不動産レポート 8-2015

ハイブリッドブローカレージ(仲介業者)について
ハイブリッド仲介業者の参入が話題となっている。これに対抗するものが従来型のトラデ
ィショナルと呼ばれる仲介業者で、センチュリー21、コールドウェルバンカー、リマック
スなどがその代表例である。ハイブリッド型の特徴は売り手にかかるコミッションのディ
スカウント、買い手エージェントとして機能した場合のコミッションの買い手への払い戻
し、ハイテク技術の駆使、給料やボーナスを中心としたエージェントの報酬体系がその基
本となっている。代表例はレッドフィン社である。
以下トラディショナルとハイブリッドの主要企業の比較をあげてみた。
トラディショナルブローカレージにとって、ハイブリッドの脅威があるということは否定
できない。しかし今のところ両者とも少しずつビジネスモデルを変えながら、お互いに自
らの短所を改善する動きに出ている。例えばトラディショナルは場合によってコミッショ
ンを引き下げるとか、モバイルアプリなど新たなテクノロジーを積極的に使用する努力を
始めた。また従来のように個人ベースでオフィス内でも競い合う方法に変わってレッドフ
ィンが行っているようなチーム制でアプローチする方法を採用するトラディショナルブロ
ーカレージも増えている。
一方ハイブリッドではショーイングやホームインスペクション時の立会いなど、これまで
できる限り避けてきた労働集約型のサービスを提供し始めた。
即ち両者の距離は徐々に短まりつつあるといえる。レッドフィン社CEOグレンケルマン
氏は「市場はレッドフィンだけでなくコールドウェルバンカーも必要としている。両者は
お互いに存続するだろう。」と述べている。
多くのトラディショナルエージェントにとってハイブリッドの存在がコミッションの下落
につながると脅威を感じている。そのためハイブリッドブローカレージに対する反感が強
い。
レッドフィンが提供するテクノロジーで仲介業に役に立っているものをあげると、物件検
索サイト、ショーイングスケジュール機能、3Dホームツアー、コンタクト先や取引管理
システム、オファー(申し込み)システム、CMAツール、教育システムなど多岐にわた
っている。
アナリストの多くはこれまでの歴史から判断して、現在のような売り手市場ではコミッシ
ョンを売り手が多額に支払うことを嫌うためハイブリッドブローカレージがもてはやされ
るが、いったん市場が下り坂になるとハイブリッドビジネスはほとんど存在しなくなると
見ている。しかし最近の動きからすると必ずしもそうではなさそうだ。
ハイブリッドがトラディショナルのビジネスモデルを一部採用し始めた。例えばレッドフ
ィンでは買い手エージェントとして成約した場合、当初エージェントはサラリーベースの
みで、買い手にコミッションのリベートを行うのが最大の特徴であった。しかし最近同社
ではリベート額を減らす分エージェントへのボーナスを増やすポリシーを取っている。
やはりエージェントとのパーソナルタッチがある程度必要だと判断したようだ。
ニューヨーク市でハイブリッドブローカレージを営むコンパス社はエージェントの報酬体
系をこれまでのサラリー+ボーナスから完全コミッション制にスイッチしている。
また同じくニューヨーク市内にあるハイブリッドブローカレージトライミント社では、同
社が提供する付加価値の高いサービスを考慮すればあまり効果がないとして買い手に対す
るコミッションリベートを廃止している。