0.1. Fibonacci 数列と黄金比 Fibonacci 数列とは Fn+2 = Fn+1 + Fn となるような数列のことで、黄金比との関わりが深い数列である。 ここで、黄金比というのは ϕ = √ 1+ 5 2 であり、これは a : b = b : (a + b) となるような比のことである。 b2 = a2 + ab b2 − ab − a2 = 0 両辺を b2 で割って、 ( )2 ( ) b b + −1=0 a a となる。 ここで、 ab = ϕ とおくと、ϕ2 − ϕ − 1 = 0 となり、方程式の正の解が √ 1+ 5 2 となる。 Fibonacci 数列の隣接する項の比は黄金比に収束することが知られている。つまり limn→∞ Fn+1 Fn = ϕ となるわけ である。 まず、limn→∞ Fn+1 Fn = x となるとしよう。 Fn+1 n→∞ Fn lim Fn + Fn−1 n→∞ Fn 1 = 1+ x = lim となり、一番上の左辺と最後の右辺が等しいので、x = 1 + 1 x を得る。この方程式を解くことにより、x = ϕ であ ることが導かれる。 次に数列 Fn の一般項を求めてみよう。最初に述べた漸化式を線形写像として考えると、 ( ) ( )( ) Fn+1 1 1 Fn = Fn 1 0 Fn−1 これを繰り返していくと、 ( Fn+1 Fn ) z( n }| ) ( 1 1 1 1 1 = ··· 1 0 1 0 1 ( )n ( ) 1 1 F1 = 1 0 F0 )( 1 0 ){ ( F1 F0 ) ( ) 1 1 となる。A = としよう。An の成分を求めることができれば一般項を求めることができる。まずはこの 1 0 行列を対角化しよう。 この行列の固有値は、det(A − λI) = 0 を解くことにより、 √ √ 1+ 5 1− 5 λ= , 2 2 √ 1+ 5 2 ,β √ = 1−2 5 としておく。α, β を用いて A の固有ベクトルを考えよう。 固有ベクトルとは、Ax = λx となるベクトル ( x のことである。 ) 1 固有値が α のとき、固有ベクトルのひとつは であり、 −β ( ) 1 固有値が β のとき、固有ベクトルのひとつは である。 −α ( ) ( ) 1 1 α 0 −1 これらをひとつにまとめた行列を P = とする。これらより、A は対角化でき、P AP = −β −α 0 β となる。α = 1 n となる。これを n 乗すると (P −1 z }| { AP ) = P −1 AP P −1 A · · · AP P −1 AP P −1 AP = P −1 An P = n ( αn 0 0 βn ) とな る。 −1 n −1 P −1 An P に ( P を左乗して、 ) P を右乗すると、A が求まる。まずは P を求めよう。det(A) = β − α だから、 −α −1 1 となる。 P −1 = β−α β 1 = P (P −1 An P )P −1 ( )( )( ) 1 1 αn 0 −α −1 1 = β−α −β −α 0 βn β 1 ) ( )( 1 1 −αn+1 −αn 1 = β−α −β −α β n+1 β n ( ) −αn+1 + β n+1 −αn + β n 1 = β−α βαn+1 − αβ n+1 βαn+1 − αβ n An これより、 ( Fn+1 Fn ) ( となるから、 Fn = = 1 1 = 1 β−α 1 0 ( )n ( F1 F0 ) −αn+1 + β n+1 −αn + β n βαn+1 − αβ n+1 βαn − αβ n )( F1 ) F0 } 1 { (βαn+1 − αβ n+1 )F1 + (βαn − αβ n )F0 β−α √ また、β − α = − 5, αβ = −1 であるので、 } 1 { Fn = √ (αn − β n )F1 + (αn−1 − β n−1 )F0 5 と表せる。尚、一般的なフィボナッチ数列は F0 = 0, F1 = 1 であり、α = ϕ であることに加え、β = 1 − ϕ = ϕˆ と おくことにより Fn は 1 Fn = √ (ϕn − ϕˆn ) 5 という、黄金比を用いた一般項が導かれた。 2
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