自立度アップへの取り組みによる介護負担 の軽減 株式

自立度アップへの取り組みによる介護負担
の軽減
下、意欲低下、食欲低下がみられる。
・妻も高齢で膝も悪く介護が大変な状況。
嫁も食事の準備で家を空けることが出来
株式会社福祉のひろば天童営業所
訪問入浴 看護師 小林洋子
ず疲れており、介護負担が大きい。
5
ケアプラン
・ 低活動による意欲低下、体力低下を改善
1
はじめに
させるため室内での運動の機会をつく
竹内氏は『家族の一人が異なったリズムで
生活し始めると、家族全体のリズムが狂い、
る。
・ DS を利用し社会交流をすることで、本
誰かのしわ寄せとなって現われてくる。特
人の意思を外の向けることができ、また
に要介護であれば、介護者の生活に狂いが
家族の自由時間をつくることで、介護負
生じてくることになる。
』と述べている。
担の軽減につなげる。
今回、寝たきり状態利用者の、家族の介護
・ 水分量不足(約 600cc/日)に対して、目
負担を軽減する目的で、利用者の体力アッ
標1300ccとし、入浴前後にも水分
プ、意欲の向上に取り組んだ。そのことに
摂取をおこなう。
より少しずつ活動量があがり、自立度も上
・ 訪問時、本人、家族の話を聴きコミュニ
がったことで、家族の介護負担・ストレス
ケーションをとる。
の軽減につながった結果から若干の考察を
6
加え報告する。
・訪問入浴時、座位・体交・着脱など出来
2
事例紹介
ケア方法・展開
る限り自力で行ってもらい、体調の良い
T 氏男性 年齢 86 歳 要介護度 4
時は浴槽を低くし、ベッドから浴槽まで
障害高齢者の日常生活自立度 C2
介助しながら自力歩行していただいた。
3
訪看にて週二回の歩行訓練(居室⇔ダイ
生活歴・既往歴
河北町生まれで、7 人兄弟の長男として育
つ。学校卒業後は農協に勤務し、退職後は
ニング)を行う。
・水分量が約 600cc/日と不足していたため、
畑仕事や孫の面倒を見ていた。
目標を約 1300cc/日とし、積極的に水分摂
平成 21 年頃、前立腺癌発症し通院していた
取してもらうよう促し、訪問時は入浴前
が、平成 24 に脳梗塞発症。その後も再発し
後に 100cc ずつ計 200cc 摂取していただ
入院となり、現在は右片麻痺と軽度失語症
いた。
が後遺症としてある。退院後も尿閉が改善
・家族の希望もあり DS 開始(平成 26年 7
されず、バルーンカテーテル留置のまま自
月~1 回/W)。最初は行きたくない、面白
宅退院となり、平成 26 年 4 月から訪問入浴
くないとネガティブな意見聞かれていた
利用開始となった。
が最近は「人が集まる場所に行くのはだ
4
んだん慣れてきた。
」という意見が聞かれ
アセスメント
・バルーンカテーテルが留置されているこ
る。訪問時、介護者から近況報告や DS
とで、気分的な落ち込みが強く、活動低
での出来事など毎回聴き、ねぎらいの言
葉をかけ、信頼関係づくりに努めた。
7
結果
当初は寝たきりでオムツ交換など介助が必
要だったが、徐々に自力でトイレまで歩行
出来る様になり、リハパンから現在は布パ
ンツをはくまでのレベルに上がった。また
水分量が増え(約 600cc/日⇒約 1300cc/日)、
食事量も増えたことで(お粥⇒普通食)、体力
も上がり、体調も落ち着いている。
時々、夕食はダイニングで皆と食事をし、
家族と過ごす時間も増えた事で本人も家族
もコミュニケーションがとれ、家族関係も
落ち着いている様子である。
時々DS を休む事もあるが、ほとんど利用で
きている。
7
考察・今後の課題
在宅での活動量が増え、また DS 利用にて
社会交流の機会ができたことで身体的・精
神的に機能が上がり、意欲の向上、自信が
ついたと考えられる。竹内氏は、
『介護から
の解放は一時的ではあるが、生活の中に自
由な時間が出来ることがストレスの軽減に
大いに役立つ。
』と述べている。
今回、ADL の自立度が上がったこと、また、
DS 利用開始となった結果、介護者が自由な
時間を確保でき、介護から離れる事で負
担・ストレスの軽減につなげる事ができた。
今後は DS の利用回数を増やす事、居室だ
けではなく散歩などの外出する機会をつく
れるよう、CMや他サービス事業所と連携
をとってサービス提供していきたい。