数ベクトル行列の群 - 理論物理学特論 - 龍谷大学

龍谷大学 > 理工学部 > 数理情報学科 > 樋口 > 担当科目 > 2006 年 > 理論物理学特論 aka 群論☆演習 I
目次 前回 次回 今回の解答
理論物理学特論 aka 群論☆演習 I
樋口さぶろお1
配布: 2005/05/01 Mon 更新: Time-stamp: ”2006/05/01 Mon 13:01 hig”
略解 – 群の定義
2
1. 巡回群 Z3 タイプ 1 通り
◦
e
a
b
e a b
e a b
a b e
b e a
2. 2 タイプ 4 通り
クラインの 4 元群 Z2 × Z2 タイプ 1 通り.
◦
e
a
b
c
e a b c
e
a
b
c
a
e
c
b
b
c
e
a
c
b
a
e
巡回群 Z4 タイプ 3 通り. これらは互いに群同型.
◦
e
a
b
c
e a b c
e
a
b
c
a
e
c
b
b
c
a
e
c
b ,
e
a
◦
e
a
b
c
e a b c
e
a
b
c
a
b
c
e
b
c
e
a
c
e ,
a
b
◦
e
a
b
c
e a b c
e
a
b
c
a
c
e
b
b
e
c
a
c
b .
a
e
3. 群でない. 実対称行列どうしの積は実対称行列とは限らないので (ぐ 0)2 項演算で
あることが成立しない. また, 実対称行列である零行列には逆元がないので (ぐ 3)
逆元の存在が成立しないことからいってもよい.
4. 群である.
(ぐ 0) 実対称行列 S, T の和 S + T はまた実対称行列なので, 加法は 2 項演算に
なっている.
(ぐ 1) 行列の加法に対して, (S + T ) + U = S + (T + U ) は成立し, 結合的である.
1
Copyright c 2005,2006 Saburo HIGUCHI. All rights reserved.
, http://hig3.net(講義のページもここからたどれます), へや:1 号館 5
階 502.
(ぐ 2) 実対称行列である零行列 O は, 任意の実対称行列 S に対し S +O = O +S =
S を満たすので, 単位元である.
(ぐ 3) 任意の実対称行列 S に対して, −S は, S + (−S) = (−S) + S = O を満た
すので, S の逆元である.
5. 行列式が 1 の n × n 複素行列全体を SL(n, C) と書く. これは行列の乗法に関して
群になっている.
(ぐ 0) A, B ∈ SL(n, C) とすると, det A = det B = 1. 一方, det(AB) = det A det B =
1 より, AB ∈ SL(n, C)
(ぐ 1) 行列の乗法なので結合則を満たす.
(ぐ 2) 単位行列 En は En ∈ SL(n, C) であり, A ∈ SL(n, C) に対して AEn =
En A = A を満たす.
(ぐ 3) A ∈ SL(n, C) の逆元は逆行列 A−1 で, AA−1 = A−1 A = En を満た
し, また, A−1 ∈ SL(n, C) である. なぜなら, 1 = det En = det(AA−1 ) =
det(A) det(A−1 ) = det(A−1 ).
6. 群でない. 単位元は零行列であるしかないが, その行列式は 1 でない.
3
quiz – 数の群, ベクトルの群, 行列の群
1. R2=0 = {(x, y)|x, y ∈ R, (x, y) = (0, 0)} の演算 (x1 , y1 )◦(x2 , y2 ) = (x1 x2 −y1 y2 , x1 y2 +
x2 y1 ) を考える. (R2=0 , ◦) が群であることを示そう.
√
2. G = R+ , H = {a + 2b|a, b ∈ Z} ⊂ G とする. H が G の部分群であることを示
そう.
√
√
3. G = R× , H = {a + 2b|a, b ∈ Q, a + 2b = 0} ⊂ G とする. H が G の部分群で
あることを示そう.
4. 2 × 2 実正則行列全体の乗法群を G とする. 部分集合
H=
ex 0
y 1
x, y ∈ R
⊂G
(1)
に対して, H が G の部分群であることを示そう.
講義の Web ページ http://www.math.ryukoku.ac.jp/~hig/theorphys/ です.
また, http://hig3.net/ から簡単にたどっていけます.
目次 前回 次回 今回の解答
2