こちら - Oka Lab, the University of Tokyo

数学 1D レポート課題 2
2014 11/10 (岡担当)
提出期限:11/17(月)授業中
記号:∂x は実変数 x についての常微分を表すものとする。実数体を R、複素数体を C とおき、
式中に出てくる未定義記号は特に指定のない限り C の一般の元とする。ただし、関数の引数は
全て R の元であるとせよ。
0.復習:Jordan 標準形
任意の 2 次行列 A はある正則行列 P を使って
[
]
α γ
P −1 AP =
0 β
の形にかける。ただし、α と β は A の固有値、γ = 0 または 1。一般に、α ̸= β の時は γ = 0 に
取れる(なぜか考えてみよ)。これを行列 A の Jordan 標準形 J という。α = β のように固有値
が「縮退」していて、かつ 2 つの独立な固有ベクトルが取れないときは γ = 1 としないといけ
ない。最も簡単に Jordan 標準形を求めるには、AP = P J とおいて P の縦ベクトルについて解
けば良い 1 。なお、行列のトレースは基底によらないことを使うと第 1 問 (1) は簡単に求まる。
1. 定係数連立線形微分方程式
ϕ : t 7→ ϕ(t) ∈ C2 とおくとき、次の微分方程式を解け。ただし、(1) では係数行列は少なくと
も 1 つの非ゼロ固有値を持つとせよ。
[
]
a b
(1) ∂t ϕ(t) =
ϕ(t) (ad − bc = 0)
c d
[
(2) ∂t ϕ(t) =
[
(3) ∂t ϕ(t) =
q r
r∗ q
]
5 1
−1 7
ϕ(t) (r = eiθ , θ ∈ R; |q| ̸= 1)
]
ϕ(t)
2. 微分方程式の級数解法(水素原子解)
∑N
N +s
(x ≥ 0) を仮定せよ。s, Nmax >
次の微分方程式を考える。まず、級数解 U (x) = Nmax
=0 CN x
0 は自然数であるとし、x → ∞ と x = 0 で |u(x)| < ∞ を満たす「物理的な」実解を探せ。k は
正の実数とせよ。また、l は自然数、W > 0 は未定の実係数とする。この時、W の値、s, Nmax
の値、および CN /CN −1 (N = 1, 2, 3, ...) の一般形を求めよ。
[
]
√
√
k l(l + 1)
2
− Wx
∂x − 2 W ∂ x + −
U
(x)
=
0;
u(x)
=
U
(x)e
x
x2
1
佐武一郎「線形代数学」(裳華房)