7.行列式 8.逆行列

線型解析リファレンス4 (情報科学1回生用)
7.行列式
2015 年版 行列(線型写像)の「倍率」
Mn : n 次行列(n × n 行列)全体
PMn : n 次置換 (permutation) 行列全体 (∼
= Sn ), (縦横 1 が一つ)
T Mn : n 次互換行列全体.
(互換 transposition:対角成分が丁度2つ 0 の置換行列 P . このとき、tP = P )
(
)
定理 7.1. すべての置換は互換の積に分解され、その個数の偶奇性 parity は一意的.
阿弥陀籤定理
隣接互換のみで分解可能
{
1 (偶置換)even
で決める。
−1 (奇置換) odd
n
∏
行列 M = (aij ) の対角成分の積を π(M ) =
aii とするとき、行列式 determinant は
置換 U の 符号 signature を sgn(U ) =
i=1
det M = |M | =
∑
sgn(U )π(U M ) =
U ∈PMn
∑
sgn(U )π(M U ).
U ∈PMn
(一般に置換行列 U について、π(M U ) = π(U M ) (互換 U から考えよ)) 定理 7.2. det 1n = 1,
det(M N ) = det M det N,
det tM = det M.
A(j, i, α) = 1n + αei ⊗ ej : AM は M の j 行を α 倍して i 行に足した行列.det A = 1 (i ̸= j).
B(i, α) = 1n + (α − 1)ei ⊗ ei : BM は M の i 行を α(̸= 0) 倍したもの. det B = α .
これらと、互換行列
U (detU = −1))による変形を合せて、基本変形 と言う。
( Gaussian
elimination
. 基本変形を使って、三角行列または対角行列に変形して、行列式を
☆ 掃き出し法
ガウス消去法
求める。ただし、:::::::::::::::::::::::::::::::::::
互換で符号が入れ替わることと、B(i, α)::::::::::::::::::::::
では α 倍に変化しているので、注意が必要。
( n
)
∑
定理 7.3. xi ∈ Kn に対し, det
xi ⊗ ei = 0 ⇐⇒ { x1 , ..., xn }:線型従属
i=1
∑n
系. xi ∈ Kn に対し, det(
8.逆行列
i=1
xi ⊗ ei ) ̸= 0 ⇐⇒ { x1 , ..., xn }:基底
線型変換とその逆写像
T ∈ Mn に対し、∃S ∈ Mn ; T S = ST = 1n(単位行列)のとき、S を T の 逆行列 inverse matrix といって
T −1 とかき、逆行列を持つ行列を 正則行列 regular matrix であるという。 ☆ 逆行列の行変形による求め方. 原理は、(M, 1n ) → ∃Vj :基本変形;
(V1 · · · Vk M, V1 · · · Vk ) = (1n , M −1 ).
M = (aij ) ∈ Mn に対して、 M (i, j) : M から i 行 j 列を除いた (n − 1) 次行列とするとき、aij の 余因子
f = (c(aji )) を M の 余因子行列 という。
cofactor を c(aij ) = (−1)i+j det M (i, j) と決め、M
n
t
∑
f
M
(c(a
))
(c(a
))
ji
ij
定理 8.1. j 列余因子展開: det M =
aij c(aij ), M −1 =
=
=
(Cramer 公式).
det
M
det
M
det
M
i=1
☆ 行列式も逆行列も余因子展開で、機械的・再帰的に求められる。
系. M : 正則 ⇐⇒ det M ̸= 0.
一般の行列 M について,対応する線型写像 φM の像の次元 dimφM (V ) のことを行列 M の階数 rank といい、
rank M とかく。これは,行列内の線型独立な列 (または行) ベクトルの最大の個数。
定理
8.2.
線型写像 φM : V → W について、dim V = dim ker φM + rank M .
☆ 階数の求め方. どんな基本変形をしても階数は変わらないことを利用して、三角行列になるよう変形し、
対角にできる限り 0 でない成分を集める。その個数が階数!