2直線の位置関係・点と直線の関係

2 直線の位置関係・点と直線の関係
数学 II・B 授業ノート
1 2 直線の位置関係
2 直線が
ax + by + c = 0
′
a x + b′ y + c′ = 0
で与えられているとする.2 直線はそれぞれの方程式を満たす (x, y) の組で,仮に,2 つの直線が 1 点で交わると
き,その交点の (x, y) は 2 つの方程式を同時に満たす (x, y),すなわち連立方程式の解である.
一般に,連立方程式の解と直線の位置関係には次のような関係がある.
1. 2 直線が 1 点で交わる ⇐⇒ 連立方程式はただ一つの解を持つ
2. 2 直線が平行で一致しない ⇐⇒ 連立方程式は解を持たない
3. 2 直線が一致する ⇐⇒ 連立方程式の解が無数にある
y
y
ax + by + c = 0
y
ax + by + c = 0
ax + by + c = 0
a ′ x + b′ y + c′ = 0
a′ x + b′ y + c′ = 0
O
x
O
x
O
a ′ x + b′ y + c′ = 0
x
2 直線に関して対称な点
2 点 A,B がある直線 ℓ について対称であることは,次の 2 つのことが同時に成り立つことと同値である.
1. 直線 AB は ℓ に垂直である.
2. 線分 AB の中点が ℓ 上にある.
1
• 直線 2x − y − 3 = 0 に関して A(1, 4) と対称な点 B の座標を求めてみよう.
直線 2x − y − 3 = 0 を ℓ とし,点 B の座標を (p, q) とする.直線 ℓ の傾きは 2 だから,直線 AB
の傾きは
p−4
1
=−
q−1
2
すなわち,
(
線分 AB の中点
p−1 q−4
,
2
2
p + 2q − 9 = 0
)
は直線 2x − y − 3 = 0 の上にあるから,
2·
p−1 q+4
−
−3=0
2
2
すなわち,
2p − q − 8 = 0
したがって,これらを連立させ解くと,
p = 5,
q=2
よって,点 B の座標は (5, 2)
y
A
B(p, q)
O
x
−3
3 点と直線の距離
点 P から直線 ℓ に下した垂線の長さのことを,直線 ℓ と点 P との距離という.
まず,原点 O と直線 ℓax + by = c = 0 との距離を考えてみよう.
2
O から ℓ に下した垂線の足を H とする.OH は ℓ に垂直だから,直線 OH の方程式は,
y=
b
x
a
と表される.H は ℓ の交点だから,これを ℓ の方程式に代入すると,
b
ax + b · x + c = 0
a
a2 + b2
x = −c
a
x=−
ac
a2 + b2
である.一方,y は,
y=−
となり,H の座標は,
(
H −
bc
a2 + b2
ac
bc
,− 2
2
2
a +b
a + b2
)
となる.ここで,線分 OH の長さは,
(
)2 (
)2
ac
bc
+
−
a2 + b2
a2 + b2
a2 c2 + b2 c2
=
(a2 + b2 )2
c2 (a2 + b2 )
=
(a2 + b2 )2
c2
= 2
a + b2
OH2 =
したがって,
−
|c|
OH = √
2
a + b2
つまり,次のことが言える.
平面座標上の原点 O と直線 ax + by + c = 0 との距離は
√
|c|
a 2 + b2
3
次に P(x1 , y1 ) と直線 ax + by + c = 0 との距離を考えてみよう.点 P を x 軸方向に −x1 ,y 軸方向に −y1 平行
移動させると,点 P は原点に移り,平行移動した直線の方程式は,
a(x + x1 ) + b(y + y1 ) + c = 0
ax + by + (ax1 + by1 + c) = 0
である.
したがって,原点と直線 ax + by + (ax1 + by1 + c) = 0 との距離は,
|ax1 + by1 + c|
√
a2 + b2
である.これは点 P と直線 ax + by + c = 0 との距離と同じである.
点 P(x1 , y1 ) と直線 ax + by + c = 0 との距離は,
|ax1 + by1 + c|
√
a 2 + b2
4 演習問題
1. 2 つの直線 ax + 2y − c = 0,3x − y + 1 = 0 が 1 点で交わるための必要十分条件を求めよ.
2. 直線 x + y + 1 = 0 に関して,点 A(3, 2) と対称な点 B の座標を求めよ.
3. 次の点と直線の距離を求めよ.
(a) 原点と直線 2x − y + 5 = 0
(b) 点 (2, 1) と直線 3x − 4y + 3 = 0
(c) 点 (−1, −3) と直線 y = 2x + 5
4