GRAPESを用いた平面図形の教材研究と授業実践

GRAPESを用いた平面図形の
教材研究と授業実践
P
聖徳大学附属聖徳中学校・聖徳高等学校
小野田 啓子
実践のねらい
図形分野
図形の動きを伴う問題
苦手と感じている生徒は多い
イメージがわきにくい
1つ1つの図形の性質(定理)を積み重ね
て考えることで理解することができる。
考え方の過程を,生徒に分かりやすく丁寧に指導することで,
図形への苦手意識を減らし,理解を深め学習意欲を高めたい。
授業における留意点
• 図形の中の辺や角の間の関係を,視覚的に分か
りやすく表示できるようにする。(提示)
• 図形の動きに伴う点の軌跡を,生徒が条件を変
えて調べることができるようにする。(活動)
• 授業内容を理解しやすいように,ワークシート
を活用する。(学習内容の理解と確認)
教材作成の背景
B
右の図で△ABCと△ADEはとも
に正三角形である。CとE,BとDを
それぞれ結んで,△AEC,
△ADBをつくる。
E
P
(1) 略
(2) CE=BDであることを証明しな
さい。
C
D
A
B
【発展】 右の図のように,点Aを
中心として△ADEを回転しました。
等しい辺や角をさがしてみましょう。
E
P
C
出典:大日本図書「中学校数学2」
* ただし,点Pは教科書の図中にはない。
A
D
授業課題の設定
(1) 点Pはどのような図形を描いて動くか。
(2) 点Pの動く範囲を求める。
〔授業展開〕 1時間目の課題
【本時の課題】
△ABC と△ADE は,正三角形である。辺 AD の長さは,
辺ABの長さのk倍である。(k>0)
直線 B D と直線 C E の交点 P は,点 A を中心にして△
A D E を回転させたとき,どのように動くかを調べる。
P
〔授業展開〕 2時間目の問題
【本時の課題】
k=0.5のときに,点Pが円周上をどこまで動くのかを
調べる。
C
D
P
E
A
B
授業後のアンケート結果
• 授業に積極的に参加することができた。
「はい」…16名(17名中)
• 点 A の 周 り に △ ADE を 回 転 さ せ て も ,
△ ABD≡△ACE と な る こ と を 説 明 で き る 。
「はい」…15名
• △ADEを回転させたときに,点Pが円周上を動
く理由が分かる。
「はい」…13名
• 相似比0.5のとき,点Pの軌跡の中心角が120°
になることが分かる。 「はい」…14名
• 問題の条件を変えて,点Pがどう動くか調べる
ことができた。
「はい」…12名
授業後のアンケート結果(続)
• パソコンで実際どうなるか見ることができたの
で,理解しやすかった。(7名)
• 新しい発見があり,とても楽しかった。(5
名)
• たった2つの図形から,いろいろなことが分
かってすごく面白かった。(面白かった 5
名)
• 図があって分かりやすかった。(4名)
• コンピュータを使って自分でいろいろ試すこと
実践のまとめ
• 生徒が学習意欲を高め,図形への理解を深
めることができた。
• パソコンを使って実際に自分で図形を動か
して調べたり確かめたりすることで,黒板
とチョークだけでは分からない多くのこと
を発見することができた。
• 学習内容を生徒がしっかりと記録できるよ
うに,ワークシート等の工夫も重要であっ
た。
今後の課題
• 図形の学習を通して,生徒にどのような力
を伸ばしてほしいのか。
– 根拠を用いながら,推論し説明できる力。
– 条件を変えるなど,問題を発展させて探
求しようとする態度。
• 教材の作成と,指導法の研究。