ゴールドリボンの逸話と象徴的意義

ゴールドリボンの逸話と象徴的意義
小児がんは、特に先進国や高所得国において、治癒率等が著しく向上したことから“現代の奇跡”
と考えられている事実はありますが、子どもたちは、がんで命を落とし続けています。現在、小
児がんは、先進国においても発展途上国においても、小児・思春期の主たる死亡原因なのです。
小児がんによる死亡件数が、すべてのタイプの子どもの病気による死亡件数を合わせても、それ
以上となっている国もあるのです。
その上、毒性の低い薬や治療の開発に係る関心の欠如から、小児がん経験者の多くが、限られた
生活条件の中で苦しい生活を営んでいるのです。
発展途上国においては、小児がんによる死亡の原因は、例えば、小児がんに関する意識と情報の
欠如、診断の遅れや誤り、脆弱な衛生インフラ、未経験・研修を受けていない医療従事者及び高
額な医薬品と治療費といった幾つかの複合的な要因によるものです。
1997 年、アメリカのある親の団体は、小児がんによる死や障害を極力少なくすることを目的と
して、小児がんの啓発とその注意喚起を促すために世界共通のシンボルの必要性について話し合
いを始めました。
彼等は、幾つかの色を考えました。彼らは、熟慮と話し合いを重ね、小児がんの行程と子どもた
ちの価値を完璧に表現しシンボルとする色として金色を選択したのです。金色を選択した理由は、
金は最も価値のある金属であり、金のように、子どもたちは貴重であり値踏みができないからで
す。また、金は火による錬金過程を通して一層強く、丈夫になります。小児・思春期がんを経験
する子どもたちは、同様にこのような経験をします。彼らは、小児がんのすべての困難で辛いチ
ャレンジに立ちむかうことを通して強さを身につけていくのです。
その後、ゴールドリボンは大陸を渡り、世界中に広まっていきました。様々な団体、私的・公的
な組織、市民社会グループ、そして学会は、小児がんに対する闘いの支援を表明し連帯を生むた
めにゴールドリボンを活用しているのです。しかしながら、ゴールドリボンは未だ乳がんのピン
クリボンや HIV エイズのレッドリボンほどの知名度には至っていません。
国際小児がんの日のゴールドリボンキャンペーンは、世界中でゴールドリボンの認識と知名度を
高めることを目的としています。それは、小児がんとの闘いを支援する証しとしてゴールドリボ
ンを最大限に活用するよう、人々や支援組織に働きかけるのです。ゴールドリボンを胸に付ける
ことは、小児・思春期がん患児、小児がん経験者、そしてその家族に希望を与え、励ましを与え
ることにもなるのです。
個人の支援者及び組織団体は、小児・思春期がん患児、小児がん経験者、そしてこれらの家族の
ために意識を高め、支援を広げ、そしてケアのネットワークを創出するために自らのゴールドリ
ボンを創作することが出来るのです。
このゴールドリボンキャンペーンは、勇敢にがんと闘う子どもたち、がんを克服した小児がん経
験者、がんの現実に臆することなく向き合う家族または大切な子どもとの辛い別れに立派に耐え
ている家族、小児がんコミュニティに対して熱心に取り組むボランティア、スタッフそして医療
従事者、といった私たちの心の中のヒーローを認識することにも使うことができるのです。かつ
て、CS ルイス氏は、“困難はしばしば、一般の人たちに特別な運命をもたらす”と述べている
のです。