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政府と同等の〈人間の権理〉について
12SL014
坂本 燎
福澤は学問の目的について「学問に志して、自分の才能や人間性を高め、政府と同等
の地位をのぼるようにしなければならない(p32.l.14)」と述べている。このように福
澤が述べる背景には、”強い政府”が”弱い人民”の権理を妨害しているという現状認識が
ある。ここで言う弱い人民とは、学問がなく、それにもかかわらず欲は深くて人をだま
したりする。自分の責任を果たさずに、子どもを教育する方法も知らない。これでは、
政府と対等に渡り合うことができないのである。だからこそ福澤は学問をすすめている
のである。福澤が勧める学問とは、ただ知識を学ぶことだけを意味するわけではない。
〝人としての権利を持つ国民の姿″までをも学問を通して学ばなければいけないとい
う、強い主張がある。
しかし、「政府と対等の地位にのぼる」ということは容易なことではない。相当に勉
学に励み、知識を持たなければ、対等な会話すらすることができない。しかし、そこま
での知識を持つことができたならば、どのような状況でも対応することができる。
福澤は文字を読むにしても、
「読むだけでなく、物事の道理も知らなければならない」
と述べている。福澤自身もそれを徹底して実践することで、日々学んでいたのである。
だからこそ、今日偉大な存在として名を残しているのだと思う。
では、現代の日本はどうであるか。私たちは果たして政府と対等な関係を築けている
のだろうか。選挙活動を例に挙げてみる。選挙活動を行う議員は、当選したいという一
心で国民の要望を親身になって聞き、固く握手を交わしてくれる光景をよく見る。しか
し当選してしまえば一変して、マニフェストに書いていたことは実行せず、自分の利益
ばかりを考える議員が目についてしまう。この姿勢を変えるためには、このような人以
上の道理を身に着けて、物を申さなければ受け入れてもらえないということになる。
福澤は生涯を通して学問に励み、社会で生きていくうえで常識的な知識を身に着けて
きた。
福澤は塾を開講し、多くの生徒に自身が学んできたことを伝授してきた。それは、一
人でも多くの人が自分と同じようになって欲しいとと望むと同時に、未来を担う若者に
日本をより良く改革してほしいという思いがあったのだと考える。よって、多くの人に
学ぶ重要性を伝えているのではないだろうか。
ここで、現在問題になっている秘密保護法案について考えてみる。この法案は国民の
知る権利、表現の自由を脅かすものである。既にこの法案は可決されたが、多くの国民
が反対の声を上げている。しかし、政府は国民の意見をこの法案に反映させること可決
にいたった。今日の日本は、国民と政府とが対等な関係を築けているとはいえない。政
府の一方的な政治に、国民は振り回されている。過去の歴史を振り返って、本当にこの
法案があってよいのかを考えなければならない。