色も色いろ第32話 碁石の白と黒 膨張色・収縮色の例によく登場する碁石。碁石の径は 7 分 2 厘と決められている。 これは白石の径で、白・黒が同じ大きさに見えるように黒の方がわずかに大きく作 られている。 白石:7 分 2 厘 約 21.9mm、黒石:7 分 3 厘 約 22.2mm それでもまだ白石の方がわずかに大きく見える。 ゲーテは「色彩論」教示編第 2 章眼に対する黒と白の像の関係の中で「暗い対象 は同じ大きさの明るい対象より小さく見える。白い円を黒地の上で、黒い円を白地 の上で少し離れて同時に見つめると、後者を前者より約1/5ほど小さく思うであ ろう。」と述べている。1/5も違って見えるか否かはさておき、白が黒に比べて大 白石に比べ 0.3mm 大きい黒石 きく見えるのは確かなようだ。 だからと云って太った人が黒い服を着るとやせて見えるかというと???。収縮 して見えるかもしれないが、色からくる軽重感では、黒は重く見えるため、重量感 を増して見えるから要注意だ。むしろ縦ラインを強調するスタイリング、配色を用 いるのが効果的だ。 横道にそれたが、碁石は厚みも白石に比べ黒石が1厘厚い。これは進出・後退を 調整しているのだろうか?碁石店でもその辺の事情はわからないとの返答であった。 ネット上でも検索してみたが、厚みには触れられた記述にはヒットしなかった。碁 石の白石は蛤、黒石は那智黒石が使われている。黒石の厚みが少し厚いのは、視覚 効果というより蛤に比べ摩耗しやすい那智黒石の性質を考慮したからかもしれない。 白石の原料、蛤はメキシコに頼っているが、採取量が減り輸入が滞っているとも聞く。 将来は「仏杯」として、こんな対局が見 られるかも・・・ その内碁石は全て強化ガラスに変わってしまうのかもしれない。そうなると白黒に 拘る必要もなく、スタンダールにちなんで赤と黒なんてことも・・・。
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