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数学 4 A ノート 11
2015 年 7 月 8 日
Masato Kurihara
重要なことのまとめ
A を m 行 n 列の行列とし、A を表現行列とする線形写像
fA : Rn −→ Rm を考える。
KerfA の基底を求めることは、連立方程式
Ax = 0
の解を求めることに対応している。このためには、行基本変形を行う。
KerfA を Span{∗ ∗ ∗} の形で書くことに慣れておくこと。
ImfA の基底を求めることは、部分空間
Span{a1 , ..., an }
の基底を求めることに対応している。このためには、列基本変形を行う。
1. 171 ページ演習問題 6.2.6 を解け。
A を 2 次、または 3 次の行列とする。
定理. A を n 次行列 (n 行 n 列の行列)、n = 2 または n = 3 とする。こ
のとき、次は同値である。
(1) A は正則である (逆行列を持つ)。
(2) det A ̸= 0
(3) rankA = n
rankA = n のとき、A は行基本変形で単位行列 I に変形できる。また、
行基本変形で逆行列を計算することもできる。行基本変形で、行列式がど
のように動くのかを考えると、このとき det A ̸= 0 であることがわかる。
1
次に、rankA < n のとき、行基本変形で一番下の行をすべて 0 にする
ことができる。したがって、Ax = 0 は x ̸= 0 なる解を持つ。A が逆行
列 A−1 を持つとすると、上の式に左から A−1 をかけて、x = 0 が得られ
るので、これは矛盾である。したがって、A は逆行列を持たない。また、
行基本変形で、行列式がどのように動くのかを考えると、det A = 0 であ
ることもわかる。


a b c


2. 3 次行列 A =  d e f  に対して、次の性質を直接計算すること
g h i
によって確かめよ。
(1) 第 1 行を k 倍して得られる行列を A′ とすると、det A′ = k det A
が成立する。
(2) 第 1 行と第 2 行を入れかえてできる行列を A′ とすると、
det A′ = − det A が成立する。
(3) 第 1 行に第 2 行の k 倍を加えてできる行列を A′ とすると、
det A′ = det A が成立する。
固有値と固有ベクトル
A を 2 次行列とする。A を表現行列とする 1 次変換
fA : R2 −→ R2
を考える。A が固有ベクトル a, b を持ち、Aa = ka, Ab = ℓb であると
する。また、a, b が 1 次独立であるとする。このとき、fA は a 方向に k
倍、b 方向に ℓ 倍する変換である。そこで、R2 の基底として a, b を取り
fA を調べるとわかりやすい。
3. 次の行列の固有値と固有ベクトルを求めよ。
(
(
)
)
1 1
2 1
(1)
(2)
−2 4
1 4
(
)
s + 4 s2 + 5s + 6
(3)
(s は実数)
−1
−s − 1
提出 以上の問題 1,2,3 を解いて、7 月 15 日のこの授業のときに提出すること
(A4 レポート用紙に名前、学籍番号、語学の組 を書いて提出すること)
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