ろします。名称やスタイルを 変えて授業改革だけではなく、もっと広い範囲で研究するという新しい形で来年からスタ ートする予定です。冒頭に挙げた政府の教育改革に対応するためには取り組むべき課題は 数多くありますが、困難を乗り越え、さらに発展することを願ってやみません。 92
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