異所性骨化病変を非脱灰標本での骨形態計測で評価しえた一例

一般講演抄録
研究会名 :
第79回研究会
座長名
: 駒場 大峰(東海大学医学部腎代謝内科)
演題名
: 7.異所性骨化病変を非脱灰標本での骨形態計測で評価しえた1
例
講 師
所 属
○平松里佳子1),乳原善文1),伊藤明美3),早見典子1),山内真之1),住田
圭一1),土谷良樹1),
永沢元親1),串田夏樹1),長谷川詠子1),諏訪部達也1) ,星野純一1),澤
直樹1),竹本文美1),
: 丸井祐二1),田中希穂1),中村道郎1),冨川伸二1),喜多島出2) ,弘田裕
2), 佐藤直之4) ,
高市憲明1)
: 虎の門病院腎センター1)、同、整形外科2)、伊藤骨形態計測研
究所3)、淵野辺総合病院4)
症例は57歳女性。2002年2型糖尿病を指摘。2004年血液透析導入。導入初期より高
Ca/P血症を呈していた。2008年12月より手指関節と右大腿部痛出現。X-Pにて手指関
節、股関節周囲軟部組織に腫瘤状石灰化像を認め2009年7月精査目的に当院入院。入
院時血清補正Ca/P値 10.1/6.0 mg/dl、intact-PTH 199 pg/dl、Osteocalcin 60 ng/ml。
骨シンチにて両側股関節、両側肩関節、左上腕を中心に多発性集積像。テトラサイクリ
ン2重標識後右腸骨と右股関節周囲の異所性石灰化部位より生検施行。後者には石灰
化巣に加え骨形成所見を認め異所性骨化と診断。右腸骨の線維組織量(Fb.V/TV)は
1.19%(>0.5%)、骨量(OV/BV)、14.9%(<15%)、骨形成速度(骨量)(BFR/BV)214%/yearで線維
性骨炎と診断されたのに対し、異所性骨化部位はFb.V/TVは26.1%と前者に比べ22倍の
線維組織量であった。OV/BVは9.7%と少なくBFR/BVは799%/yearと3.7倍の骨形成速度
でwoven boneが目立つ所見。異所性骨化部位は腸骨以上に亢進した線維性骨炎所見
と診断。二次性副甲状腺機能亢進症で異所性石灰化を来たすことはよく知られている
が、異所性骨化病変を非脱灰標本での骨形態計測により評価した報告は皆無であり原
疾患との関係をふまえて報告する。