線型解析リファレンス7 (情報科学1回生用)
12.固有値
2014 年版 (:::::::::::
K=Cとする)
全体の倍率(行列式)から個々の倍率へ
M ∈ Mn , x(̸= 0) ∈ V n , ∃α ∈ C, ; M x = αx のとき、α を M の固有値 eigenvalue (proper value), x を M
の α に対する 固有ベクトル eigenvector という。M の固有値全体をスペクトル spectrum といい、 σ(M ) と
かく。E(M, α) ≡ {x|M x = αx} は、部分空間となり, α の固有空間 eigenspace と呼ばれる。
定理 12.1. σ(M − α1n ) = σ(M ) − α ≡ { λ − α | λ ∈ σ(M ) }. σ(T −1 M T ) = σ(M ).
定理 12.2. σ(M ) = { α | 固有方程式:det(M − α1n ) = 0 } . 固有値は、重複度を含めて n 個。
定理 12.3.
{
エルミット
ユニタリ
}
{
行列の固有値は
実数
絶対値 1
}
. 異固有値の固有ベクトルは、線型独立.
定理 12.4. ∀M について ∃ ユニタリ U ; M のユニタリ変換 U ∗ M U : 三角行列.
系. 固有値の重複を許して、det M =
∏
λi . べき零行列 (resp. エルミット行列) は、
λi ∈σ(M )
対角成分 0 (resp. 実数)の三角 (resp. 対角) 行列にユニタリで変換できる。
Cayley-Hamilton の定理. M の固有多項式 P (x) = det(M − x1n ) に対し、P (M ) = 0.
'
Jordan 分解定理. ∀M について、∃ 正則 S : S −1 M S が Jordan 標準型:




J(α1 , k1 )
αj 1


..


 Jordan 細胞 
.
特に、固有値が
 0 αj 1





J(α
,
k
)
=
j
j


.. ..


J(αj , kj )
.
すべて異なる場合には、


.
.






..



αj 1  S −1 M S は対角にできる
.


(kj 次行列)
αj
J(αm , km )
(αj は固有値)
&
13.スペクトル分解
spectral decomposition
$
%
1 次元からの再構成
∃ ユニタリ U ; U ∗ M U : 対角行列 なら対角化可能という。 M : 正規行列 normal matrix ⇌ M M ∗ = M ∗ M
定理
13.1.
M :正規 ⇔ デカルト分解 M = A + iB において, A と B が可換 ⇔ M :対角化可能.
正規行列の異固有値の固有ベクトルは直交する。
∑
∑
正規 M の スペクトル分解. ∃Ei ;射影 , Ei Ej = 0, Ei = 1, M = αi Ei (αi ∈ σ(M ))
単位の分解
∏
∑
α ̸=α (M − αj )
特に、f :連続関数のとき、 f (M ) =
f (αi )Ei . スペクトル射影は、Ei = ∏ i j
.
αi ̸=αj (αi − αj )
functional calculus
rank Ei ≡ 1 のとき、既約スペクトル分解 といおう(このとき、射影 Ei の固有値 1 の単位固有ベクトル xi に
ついて Ei = xi ⊗ xi とかける)。これは常に可能だが分解は一意的ではない。
主軸問題. 既約スペクトル分解においては、Ei = xi ⊗ xi (xi は固有値 αi に対する単位固有ベクトル)で、Ei y ̸= 0
∑
Ei y
について xi は
の単位スカラー倍. {xi } は CONS で、U = i xi ⊗ ei に対し、U ∗ M U で対角化.
∥Ei y∥
Courant-Fisher のミニマックス定理. A = A∗ ∈ Mn , σ(A) = {λi ↓} のとき
λk = max min
Vk
x∈V k
x̸=0
⟨Ax, x⟩
= min
⟨x, x⟩
V n−k+1
max
x∈V n−k+1
x̸=0
⟨Ax, x⟩
. (V k : k 次元部分空間)
⟨x, x⟩
Sylvester 判定法. :A = A∗ について、A > 0(正定値) ⇐⇒ det Ak > 0 (∀k ≤ n)
また、A < 0 ⇐⇒ (−1)k det Ak > 0 (∀k ≤ n) 主小行列 principal minor Ak =

a11
 ..
 .
ak1
···
..
.

a1k
.. 
. 
· · · akk