透析量プログラム内蔵透析装置の使用経験

一般講演抄録
研究会名 :
第77回研究会
座長名
: 松井克之(帝京大学医学部付属溝口病院)
演題名
: (5)透析量プログラム内蔵透析装置の使用経験
講 師
○村上辰和嘉1)、椎木 由香1)、狩野 博保1)、吉川 康行
: 2)、前田 貞亮2)
所 属
: 前田記念腎研究所武蔵小杉クリニック 臨床工学部1)、同内科
2)
【目的】Kt/V(標準化透析量)の計算プログラムを内蔵した透析装置を使用し、当クリニッ
ク実測Kt/V(透析医学会で採用されている新里らによる算出式)との比較をおこなう。
【方法】クリニック実測平均Kt/V値を本プログラムの目標Kt/V値とした。透析量プログラ
ム使用前後で透析時間・血液流量は同一とした。透析量プログラム使用前の透析液流
量は500ml/minとした。
【結果】透析量プログラム予定Kt/V値・終了時Kt/V値ともに実測Kt/V値とはr=0.94以上
の高い相関を示した。透析液流量は350∼400ml/minへと低下した。透析前S-UN値,Sβ2MG値ともに変化はみられなかった。各溶質の除去率に変化は認められなかった。
102例の当クリニック平均実測Kt/V値1.37を達成する為の透析液流量は透析量プログラ
ムでは400ml/minと20%低下することが判明した。
【考察・結論】透析量プログラムKt/V値は実測Kt/V値と高い相関を示し、20%の透析液
流量の低下にも関わらず、S-UN・S-β2MG値の上昇、各溶質除去率の低下は認められ
ず、十分に臨床使用できると考えられる。パラメータ入力操作は煩雑で改良を要する。
透析量の判断にはKt/V値だけでなく、多くの予後因子を総合的に考えて決定する必要
がある。