解答例

経済数学 (12/15) の略解
今日の授業では, 二変数関数のグラフの描き方, 平面の方程式, 接平面の方程式に
ついて学習しました. 二変数関数 f (x, y) に対し,
1. 平面 y = b 上に z = f (x, b) を描くこと,
2. 平面 x = a 上に z = f (a, y) を描くこと
をたくさんの a, b に対し行うことで, z = f (x, y) のグラフの概形を三次元空間内に描
くことができました. なお, 授業中も言ったとおり, 二変数関数のグラフを描くこと
は, 一変数関数のグラフを描くよりも遥かに大変です. 二変数関数のグラフの描き方
の原理を理解し, グラフの読み方を理解すれば十分です.1
後半では平面の方程式について学習しました. 一般的には,
αx + βy + γz = δ
(但し α, β, γ, δ は実数で, (α, β, γ) ̸= (0, 0, 0)) が平面を表す方程式でした. また, 点
(a, b, f (a, b)) における y = f (x, y) の接平面の方程式は,
z = fx (a, b)(x − a) + fy (a, b)(y − b) + f (a, b)
(1)
で与えられることを学習しました. 授業では, y = b に制限したときの x = a 近くで
の f (x, y) の増加の仕方, および, x = a に制限したときの y = b 近くでの f (x, y) の増
加の仕方に注目して接平面の方程式 (1) を導出しました.
本質的に同じことをやっているのですが, 少し説明の仕方を変えてみます. まず,
次の二つに注意しましょう.
1. z = f (x, y) を平面 y = b で切ったとき, 切り口である z = f (x, b) の点 (x, z) =
(a, f (a, b)) における接線は,
z = fx (a, b)(x − a) + f (a, b)
(2)
で与えられる. これが分からない人は, g(x) = f (x, b) とおくとき,
g(a + h) − g(a)
f (a + h, b) − f (a, b)
= lim
= fx (a, b)
h→0
h→0
h
h
g ′ (a) = lim
に注意し, z = g(x) の (x, z) = (a, g(a)) における接線を求めることを考えよ.
1
ただ, 上手く描けなくてもいいので, 適当な二変数関数のグラフを描く努力をしてみると, グラフ
の読み方を理解できる助けになると思います.
1
2. z = f (x, y) を平面 x = a で切ったとき, 切り口である z = f (a, y) の点 (y, z) =
(b, f (a, b)) における接線は,
z = fy (a, b)(y − b) + f (a, b)
(3)
で与えられる.
z = f (x, y) の (a, b, f (a, b)) における接平面は, 平面 y = b 内の直線 (2) と, 平面 x = a
内の直線 (3) を含まなくてはなりません. それは方程式 (1) で与えられます.
一変数関数 g(x) に対し, グラフ y = g(x) の点 (a, g(a)) における接線の方程式は,
y = g ′ (a)(x − a) + g(a)
(4)
で与えられました. 式 (1) と式 (4) を比較すると, 接線の方程式と接平面の方程式は
大体同じものであることが理解できると思います.
問題 8.1 は接平面の方程式を求める問題です. 接平面の方程式 (1) を覚えておけば,
容易に回答することができます.
問題 8.1 の解答. (1) fx (x, y) = 2x, fy (x, y) = 2y だから,
fx (1, −1) = 2,
fy (1, −2) = −2,
f (1, −1) = 2.
故に, 求める接平面の方程式は, z = 2(x − 1) − 2(y + 1) + 2 である.
(2) fx (x, y) = 3x2 , fy (x, y) = −2y だから,
fx (2, 3) = 12,
fy (2, 3) = −4,
f (2, 3) = 0.
よって, 求める接平面の方程式は, z = 12(x − 2) − 4(y − 3) である.
(3) f (x, y) = xy −1 だから, fx (x, y) = y −1 , fy (x, y) = −xy −2 である. よって,
fx (1, 1) = 1,
fy (1, 1) = −1,
f (1, 1) = 1.
故に, 求める接平面の方程式は, z = (x − 1) − (y − 1) + 1 である.
(4) fx (x, y) を計算する. t = x2 + y 2 とおいて合成関数の微分公式を用いると,
fx (x, y) =
∂ 2
2x
1
×
(x + y 2 ) = 2
.
t ∂x
x + y2
2
同様にして,
fy (x, y) =
x2
2y
.
+ y2
故に,
2×1
= 1, fy (x, y) = 1, f (1, 1) = log 2.
12 + 12
よって, 求める接平面の方程式は, z = (x − 1) + (y − 1) + log 2 である.
fx (1, 1) =
接平面については余り図をお見せしませんでした. 接平面に関する追加問題とそれ
の解答, その作図例を下記に記しておきます.
追加問題. z = x2 − xy − y 2 の点 (1, 1, −1) における接平面の方程式を求めよ.
解答例. f (x, y) = x2 −xy −y 2 とおく. このとき, fx (x, y) = 2x−y, fy (x, y) = −x−2y
であるから,
fy (1, 1) = −3,
fx (1, 1) = 1,
f (1, 1) = −1
である. 故に, 求める接平面の方程式は, z = (x − 1) − 3(y − 1) − 1 である.
z = x2 − xy − y 2 (実線) と接平面 z = (x − 1) − 3(y − 1) − 1(破線) を描いたのが下
図になります. 少々見づらいかもしれませんが, 接平面を理解する助けになれば幸い
です.
z
4
3
2
1
0
-1
-2
-3
-4
-5
0
2
1.5
0.5
1
1
x
0.5
1.5
2 0
3
y