東レ社製PMMA膜フィルトライザーNFの臨床評価

一般講演抄録
第87回研究会
研究会名 :
戸谷 義幸(横浜市立大学医学部 循環器・腎臓内科学)
座長名
:
演題名
: 8. 東レ社製PMMA膜フィルトライザーNFの臨床評価
講 師
○ 西尾陽子(にしお ようこ)1 、椎木由香1 、狩野博保1 、岸江仁
: 美1 、小川千恵2 、前田貞亮2
所 属
:
前田記念会 武蔵小杉クリニック 臨床工学部1
前田記念腎研究所2
目的
東レ社製PMMA膜フィルトライザーNF(以下NF)は、蛋白変性を抑制し吸着除去特
性を有するとされている。NF膜とPS膜とで比較検証を行ったので報告する。
対象・方法
同意を得た維持透析患者9名を対象として、NF膜およびPS膜を無作為に割り付
け、4週間のクロスオーバー比較試験を行った。評価項目は、インドキシル硫酸
(以下IS)、アルブミン(以下Alb)、α1-ミクログロブリン(以下α1-MG)、β2-ミクロ
グロブリン(以下β2-MG)、血液尿素窒素(以下UN)、クレアチニン(以下Cr)、無
機リン(以下IP)とし、透析前後採血データ結果から各除去率を求めた。
結果
低分子量蛋白の除去率では、α1-MGではNF膜、β2-MGではPS膜が有意に高
値であった。小分子物質の除去率では、UN、CrにおいてPS膜が有意に高値で
あった。IS、IPの除去率には有意差がなかった。
考察
NF膜はPS膜に比してα1-MGの除去能に優れる。IS、IPについては、分子量のみ
に依存しない除去動態を有することが示唆される。
結語
NF膜はα1-MGの除去能に優れる。